BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――穏やかな秋のピット

 池田浩二とプロペラ談義をしている濱野谷憲吾。SGのピットではもうずっと、このふたりが仲良さそうに話している姿をよく見かけるわけです。手のひらをプロペラの翼面に見立て、手を当てながら池田に問いかける濱野谷。常滑の調整方法を伝授してもらってるといったところだろうか。

 池田がボートを水面に下ろそうとリフトに向かうと、そこで中野次郎と福来剛が話し込んでいた。加わって談笑を始める池田。池田が盛んに言葉をかけると、中野は腕を広げたり、突然お辞儀したり、腰をくいっと捻ったり、なんだかよくわからんアクションを始めた。何の話をしてたんでしょうか。福来がおかしそうに笑っていると、宮之原輝紀が合流。4人が4人とも、ニコニコと楽しそうだ。今朝の池田は東京支部と仲良し!

 で、その脇をキリリっとした表情の深川真二が着水のため通過。中野と福来はささっと道を開けている。その深川の凛々しい感じと、池田&東京勢の和やかさのコントラストがなかなか面白かったです。秋晴れで穏やかなピットの、ちょっとした風景でありました。

 さて、2Rでは河合佑樹が逃げ切り。これで水神祭組は全員がSG初勝利を達成したことになる。5~6人の対象者がいて、2日目の序盤でコンプリートというのはなかなか珍しいことではあるまいか。3R展示航走のピットアウトを待って、ゆるゆるとボートリフトへと艇を進める河合に、出迎えた菊地孝平と井口佳典が笑顔で手を振る。さらに深谷知博も追随し、艇の上で河合は何度も頭を下げていたのであった。陸に上がってヘルメットをとると、うーん、ナイススマイル! 先輩たちの祝福を受けながら、河合は爽快な勝利後の空気に浸っていたというわけだ。

 一方、5着に敗れた磯部誠は明らかに不機嫌そうな表情だった。2号艇での大敗は痛いポイントダウンに決まっていて、単なる落胆ではなく、結果を出せなかった己を責めるかのように険しい顔つきになるあたりに常滑SGへの思いが透けて見える。8R5号艇は、センター枠と1枠を残す明日以降の戦いに向けても、重要な戦いとなりそうで、何としても好着順で乗り切りたいところだろう。

 1Rは岡崎恭裕が逃げ切り。初日は6号艇6着大敗で、好枠でなんとか巻き返しに成功した格好だ。岡崎はエンジン吊りに加わった上野真之介に盛んに何か話しかけていて、写真では人差し指を立てて何かをまくしたてている。当然「1着獲ったぞ!」ではないよね。選手同士のみに通じる、高度なレーサー言語だったのかな。ただ、逃げ切り快勝に気分は良さそうではあった。

 このレースでは江口晃生が前付けで2コース奪取。3着と舟券には絡んで、柔らかい表情でピットに戻ってきている。そして、まずは岡崎のもとに歩み寄って、右手を掲げつつ、ごめんね。さらには、コースを奪った格好になる2号艇の大上卓人にも寄っていって、同じように言葉をかけていた。前付けは言うまでもなく、勝利へのこだわり。そして、江口が前付けに動くのは選手たちも想定している。それでも、レース後は礼儀として、たとえ相手が後輩であっても、礼を尽くすというわけである。ま、大先輩に頭を下げられた大上は恐縮してましたけどね。というわけで、明日からも江口はブンブン動いてくれることでしょう!(黒須田)