BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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児島レディースVSルーキーズバトル 準優勝戦回顧

11R 準優勝戦(男子)
①新開 航
②吉川貴仁
③前原大道
④牧山敦也
⑤原田才一郎
⑥中村日向

 何が起こるかわからないのがボートレース。前節優勝モーターの49号機を引き当てて、初日から児島水面を沸かしてきた牧山敦也が、本日1走目の3R一般戦(団体戦)で、まさかのフライング。このFにより牧山は賞典除外。たとえこの準優で3着以内に入っても、明日の優勝戦へは進めなくなった。


 牧山のFを受けてか、昨日は「3カド宣言」をしていた前原大道が、スロー3コースに作戦を変更した。6人で3つの椅子を争うレースなら3カドもありだが、5人で3つの椅子ならスロー3コースのほうが有利と考えたのかもしれない。

 本番の進入も展示と同じ枠なり3対3。
 スタートを張り込んだのはアウトコースの二人、5コースの原田才一郎はコンマ05、6コースの中村日向はあわやフライングかという、コンマ01まで踏み込んだ。
 優出に関係のない牧山がコンマ18、外とはほぼ1艇身差のあるスタートだったので、原田が牧山を絞りにいく。しかしそのときすでに、節イチの機力を持つイン新開航や2コース吉川貴仁の艇も伸び返していた。
 原田の選択肢は2つ。吉川と前原の狭い間を割り差すか、それとも外を回すか。
 優勝戦ならイチかバチかのまくり差しもあったかもしれないが、ここは3着権利の準優勝戦。原田は無難に外を回した。


 それを待っていたかのように、インの新開は原田を軽くブロック。ブロックして回った後もイン新開の艇はスッと伸びていき、優勝戦1号艇を手中に収めた。

 

 激しかったのは残り2枚の切符争い。バランス型の原田がバック2番手を取り切るも、伸び型の前原大道がテールトゥーノーズで食らいついていく。さらに前原の内には3分の1艇身ほど中村日向の艇が食い込んでいる。


 勝負の1周2マーク。ここでも原田は外を選択した。しかも内2艇を叩き潰すようなまくりではなく、外から外へのターン。ドッグファイトのような展開よりも、エースモーターの力を信じて外に進路を取った。
 この選択が正解で、伸び型の前原がターン後の加速にややもたつく中、原田の艇はスムーズに伸びていく。2周目ホームでは、後続に1艇身差をつけて2着を確保。優出の切符を手に入れた。


 最後の一枚の切符は意外な形で決まった。1周2マークの旋回後3番手を走っていた前原に、内からスルスルと吉川貴仁が伸びていく。2周目ホームではほぼラップ状態。前原と吉川のターン勝負になるかと思いきや、ターンの初動で前原の艇が浮き上がり、そのまま転覆。これで勝負が決まった。

 男子予選から優出を果たしたのは、節イチ新開航、エースモーター原田、ミスター・レディースVSルーキーズの吉川貴仁。彼らが3人が明日の優勝戦で女王たちに挑む。

 

 

12R 準優勝戦(女子)
①田口節子  11年12年女王
②金田幸子  13年女王
③寺田千恵  07年10年女王
④川野芽唯  15年年末女王
⑤山川美由紀 96年01年12年18年女王
⑥日高逸子  89年05年女王、14年年末女王


 改めて女子GⅠのタイトルを書き出してみたが、すごいメンバーである。斡旋選手が発表されたときからレディースが豪華だと思っていたが、その豪華絢爛な女王たちが予選道中から高い得点をたたき出し、ほぼそのまま準優勝戦に駒を進めてきた。

 実力伯仲のメンバーがそろうと意外にレースが淡泊になることもあるのだが、こちらの準優勝戦も男子に負けず激しかった。


 進入は枠なり3対3。スリットはほぼ横一線。インの田口節子がコンマ07のトップスタートを切って逃げた。これで優出の1つめの枠が確定した。


 3コース寺田千恵の攻めを警戒して、2コース金田幸子がやや張り気味に旋回したので、ターンマーク際が少し開く。ここにズッポリと入ったのが川野芽唯。バックでは3番手に1艇身差、ホームでは2艇身差をつけて、優出2つめの枠を手にした。

 激しくなったのは3着争い。1周目バックは金田と寺田の並走状態にあったが、1周2マークで寺田が金田を引き波にハメて、3番手を取り切る。

 本来ならば勝負ありだったのだが、寺田は貪欲だった。
 このまま3着キープでは優勝戦は外枠になってしまう。優勝戦の枠順をあげるため、2周1マークで仕掛けを打つ。2番手を走る川野が旋回のためにスピードを落とした瞬間、川野の内懐に飛び込んでいく。

 川野は一瞬怯んだようにみえたが、しっかりと寺田を交わして旋回。逆に川野の引き波にハマることになった寺田はターンスピードがダウン。そこに、山川美由紀と日高逸子が突っ込んできた。


 2周目1マークの旋回後は、外に寺田、中に山川、内に日高、ボートレースの女子戦を引っ張ってきた第一人者が、最後の優出の枠を争って、3艇で並走することになる。

 二人に比べると出足が劣る山川を、寺田と日高がサンドイッチにすべく挟みにいく。しかしバック裏で伸び出した山川は引くことなく、逆に2艇の間に艇をねじ込んでいく。


 3人すべてにチャンスはあったが、2周2マークで寺田の艇がバウンド、3周目ホームでは山川の艇が伸びていき日高の前に出て、これで山川の優出が決まった。

 女子予選から優出したのは、田口節子、川野芽唯、山川美由紀の3人。優勝戦ではルーキーズを阻む高い壁になることだろう。

(PHOTO/池上 TEXT/姫園)