BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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これぞ団体戦らしさ!の後半ピットから

 レースで2周2マークを通過したあたりになると、エンジン吊りへと仲間選手たちが向かい始める。もちろんその後に逆転があるのも普通のことだが、それでも一刻も早く出迎えようと、選手たちはリフトへと向かうのだ。ただ、今節はその途中で立ち止まる選手もちらほら。装着場の角のほうにJLCの勝利者インタビューブースがあり、そのモニターもレースを映し出している。そこで立ち止まり、レースの様子、特に後方の順番を確認している選手がけっこういるのである。そう、この大会は後方の着順も重要。味方チームが1着を走っていても、あとの2人がゴンロクを走っていたら団体ポイントは敵方に渡ってしまうのだ。あるいは、敵方が1着でも、味方が2着3着5着で団体ポイントはゲットできる。だから後方の順番というのもおおいに気にかかるわけである。今のところ、ポイントゲットしてワーキャー、という場面は目撃していないけれども、それでも団体戦らしい光景はそんなところにもあらわれているという次第。

 そう、表立ってはそれほど団体戦ムードは見えないけれども、選手たちはけっこう盛り上がっている。5R、原田才一郎がカドから仕掛けて展開を作ったことは前半の記事にも書いたが、周囲は原田に戦前から「行け!」と圧をかけていたとか(笑)。外枠に入った場合は4号艇が攻めるか攻めないかは団体戦においては大きなカギとなりますからね。もちろん5枠6枠を引き出す、というよりは、まず自分がまくって勝つことを考えるのでしょうけど。

 9R、砂長知輝が4号艇4カド。内を叩いていって、しかしインの中田夕貴を超えるまではいかず、ここはまくり差しかなあ、と見ていたら、なんと上を行った! ツケマイ気味のまくりは中田に受け止められたが、これもまた団体戦ならではだろうか。“本紙予想”に書いたように、近況の砂長は4コースではまくりが多いから、団体戦うんぬんではなくとも上を握っていくことを選択した可能性はある。まあ、若いときはがんがん上を握ったほうが絶対に強くなると信じているので、その意気や良し、だ。

 そこから、砂長は諦めずに中田を攻め立てている。2マークも握ってホーム並走に持ち込み、接戦を演じた2人。最後は中田が押し切ったが、なかなか好レースであった。埼玉支部の先輩後輩であるこの2人。レース後は顔を見合わせて楽しそうに笑い合った。中田としては、いいレースができ、しかも勝てたことの喜びもあっただろう。もちろん「砂長くん、やるわね」という意味の笑みもあったか。好レース後のノーサイドシーンはなかなかに心地良い。

 11Rは井本昌也が4カド一気! 見事にまくり切った。浦野海はもちろんそれに続くべく差し場を探したが、むむむ、前が詰まってしまった! 行き場をなくして後退し、無念の6着である。4コースがまくったとしても、これがあるんだよなあ。もちろん、レース後の井本は会心の表情を見せていた。

 で、内枠のレディース3人がよく粘った! 川崎智稔が3番手を獲れば団体ポイントはルーキーズだったが、追われた野田なづき、蜂須瑞生が前に出るのを許さない。最後は川崎を退けて、野田と蜂須の3番手争いに持ち込んだのだから、2着に残した高田ひかるも含めて、団体戦としての貢献度大! 2~4着がレディースで、ポイントゲット!

 10Rは西橋奈未が4カドから攻め切れずに差し回りとなったが、出口で舳先が浮いてしまい、シンガリまで後退してしまった。しかし、そこから西橋は追い上げる追い上げる。4着までが精一杯だったとはいえ、6着必至の隊形から2艇を交わしたのは見事であった。ここは佐藤航-山本稔太朗がワンツーを決めたので、団体ポイントはルーキーズにわたっているが、しかしひとつでも着順を上げることが重要な大会でもあるのだから、西橋の猛烈な走りは団体戦らしさもたたえていたと言える。まあ、そうでなくとも、ナイスファイトだったなあ、西橋奈未!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)