BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

若気の至り

10R
①毒島 誠(群馬) 16
②宮之原輝紀(東京)14
③柳生泰二(山口)  20
④井口佳典(三重)  22
⑤中澤和志(埼玉)  19
⑥前田将太(福岡)  18

 大本命の毒島がインから危なげなく押しきった。スリットは内2艇が抜けた見え方で、トップSの宮之原がやや煽り加減に。それでも焦らず騒がず、宮之原のゴキゲンな行き足を高い壁に代えて、ターン出口でファイナル一番乗りを確定させた。強い。

 毒島27号機は3日目あたりからバチッと調整が当たってB+~Aレベルまで上昇。特に出足系統に活が入って、手前に関しては間違いなく上位のひとつだろう。ここ2年ほどの毒島はSGでトップ級まで出し切ることができない印象があったのだが、今節はしっかりVが狙えるレベルまで叩き上げたと思うのだがどうか。ただ、スリット~1マークまでの加速感は一息で、明日が2、3号艇になったときにはスリットから攻めあぐねる可能性もありそうだ(←10R終了時の感想)。

 独走の毒島に対して、2着争いは準優らしい大混戦となった。まず、バックで優位に立ったのは2コースから差した宮之原。スリット突出~待って待っての差しになった宮之原は、ホーム向かい風も浴びてやや失速。それでもなんとか二番手を取りきったところ、内から外から百戦錬磨の先輩が襲い掛かる。その気迫に圧されるように2マークで減速したらば、あっという間に柳生や中澤に交わされていた。もちろん、「狭い戸田の2マーク攻防はどの場よりも難しい」という原因もあっただろう。それも含めて、若さを露呈した2マークのズリ下がりではあった。

 だがしかし、若いが故に後手を踏んだ宮之原は、若いが故にふたつの着順を取り戻した。1周回って戻ってきた2周2マーク、4番手の大外から迷うことなく全速のぶん回し!! これが凄まじい必殺パンチとなって、あっという間に安全圏の2番手に返り咲いていた。

 柳生・中澤がやや前詰まりになった展開の利もあったが、それにしてものターンスピード。明日は外枠からの戦いを余儀なくされるが、だからこそのダッシュ戦で思う存分に“26歳の若さ”を露呈してもらいたい。

節イチの断末魔

11R
①枝尾 賢(福岡)12
②桐生順平(埼玉)09
③重成一人(香川)06
④山崎 郡(大阪)06
⑤土屋智則(群馬)09
⑥遠藤エミ(滋賀)18

 郡42号、おつかれさま!
 このレースだけは私的回顧っぽくなってしまうが伸びーーる郡42号機が5日目にしてやっとその片鱗をスリットで見せてくれた。内の重成と同体から、伸びなり一気の絞めまくり。1マークまでの伸び足の差はケタチでまんま押しきるかと思えたが、重成の舳先ひとつの猛ブロック~2コース桐生も握って応戦というツープラトン防衛網の前に、バランスを崩してその場にしゃがみこんだ。

 もちろん、私の郡アタマ舟券も同時に紙屑と化したのだが、本当に心の底から惜しい1マークだった。嗚呼、負け犬のタラレバを吠えさせてください。
――おーーい、戸田のお天道様、このレースの時間帯は向かい風7m前後の予報だったのに、しかもスタート展示ではいい感じで吹いてたのに、なんでレース直前にぴったり止んでしまったの? あのまま吹いてたら、スリット同体で十分にまくりきれたはずなのにーーーー(号泣)

 はい、少しスッキリしたので、投げやりながらも先に進むとしよう。必殺仕事人の郡が脱落した1マークから、展開を突いて先頭に立ったのは5コースの土屋。さらには2コースから何気にジカまくりで先攻めした桐生。準優としての焦点は、ほぼほぼ「このふたりのどっちがファイナル内枠×外枠に振り分けられるか」に絞られた。

 その採決は、2マークを先制した土屋が内枠、差して届かなかった桐生が外枠に。どっちもありそうな2マークの攻防だったが、わずかに土屋の出足系統が強力だったのではなかろうか。いずれにしても、予選2位の①枝尾が敗れたため、ファイナル1号艇は10Rを勝った毒島かこれから12Rを戦う①吉川か、両者のニコイチに絞られた。

恐るべき伸び返し

12R
①吉川元浩(兵庫)22
②峰 竜太(佐賀)20
③平本真之(愛知)16
④池田浩二(愛知)15
⑤新田雄史(三重)12
⑥末永和也(佐賀)15

 予選トップの元浩がいちばん遅いスタートから堂々と逃げきった。相棒の36号機はやはり半端なく噴いている。スリットから伸び返すわ伸び返すわ、1マークの手前では「トップスタートだったのでは?」と思うほど舳先を突き出していた。

 で、くるり回ってターン出口で後続を3艇身ブッチギリ。2コースの峰、4カドから差した池田らGP複数制覇コンビをまったく寄せつけずにファイナル1号艇をモノにした。勝ちタイムの1分47秒4も、10Rの毒島をコンマ8秒も千切り捨てる今日イチ時計でもあった。明日も同じタイミングならどうかとは思うが、普通にスリット横一線ならあっさり逃げて不思議はないだろう。あの、怖い怖い人機がいないのだから(また涙)。

 さてさて、2着争いは先行する池田に平本が絡みついて、愛知支部の仁義なき死闘が繰り広げられた。その顛末は……途中で池田が抜け出したように見えたが突き抜けるだけの足色がなく、今度は平本が逆転かと思いきや直線で突き放すだけの伸び足がなく、すったもんだの接戦の末に平本がギリギリ池田先輩を競り落とした。

 丸々2周に及ぶノーズトゥテイルの激闘だからして、両者の機力はどっこいどっこいではなかったか。でもって、その水準がどこまで高かったのか、は明言できない。接戦とはいえ、元浩から2秒2も千切られる2着争いだったから。4番手から追い上げた峰も含めて「3者ともにストレートが弱そうだった」と思うのだがどうだろうか。(photos/シギ―中尾、text/畠山)