BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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徳山ヤンダビTOPICS 3日目

LADY GO!

 昨日まで苦戦が目立った女子レーサーたちが、今日はしっかり舟券に絡みつつ準優への夢を繋いだ。

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 まずは、「令和のまくり姫」として今や全国区のアイドルになりつつある高田ひかる。昨日の12Rはピット離れで伸びペラの弱点を露呈、予定の4カドを逸してアウトからの3着がやっとだったが、今日の4Rはしっかり修正できたようだ。スッと飛び出して理想どおりの3カドをゲット。スリットほぼ同体から内の下寺秀和を伸びで圧倒し、これを飛び越えつつイン前田篤哉の脳天を勝ち割るような高い位置からのツケマイを浴びせて待望の1着を奪った。相変わらず、なんちゅう伸び足!
 これで5月1日からの来期査定成績は94戦47勝と1着率50%に復帰(恐るべき数値だ)したのだが、今のひかるが本気で求めているのはそんな数字よりも【ヤンダビの上位成績で賞金上積み~11月のレディースチャレカ参戦~暮れのクイーンズクライマックスTOP12入り】という流れだろう(昨日まで女子賞金ランク24位!)。

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 だとするなら、もちろん今節の最低ノルマは予選突破。今日の1着で6・50=暫定14位まで浮上したひかるは、明日の【8R2号艇・12R6号艇】でそのハードルに挑むことになる。最近のひかるの必殺技と言えば「2コースまくり」。直近の2コース10戦でも【2コースまくり5回、差し1回】と勝ちまくっており、明日の8Rも一撃のジカまくりで当確ランプを点したいところ。
 で、そこから中3レースでスロー仕様の伸びペラ→6コース仕様の超伸びペラに叩き換えると思うのだが、8Rのスロー仕様が完璧だった場合はそのままキープで「12Rは6号艇から前付け」などという奇襲をやらかす可能性もわずかながら想定しておきたい。

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 続いて、女子7人衆のエース格と呼ぶべき大山千広も、今日の8R4号艇で得点率の上積みに成功した。4カドからただひとりゼロ台のスタートを決め、内3艇の動きを冷静に横目で見ながらの最内差し。このスピーディな差しが逃げる宮之原輝紀の内フトコロに突き刺さり、サイドバイサイドの一騎打ちを制して10ポイントをGETした。昨日のイン逃げからの連勝で節間7・50=暫定5。2連対率25%の相棒13号機もストレートを中心に軽快な足色に仕上がっており、さすがの貫禄とお伝えしておこう。
 明日の千広は【4R2号艇・11R5号艇】の2回走。貯金的に予選突破は当たり前、準優好枠を目指す勝負駆けになりそうだが、少しばかり不安な点もないではない。まずはF持ちの影響か13号機の出足の問題なのか、前検日からスタート特訓で何度もドカッと遅れているのだな。いざ本番ではゼロ台も含めて好発をビシバシ決めているので杞憂とは思いつつ、連日の起こしからの遅れ癖が気になるところではある。

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 さらに気になるのは、1マークの攻撃~道中の追撃など一連の流れの中で千広らしいキレがないというのか思いきりがないというのか、ちょっと躊躇してから動くような光景が何度か目に留まってしまった。今日の宮之原とのデッドヒートには何の不満もないのだが、そもそものスタート突出からやんわりとも絞めずに直進し、内の攻め合いを見てから差したあたりが消極的っちゅうかなんと言うか……「結果的に1着獲れたんだから正解じゃん」と言われればそれまでだが、たとえスタートがモミモミで攻めきれる自信がなかったのだとしても、1年ほど前の千広ならもっと凄みのある攻めを見せてくれたと思うのだが、どうだろうか。

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 一方、超攻撃的なスタイルがまんま成績に直結しているのが西橋奈未だ。初日から「迷うくらいなら握る」というか「見る前に飛ぶ」というか、道中の混戦では100%守りより攻めのスタイルを貫いている。今日の9Rも2マーク全速握りマイで2番手浮上~2周ホームは内外に揺さぶりをかけて追いすがる野中一平を的確に捌いて挑発に乗らず、2周1マークは迷いのないほぼ全速の抱きマイで置き去りにしてしまった。
 とにかく初日から全部のターンマークの全部のターンが惚れ惚れするほど鮮やか、かつ小気味いい。レディースチャンピオンで優出した自信、男女混合戦で揉まれ続けている経験則、そんなこんなが凝縮して一皮剥けた西橋奈未を形成しているのだろう。

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 2142着という安定した成績で暫定7位の好位置にいる西橋の明日は【2R5号艇・10R1号艇】の勝負駆け。ラスト3番勝負あたりが売りになる勝負駆けデーで、10R1号艇を一任されたこと自体が周囲の視線、期待値が変わった証とも言えるだろう。でもって、前半の着順に関わらず、その10Rをしっかり逃げきれば文句なしの準優当確という身の上なのだが、今節の西橋奈未にはそんな些末的なノルマではなく準優1号艇くらいのでっかい目標を掲げてもらいたい。

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 もうひとり、中川りなも嬉しい嬉しいGI水神祭とともに、準優進出へ少なからぬ希望を残す記念すべき1日となった。実際のところ、今日のりなは【2Rのイン逃げ水神祭~7Rは3艇Fによる超恵まれ3着】という16ポイントではあったのだが、ビッグレースでは実力と同じくらい運も重要なのだな。4513着で暫定24位につけるりなの明日は【9R4号艇】の一発勝負。彼女に関しては「2着で6・00!」などという意気込みを念頭から消してもらって、今日のラッキーな流れを全身で感じながら無心の境地で戦ってもらいたい。そんなん、無理だとは思うけど(笑)。

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 最後にシリーズのV争いをちょこっと展望しておくと、3日目を終えて暫定トップに立ったのは羽野直也。なんちゅうか、初日のドリーム戦を含めた5戦を焦らず騒がず間違えず、ついでに言うならあまり目立つことなく23121着というウルトラ安定した成績でトップに君臨してしまった。最近のSGの白井英治もそうだが、こんな流れこそが真の強者の証なんですな。
 明日の羽野キュンは【10R4号艇】で1号艇・西橋に襲い掛かることになるのだが、もちろん先頭のまま予選ゴール~逃げ~逃げ~頂点君臨という花道を突っ走っても不思議じゃないところ。ただ、現状の自力トップの権利は暫定2位の関浩哉が握っており、明日の【7R2号艇・11R1号艇】で連勝すればトップ当選。羽野キュンとどちらが有利かは微妙だが、ことパワー評価に関しては「関54号機が圧倒的優位」という思いは前検からまったく変わっていない。(photos/シギー中尾、text/畠山)