GP常連組をぶっ倒せ!
――さぁ歴史を塗り替えろ。
今大会のキャッチフレーズなのだが、折り返しの3日目を終えてこのスローガンとは真逆の展開になりつつある。SG常連の既成勢力がやたらと幅を利かせているのだ。私が有力なV候補と見ている面々を列挙してみよう。
★菊地孝平=気合パンパン、機力も行き足中心にじわじわアップ!
★白井英治=例によって冷静的確な追い上げで上位着連発!
★中島孝平=抜群の回り足で大崩れなく進軍=優出パターンだ。
★平本真之=ぴったりのレース足で快進撃も8R5着が痛いかも?
★新田雄史=安定感抜群のテクニック&パワーで上位進出。
★池田浩二=無名の36号機を巧みに乗りこなして圏内キープ。
★瓜生正義=ドリーム失敗を外枠で挽回も、今日の6着は激痛か。
ね、まんまグランプリファイナルに並びそうな面々じゃないっすか? 本来ならこれに毒島誠(減点10点で後退)も加わるわけで、これだけ見回せば今節は「強い強いGP常連軍団が新勢力を圧倒!」みたいな流れではある。
では、なんでここまで常連組に偏ったかといえば、やはり超抜パワーと見ていた永井彪也66号機、守田俊介57号機の失速ではなかろうか。前検~初戦1着の両雄を見た私は「この浜名湖ツートップが最後までシリーズを引っ張り、GP常連組をも蹴散らす!」などと妄想を膨らませたものだ。
ところが、そこからまずは守田57号がまさかの6着・6着で迷走モードに突入。今日は「チルトマイナスが正解だった」(本人談)などの理由で再び1着を取りきったが、2戦で2ポイントしか採れなかった躓きは、もちろん明日以降に大きな重荷となるだろう。守田自身は「残り14点(=予選6・00)、獲る自信はあります」と鼻息を荒くコメントしており、舟券とともに巻き返しに期待するとしよう。
彪也66号機に至っては、初日の惚れ惚れするような3コースまくり差しから一転、自慢の直線足の衰えとともに5・5・6着とありえない崩れ方でV戦線から消え去った。66号機に何があったのか、はたまた彪也自身に何かがあったのか……現時点でまったく分からないのだが、3日目での赤信号は心の底から残念でならない。
優勝争いに戻ろう。自称・穴党としてはただでさえ人気のGP常連組より、ちょいと人気の盲点になりそうなSGタイトルゼロの伏兵を応援したくなるというもの。で、チョモランマのようにバカ高い「SGウイナー山脈」を飛び越えるダークホースがいるとすれば、おそらくこのふたりではなかろうか。
★上野真之介
初日の開会式でやおら「全力で、人生変えたいと思いまーす!」と叫んだノスケ。なんだなんだ?と思って聞いていたが、ここ3日間の成績はマジでレーサー人生を変えるかもしれない大チャンス! 初日から4号艇2着~1号艇1着~5号艇3着~3号艇2着としっかりガッチリ枠番より上位の着を並べ(ゴルフなら5アンダー!)、3日目を終えて暫定3位の好ポジションを取りきった。
でもって相棒の24号機も、かなり頼りになる出足系統を披露している。私がウムムと唸ったのは、初日後半8Rの1マークだ。一見、単純なイン逃げではあったが、2コースから的確に差した関浩哉を出口からスーーンッと突き放した一瞬の足。あれを見た瞬間に「乗り手にぴったりのレース足だな」と思い、ほぼ同時に「今節のノスケはヤバいかも!?」と直感した次第だ。
明日の上野は【3R6号艇・10R2号艇】の試金石。特に3Rで舟券に絡んだりしたら、選手紹介の抱負がグッと現実味を帯びてくる。真之介の中の何が「人生を変えたい」と言わしめたのか。その答えは、3日後の優勝戦インタビューで周知の事実になるのかも知れない。
★関 浩哉
去年1年間の勝率が6・75。この数字でも確かな成長を感じていたところ、今年の関の勝率ときたらば、昨日まで7・77の大フィーバー!! オーシャンカップを制した同県の椎名豊が7・67だからして、数字だけならまたまたSG初制覇があっても不思議はない勢いで浜名湖に乗り込んだわけだ。
そして、いきなりイン逃げでSG水神祭から今日まで大崩れなく1244着。今日の12Rは、まさにGP常連の白井英治、中島孝平、濱野谷憲吾らと斬った張ったの立ち回りの果ての4着(1周バックでは6着やむなしのポジションだった)。単なる着順に留まらず、この2分弱の間にどんだけ経験スキルを上げたことだろう??
相棒の23号機は機歴30%ながら、前検から「なんか雰囲気があるぞ」とAランクに指定。前述、上野との1マークで「やや劣勢」と感じたし、2日目の4着にも「やっぱ30%の限界があるかも」と思ったりしたが、それでも中堅上位はありそうだ。わずかなパワー不足を伸び盛りのスピードでどこまで補い、どこまでGP常連を脅かせるか。明日の【4R3号艇・10R6号艇】でも無限大の伸びシロを余すところなく出し尽くし、できれば椎名に続いてSGの歴史を塗り替えてもらいたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)