BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

児島レディースVSルーキーズバトル 優勝戦回顧

レディースVSルーキーズバトル児島優勝戦

①新開航   ST0.15
②田口節子  ST0.15
③川野芽唯  ST0.19
④原田才一郎 ST0.16
⑤山川美由紀 ST0.14
⑥吉川貴仁  ST0.11


 枠なり3対3。スタートタイミングの数字上はほぼスリット横一線なのだが、実際にレースを観ていると、あきらかに迫力が違う選手がいた。6号艇の吉川貴仁だ。
 吉川の60号機は初日から鋭い伸びを見せており、2日目以降は展示タイムもすべて1番時計だった。だが好機ぞろいの優勝戦で6コースからのスタートとなると、現状の伸びでは物足りない。そこで今節はじめてチルトを跳ねる勝負に出た。

 その目論見は成功したかにみえた。スリット通過後すぐに5コースの山川美由紀をねじ伏せ、4コースの原田才一郎、3コースの川野芽唯、さらに2コースの田口節子までも飲み込んだ。

 残るは1号艇、新開航のみ。吉川がまくり差しのハンドルを入れると、スピードの乗った艇が新開の内懐をえぐるように入る。

 まくり差し決まったぁ! 多くのファンがそう思ったはずである。しかし吉川はパラメーターを伸びに全振りしているような状態のため、回り足、ターン後の立ち上がりの足がかなり弱かった。


 一方の新開は、サイトで何度も書いてきたように、バランスの取れた節イチ機である。ターンで流れるようなこともなく、懐に飛び込んできた吉川の上を、さらに加速しながら旋回していく。新開がモンキーターンから腰を下ろすと、吉川とはすでに3艇身ほどの差がついていた。

 バックで2番手を追走したのは田口節子。1周2マークで渾身の差しハンドルを入れるが、機力差があるため、新開がミスをしない限り差は詰まらない。ターンのたびに二人の差は開いていき、新開の優勝が決まった。


 118期のルーキー新開だが、その存在はすでにひとつ上のクラスにいる。今年の成績、53勝は全選手の中でトップ、1着率48.2%は毒島誠に次ぐ2位、優勝回数5回も馬場貴也に次ぐ2位だ。さらにイン戦21連勝とインで抜群の安定感を誇っている。A2級なので全国的な話題になっていないが「今年一番強い」といっても過言ではない成績を残している。今年の下半期も注目すべき選手である。


 敗れはしたものの、勝負根性をみせ、優勝戦を盛り上げたのは吉川貴仁。本人は「(紅白戦が)得意な理由はない」と言うが、今回もいいレースを見せてくれた。
 出場ルールが変わらない限り、今回を最後にレディースVSルーキーズバトルに吉川が出場するのは最後になるが、今度はさらに上の舞台で、「ミスター○○」と呼ばれるような活躍をしてもらいたい。


 エースモーターを引いた原田才一郎は展開がまったくなく6着。しかし今節のレースぶりをみていると初優勝も近いように思う。

 

【団体戦結果】
 初日からレディースとルーキーズのラップ状態が続いてきた団体戦。5日目終了時点で1ポイントリード。このまま紅組が押し切る可能性もあった。
 しかし点増しになる10R選抜B戦を白組が取って逆転。結局、12レースを制した組が優勝という展開になっていた。


 すでに説明したとおり、12レースで1着になったのは白組の新開航(10点)。しかし、2着が田口節子(8点)、3着川野芽唯(6点)、4着山川美由紀(4点)と2~4着を女子が独占しため――。

白組(10点+2点+1点=13点)
紅組(8点+6点+4点=18点)

となり、12レースでポイントを獲得したのは紅組。その結果、

 

紅組43ポイント VS 白組26ポイント

 

 紅組の団体優勝が決まった。
 12Rの女子3人は1着を取るのは難しい展開だったが、きっちりと着を守り切って団体優勝を成し遂げたのは、「さすが女王」の一語に尽きるだろう。

 こうして9回目を終えた「レディースVSルーキーズバトル」。次回の10回大会は、2023年1月28日からボートレース芦屋で開催を予定している。
 ずいぶん先の話にはなるが、女子の手腕が堪能でき、追いかけるべき若き新星が見つかるこの大会は、ボートレースファンとしては見逃し禁物である!

(PHOTO/池上 TEXT/姫園)