よくある優勝戦の朝である。ようするに、優勝戦組に動きはほとんどない。まあそうだろうなあ、とわかっちゃいるのだが、それでもピットをのぞいてみたら、やっぱり。仕上がりのいい選手が優勝戦に乗る、と考えれば、朝から精力的に動いているのはむしろ珍事である。あるとしたら、オーシャンの優勝戦の朝の平本真之(チルトを跳ねた)とか、足は厳しいがなんとか優勝戦に乗ったとか。そう、だから真っ先にペラ調整を始めたのが入海馨、というのを見ると、なるほどとも思う。18位滑り込みで予選突破で、優勝戦は6号艇。普通に考えればベスト6のなかで足はやや劣勢、だから少しでも上積みをはかろうと早くから動く、というわけだ。ちなみに2R発売中のこと。
下寺秀和がプロペラを外して何度か整備室を出入りしていたが、特に大きな調整をしている様子は見受けられなかった。ゲージを当てている瞬間はあったが、それも長くはなく。足的には問題なさそうだから、深い時間に試運転をして、その感触にしたがっての微調整程度、ということになると思う。
それ以外の4者はエンジン吊りでしか姿を見ていない。1号艇の羽野直也はリラックスした表情でテキパキと動き、中田達也は余裕の雰囲気で笑顔を振りまく。福岡勢のエンジン吊りでは当然揃って姿をあらわすことになるわけだが、その後は揃って控室へ、という感じだ。
昨日は朝から試運転とペラ調整に励んでいた関浩哉も、今日はゆったりムード。昨日は満足できる仕上がりにできたそうだから、今日はもう微調整で充分ということだと思う。どうやら自分の形に叩いた、ということのようですね。『週刊BOATBoy』のインタビューでそう言っていた。ならば、もう激しく試行錯誤する必要はないのだろう。
で、妻鳥晋也は忙しそうなんです。エンジン吊りに。大挙10人が出場の香川支部、ということは、多くのレースに香川の選手が出走しているということでもある。6Rまではすべてのレースに香川勢がいますね。ということで、エンジン吊りには必ず顔を出さねばならないわけで(たとえば関は、関東勢がいなかった2Rには姿をあらわさず)、またラストレースの選手のモーター返納作業のヘルプもすることになるので、せっせと働いているというわけなのである。ご苦労様。午後に入れば、そのかたわらできっちりと調整もこなしていくことだろう。特に緊張した様子には見えなかったけれども、もし緊張していたとしても、こうして動いていたほうが紛れるかもしれませんね。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)