BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――好気配

「クロちゃん、今日は長いよ~」と白井英治。そう、今日は12R1回乗り。出番はまだまだ先だ。でも、優勝戦ってそういうことでしょ。そう返すと「最終日は許す」とニッコリ。なはは~、レースが終わったら帰れる最終日と違って、3日目はまだまだ節の折り返しだからなー。だが、よくよく考えてみると、「一日が長い」ということは「一日びっしりと調子に費やす必要はない」ということ。そう、ある程度の感触は得ているということではないか。と言いつつ、ボートを見に行ったらペラは外れていて、いつでも調整を始められる準備はできているようなんだけど。ともかく、12R1号艇は万全で臨むことができそうだ。

 整備室には平山智加。本体整備ではなく、プロペラゲージ作成用のテーブルにいた。昨日の終盤あたりからそこにいるのを見かけており、今日もゲージ擦りに勤しんでいるというわけだ。平山の出番は5R。それほど時間があるわけではないが、ペラを叩いたりするのではなく、ゲージ擦り。ということは、平山もまた好感触を得ているということになるだろう。2R発売中にはペラを装着。3R発売中に試運転をして、5Rの準備は整ったというところか。今日の2走は非常に大事になってきそうだが、こちらも好気配で臨むことができそう。

 一方、同じ整備室で必死に本体を整備していたのは村松修二。2走して6着2本を並べてしまった予選前半、これではいかんと本体に手をつけたわけだ。村松の出番は平山と同じく5R。この作業内容の差はそのまま、昨日までの足色の差と考えていいだろう。村松は2R発売中に整備を終えて、やはり3R発売中に水面に出ている。整備の効果があったかどうか、5Rに注目したい。

 ワースト級ではないかと思われたのは馬場貴也だ。昨日は大きな整備をし、1Rもクランクシャフト交換で臨んでいる。馬場らしい素晴らしい旋回をレースで見せても、道中で抜かれてしまうという昨日までの足色は、馬場にとって大きなストレスとなっていたと思う。この1R、馬場は逃げ切り! 足がどこまで良化したかは正直わからないが、この勝利は精神的にも良薬となったはずだ。エンジン吊りの最中、胸を押さえてホッと息を吐く素振りも見せていて、それを遠藤エミが微笑みながら見つめていた。後輩も馬場の心情がよくわかるのだろう。

 一方、やはり厳しい足色と見えた柳沢一は、その1Rで5着大敗。ピットにあがって何度も首を傾げ、ヘルメットを脱ぐと「もうどうしようもない!」という声が聞こえてくるかのような苦笑いを浮かべているのだった。初日初戦は新プロペラで臨み、ここまで調整に必死だった柳沢。それでも良化してこないだけに、いよいよ本体に手をつけてくるかも。8Rの直前情報に注目したい。

 昨日のエンスト失格を大きく巻き返したのは平本真之だ。2Rで差し切り1着。大きな笑顔でレース後を過ごしていた。何度も書いているように、感情を隠さないのが平本流。このビッグスマイルは、まさに昨日の鬱憤を晴らすことに成功した充実感をあらわしていた。

 この2Rで5着に敗れた前本泰和は、珍しくハッキリとわかるほどに何度か首を傾げていたのだった。足色はかなり良く見えるのだが、結果につながらなかったこのレース。それだけに、前本も混乱気味だったのかもしれない。調整力は抜きん出ているだけに、この後にどんな手を打ってくるかを注視したい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)