圧逃パワー!
11Rルーキーズ準優
①井上忠政(大阪)14
②佐藤 航(埼玉)11
③栗城 匠(東京)14
④久永祥平(東京)08
⑤高橋竜矢(広島)11
⑥数原 魁(兵庫)12
今節の千両役者・忠政が危なげなく逃げきった。この大本命に鈴を付けに行ったのは4カドの久永。スリットから頭ひとつ飛び出し、なかなかに迫力のある強攻ではあったが、インまで辿り着いたときにはもう井上が1マークをくるり旋回していた。
スリットでやや後手を踏んでも、ダッシュ勢に負けない伸び返し。毎日書いてきたが、今節の井上37号機はちょっと抜けた節イチで、明日もスリット同体にさえなってしまえば影をも踏ませずに逃げきるだろう。
ただ、そんな井上の不安材料は、もはやピット離れの一点か。今日は前半5R3号艇でドカ遅れ~大回りで3コース取り戻し。事なきを得たようだが、通常よりも深い3コースを余儀なくされてスリット近辺のパンチ力が明らかにダウンしていた。
この準優のスタート展示もドカ遅れだったし、本番も1艇身ほど凹んだだろうか。どちらも無事にインコースを取りきったが、もしもここに老獪なベテランがいたらそそくさとインを奪い取ったかも? 明日の大一番でもドカッと遅れるようなら、2号艇のレディースはどう応接するか。そのあたりの興味も含めて、スタート展示からしっかりと井上の飛び出しをチェックするとしよう。
2着は久永の特攻まくりを掻い潜るように、2コースから小さく差し回った佐藤。私は2コースでは経験の浅さを露呈するのでは? と軽視したのだが、なんのなんの、冷静沈着な立ち回りでしっかりとファイナル安全圏の2番手をキープした。今節はどのレースでもこうした過不足のない好旋回を披露しており、単なるターンスピードだけではない精神面での成長も感じさせる5日間だった。
3着は、丸々3周に渡って佐藤を追っかけ回した高橋。佐藤の巧みな立ち回りで逆転の2着まではもぎ取れなかったが、ストレートを中心に道中の足色は実にしっかりしていた。簡単に競り落とした栗城はもちろん、前を行く佐藤よりちょっとちょっとパワフルな気配を感じたのだがどうか。明日は大外枠でも、ヒモ穴として警戒すべき足だと思っている。
最強の布陣
12Rレディース準優
①渡邉優美(福岡)19
②西橋奈未(福井)19
③中里優子(埼玉)20
④鎌倉 涼(大阪)21
⑤蜂須瑞生(群馬)23
⑥小池礼乃(福岡)28
大本命の優美はじめ全体的に慎重なスタートだったが、横一線に揃ってしまえばコースの利がモノを言う。優美が逃げて、西橋が差して、中里がぶん回して、セオリー通りの内コースが有利な展開となった。
さて、この展開で優美が逃げきるのは当然として、むしろ私の目を惹きつけたのは2コースの西橋だった。多くのファンもそうだったのではないか。小回り差しが優美の艇尾に肉薄し、入りきらないと思ってからもうひと伸びで舳先を食い込み、必死に逃げる優美を2周に渡って苦しめ続けた。
先手先手のアドバンテージがあって逃げきった優美だが、この両者のマッチアップでは西橋のパワーがすべての面で上回っているように見えた。前半3Rの4コース差しも「うむむ」と唸らせるバック直線だったし、今日の西橋6号機は井上37号機に次ぐ節ニレベルと鑑定している。裏を返せば、西橋より道中で明らかに余裕がなかった優美57号機は、明日の2号艇に不安材料を残した気がしてならない。
そしてそして、西橋のパワー以上にビックリしたのは、中里61号機の凄まじい追い上げ足!! 1マークから力強く握った中里はバックで3番手を取りきったが、2周目に鎌倉の巧妙な捌きを浴びて4番手に後退。好腕・鎌倉が逆転したとあって、①-②-④に厚く張り込んでいた私はすっかり安心しきっていた。実際に2艇身から3艇身とターンマークごとにずんずん突き放す見え方だったのだが、ターン出口からの中里61号の行き足~伸びが半端ないこと!
特に3周バックは3艇身ほどの差をぐんぐん追い上げ、ついには追いつき、最終ターンマークを力強く先取りして再逆転のファイナル入りを決めてしまった。最後の最後に舟券が紙屑と化した私は、ただただ茫然とその逆転劇を眺めるしかない。なんというか、ゾンビに喰われて体温がどんどん低下するような気分だった(笑)。
そんなこんなで、終わってみれば紅組は1・2・3決着。明日のファイナルが団体戦であることを考えれば、実力×パワーの総量でトップ3が生き残ったと見ることができる。今日はやや足元に不安を残したとは言え、2号艇は今節の絶対的な紅組エース・優美。外からはぐんぐん伸びる西橋と中里が、この優美の進軍を目視しつつ白組の猛者たちに襲い掛かる。節イチ・井上が1号艇である以上、白組の優位は動かないが、レディース軍団もワンチャンスのカウンターで逆転できる布陣、とお伝えしていいだろう。
今日の団体戦ポイント
さてさて、今日の団体戦1R~8Rは尼崎らしくコース有利な内枠勢が仁王立ち。ポイント的には【白紅白紅白紅白紅】のオールキープ(内枠ブロック勝利)だったが、最後の第8Rで①蜂須瑞生が待機行動違反に。この採決が下った瞬間、団体ポイント1点は紅組⇒白組にスライドされた。これを含めて5日目は白組の5勝3敗。節間トータルでも紅組をさらに突き放した。
紅組17-23白組
6点差で明日の最終決戦へ。かなりの大差のようだが、最終日は10R4点~11R8点~優勝戦12点のボーナスポイントが付与される。極端な例を言うと、5R~10Rまで白が6連勝しても団体ポイントは15点差まで。11Rと優勝戦を紅組が連勝すれば、20ポイント獲得でサヨナラ逆転満塁ホームランをかっ飛ばすことができるわけだ。劣勢の紅組としては、とにかく11R終了時点で11点差以内をキープする必要があるのだが……。(text/畠山)