BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

河合60号機の悲運

10R
①田村隆信(徳島) 12
②河合佑樹(静岡)    13
③井口佳典(三重)    17
④濱野谷憲吾(東京)17
⑤池田浩二(愛知)    15
⑥宮之原輝紀(東京)11

 機材の故障で再スタート。そんなレアなアクシデントが、仕切り直しのレースに反映してしまったか。準優の第一弾は、実質的に1周にも満たない乱戦になった。
 進入は地元の大スター池田が動かず、穏やかな枠なり3対3。そこからスロー勢がしっかり踏み込み、田村が逃げて河合が差しての順当なワンツー決着に思えた。が、準優の1周2マークには魔物が潜む。河合が2番手ターンでスッキリ優出を決めようとした瞬間、最内から差し伸びていた宮之原が怒涛の突進!

 その奇襲をモロに浴びた河合はもんどりうって横転し、ギリギリ転覆を免れた宮之原も間もなく妨害失格で水面を後にした。3日目にも先頭→3番手に後退した河合にとって、まさに1周2マークは鬼門ポイントと言えるだろう。優勝戦に相応しいパワーだっただけに、残念でならない。

 一方、118期のルーキー宮之原の妨害は、まんま「若気の至り」と表現していいだろう。トップスタートを決めて、最内を差したらバックからするする伸びて行って、2着に届きそうな景色が広がった。
 よしゃ、いったれ!
 目を瞑って攻めたら、眼前に河合がいてジ・エンド。もちろん褒められるアクションではないが、ファイナルへの貪欲な闘争心をひしと感じさせる突進ではあった。SG初出場の緒戦に水神祭。予選は粘りに粘って準優に滑り込み。そして、最後は若気の至りで玉砕。良くも悪くも、全国のファンの脳裏に深い爪痕を刻む6日間だった。

 若い2艇がもつれ合っている間に、大ベテランの濱野谷と井口が「漁夫の利」とばかりぽっかり空いた内水域を通過。2周1マークは優出を懸けたニコイチのラストバトルとなったが、濱野谷が冷静にターンマークを先取りして勝負あった。すったもんだの末に、田村と憲吾のベテランふたりが優勝戦に駒を進めた。田村は鳴門チャレンジカップへ、大きく前進する1着でもあった。

上平9号機の神撃

11R
①馬場貴也(滋賀)14
②茅原悠紀(岡山)14
③吉川元浩(兵庫)11
④瓜生正義(福岡)17
⑤上平真二(広島)18
⑥田口節子(岡山)20

 こ、こ、これは……??
 艇界随一のスピードスター馬場が逃げきったのは当然として、2着に食い込んだのは5号艇でF2持ちの上平だった。凄い。いろんな意味で凄すぎる。
 レースを賑やかにしたのは3号艇の吉川だ。起こしから猛烈な加速感とともにスリットに向かい、直前でやや放ったものの出て行く出て行く! アジャストした分だけ伸び足は制限されたが、それでも抱いて握って2着は十分という素晴らしい猛攻だった。

 だがしかし、そんな元浩の優出に待ったをかけたのが、茅原でも瓜生でもなく手負いの上平だったのだ。今日もさほど無理をしないコンマ18発進から、全速の握りマイで二番差し瓜生と一番差し茅原をいっぺんに引き波に呑み込み、さらに鋭角な差しハンドルで元浩の内フトコロに舳先を捩じ込んだ。9号機の超絶出足系パワーのなせる業だが、上平48歳のターンスピードも凄まじかったぞ。

「ボートレーサーの上平真二です」
 が最近の定番コメントだが、今や老若男女のボートレースファンでこの名前を知らない人間はいないだろう。だとするなら、このコメントは世界発進というか、艇界の外へ我が名を知らしめるメッセージとみることもできる。ユーチューバーになってから、選手としての成績も飛躍的に伸びた上平。前本もそうだったが、広島には名人世代になってから急成長する“美魔男”があちこちに潜伏している気がしてならない。
 嗚呼、それにしても上平さま、昨日からの準優予想で「1-全-5」などという不謹慎な予想を垂れ流して、ごめんなさいっ!!(←自業自得のオケラ街道><)

関63号機の不覚

12R
①菊地孝平(静岡) 07
②関 浩哉(群馬) 08
③山口 剛(広島) 09
④柳生泰二(山口) 16
⑤今垣光太郎(福井)20
⑥塩田北斗(福岡) 23

 今シリーズ、機力も気力も100%MAXに振り切れた菊地が、しっかりガッチリ逃げきった。スタートはこれぞ菊地と呼ぶべきコンマ07。これも含めて明日の優勝戦へ完璧なリハーサルと呼んでいいだろう。
 で、準優で肝心カナメの2着争いは、私の脳内レースより混戦模様になった。「パワーもコースも断然有利な山口×関のニコイチ勝負」と見ていたらば、最内から猛然と襲い掛かったのが今垣光太郎だ。

 今日の光ちゃんは1Rの前から何度も何度も水面に降りて、入念すぎるほどの足色チェック。その甲斐あってか最内からの伸び足はなかなかに迫力があり、あわや2着なのか?と思わせる2マークではあった。が、やや強引な鋭角ターンは、ターンマークに衝突して万事休す。後続艇が玉突き失速している間に、するする抜け出したのはやはり関と山口だった。結果論かも知れないが、こうした明暗にも残酷なパワー較差が反映された気がしてならない。

 さて、最後の見どころは「関か、ツヨポンか??」の一騎討ち! 態勢的には関63号機がかなり有利に見えたものだが、ケリをつけるべき2周1マークで菊地の引き波をしっかりなぞる高カロリー旋回。さすがの63号機もこの重い航跡に悲鳴を上げてキャビテーション! その内側を山口がスルリと通り抜けて完全に体が入れ替わった。

  関にとっては痛恨の2周1マークではあったが、最内から2本の引き波を超えて出て行った山口29号機も評価すべきだろう。昨日までの【出B+・行A+】から【出A・行A+】に引き戻したい。さらに4号艇の明日、初日あたりまでブイブイ云わせたスリット足が【S】になったりしたら、実に面白いセンター枠とお伝えしておこう。(photos/シギー中尾、text/畠山)