BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――シリーズ……大晦日の水神祭!

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 2コース差しが突き刺さり、脱け出した瞬間。ピットには歓声があがった。待機室でモニターを見守っていた西村美智子がピョンピョンと跳ねる。何度も何度も。その西村の顔を五反田忍が笑顔で覗き込んだ。泣いてるんじゃないの? いや、目が潤んではいたかもしれないが、西村は笑顔! かわいい後輩が、やってのけた!
 2周1マーク、松本晶恵が追い詰めた瞬間には、悲鳴とともに動きが止まったのだが、これをしのぎ切ると、またピョンピョン。3周1マークでも別の場所から小さめな悲鳴はあがっていて(仲良しの水野望美か?)、しかし切り抜けた瞬間にまた歓声が。

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 松尾夏海、嬉しい嬉しいデビュー初優勝!
 圧倒的な本命と思われていた松本を、見事に差した! もしかしたら涙があるかとも想像していたのだが、西村や水野に出迎えられて、満面の笑みを浮かべながら、松尾は両手を掲げてみせた。

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 12Rの展示が終わると、まだ盛り上がりがやまない松尾の周辺に、平山智加と平高奈菜も顔を出す。そして笑顔の交歓。これから迎える大一番の前に、後輩が初優勝を果たしたことで、緊張感もあったとは思うが、平山も平高も自然と笑顔をこぼすのだった。

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 敗れた面々はやはりそれぞれが悔し気な表情を見せはしたが、特にその度合いが強かったのはやはり松本晶恵だ。1号艇をモノにできなかったことはやはり痛恨。ただただ堅い表情を見せていた。モーター返納を終えて控室に戻る松本を出迎えたのは長嶋万記。長嶋は優しく左腕で肩を抱き、松本の言葉に耳を傾けた。そこに同期の平山も合流。平山は、後輩の勝利を喜び、同期の無念に胸を痛める瞬間になってしまったが、そこは勝負の世界、後輩に続き、同期の借りを返すという思いが強くなったかもしれない。今節、松本は随所で格上の存在感を発揮し、やはり松本晶恵は強者なのだと見せつけた。来年はあるべき場所に戻って、3度目の頂点を目指してほしい。

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 さて、初優勝ということはもちろんあります、水神祭! 表彰式を終えた松尾は、待ち構える仲間たちのもとに笑顔で戻ってきて、すぐに水神祭が敢行された。晴れていたとはいえ、けっこう冷えてきていたから松尾も「ヤバイヤバイ」とこぼしていたが、飛び込んでしまえば寒さは吹き飛び、歓喜が沸き上がる。ウルトラマンスタイルで投げ込まれ、次いで西村、水野、山下友貴も飛び込んで、水中ではとびきりの笑顔を振りまくのだった。

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 今期A1級に昇級し、来期もキープ。今年はまさに躍進の年となった。これまで積み上げてきたものが実を結んだとも言えるわけだが、しかしまだまだ目指すべき“上”はある。この優勝、そして冷たい水のなかで味わった喜びをひとつの契機として、来年は12強を賑わす存在となるのを見たい。とにかく、今日はおめでとう!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)