BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――落ち着き?

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 今日も早くから水面は賑わい、トライアル組もシリーズ組も調整に励んでいる。ただ、昨日に比べると雰囲気は落ち着いているように感じられ、まあSGの4日目はこんなもんだよなあ、と思いつつ、しかし他のSGに比べるとざわつきは色濃い。その意味で、これぞグランプリという気にもなってくるわけである。
 落ち着いたと感じるのは、たとえば寺田祥のボートにはモーターが乗っていないばかりか、艇旗も着いていないのである。本体整備をしている可能性もあるにはあるが、艇旗が未装着ということは今日はまだボートに寄り付いてもいないと想像されるわけである。仕上がりが悪くない時の寺田は動き出しが比較的ゆっくりめなので、今日も今のところはゆったりと過ごしているのではないかと思えたりする。

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 1号艇を引き当てた西山貴浩も、好枠を手にして気分上々ということなのか、かなり肩の力が抜けてきた印象を受けた。騒がしいニッシーニャもあちこちで散見され、こっちで須藤博倫に何か激白していたかと思えば、あっちで吉川昭男と談笑していたり。1stを勝ち抜き、2ndを1走したことで気持ち的にも少し落ち着いたのかもしれない。

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 もちろん朝から水面を疾走している者も少なくなく、松井繁も昨日まで見られたのと同様、水面にその姿が見られた。2R発売中にいったんボートを装着場へ。そこに駆け寄ってきたのが金子龍介で、どうやら足合わせをしていた模様だ。その金子に接する松井の表情がなんとも柔らかく、王者のそんな顔を見かけたことも空気の落ち着きをこちらに感じさせた一因かも。

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 篠崎仁志もペラ調整、試運転に駆け回っていて、1R発売中には新田雄史と足合わせ。その二人が肩を並べて係留所からあがってきた。その表情も柔らかく、まさに談笑。初戦は大きな着をとってしまった篠崎と新田のその様子にも、妙にほっこりしてしまったりするわけである。

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 まあ、それは見た目や感覚だけであるかもしれず、トライアルという激しい戦いを控えていて気持ちにスイッチが入っていないわけがない、とも思えたりする。菊地孝平がやはり強烈なまなざしを見せていて、これは間違いなくスイッチが入った証しであろう。初戦6着、2走連続6号艇という事態に、穏やかさを保っていられないのが自然というものである。

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 いつも通り、朝からペラ調整所と水面を往復している毒島誠にしても、試運転に飛び出す直前の目つきに気合の一端は感じられる。昨年は2nd初戦2戦目を連勝しながら、3戦目に6着となり優勝戦1号艇を逃している毒島は、悲願のために何が重要かを痛いほど実感したことだろう。5号艇で迎える2戦目、初戦の1着で一息ついている場合ではあるまい。

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 シリーズ。2Rは守田俊介がまくり差して1着。イン吉田拡郎は握ってきた深川真二を牽制したことでふところを開けてしまっている。深川を張った際、少々接触があったようで、吉田はピットにあがると深川に頭を下げている。すると、深川が声を荒げた。誰もが一瞬そちらに目を向けたが、ヘルメットの奥で深川は笑っている。もちろん冗談なのです。吉田も「もぉ~~、怖いわぁ~~」とニッコニコ。そばにいた峰竜太らもにこやかに笑い、ヘルメットを脱いだ深川はさらに深い笑みをたたえていたのだった。で、こんな楽しいやり取りに黙っていられないのは、あの男です。そう、ニッシーニャ。吉田と深川の間に割って入ってはしゃぎまくり。その場はさらにコミカルになった。まったく(笑)。インがまくりを張るのはボートレースのセオリー。あまりにひどければ別だろうが、陸に上がればノーサイド、なのである。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)