●11Ｒ
好調ぶりを示していた井本昌也が、バック直線で転覆してしまった。３艇並走の真ん中で、あおられたようなかたちになって舳先が持ち上がり、そのままひっくり返った。直線での転覆はやはり肝を冷やすもので、ピットには悲鳴に近いどよめきがあがっている。幸い、井本に大きなケガはないようで、着替えを終えた後はボートの引き上げに駆け付けている。悔いの残るレースになってしまったが、明日の鬱憤晴らしに期待だ。
３着に入って優出を決めた中亮太がボート引き上げと、その後のエンジン吊りやボート洗浄に加わっている。３艇並走の最内にいたのが中で、責任を感じたということだろうか、ピットに戻って来てからも神妙な表情を見せていて、カポックと勝負服を脱ぐと、そのままリフトへと駆け出したのだった。それでも、昨日の勝負駆け成功からの優出はさすがの一語である。優勝戦も６号艇になるが、井本の分まで存分に暴れてもらいたい。
２着に入った三村岳人には、同県同期の川崎智稔や同期の山本稔太朗が祝福を送った。１マークを果敢に握っての２番手追走で、気風のいいレースぶりが優出につながった。三村はこれが嬉しい初優出！ 仲間に声をかけられて、爽やかな笑顔が浮かんでいた。優勝戦は４号艇。一昨日に10マンシュウを叩き出したのが４号艇４カドからのまくり一撃だった。再現あるかも!?
勝ったのは、砂長知輝。完勝と言っていいだろう。同支部で１期先輩、“大蒜卍會”の総長でもある佐藤航が大喜び！ 笑顔で出迎えて、砂長以上にテンションが高く、さらには勝利者インタビューでもカメラの後ろでさんざんふざけていた（笑）。もちろん砂長も素直に喜んでおり、先輩の振る舞いに応えるように笑顔を振りまいた。さあ、明日は念願の初優勝なるか。２号艇からルーキーズを牽引するレースを見せたいところ。
●12Ｒ
レディースの準優勝戦は鎌倉涼が２コースから差し切った。高田ひかるが３カドに引いたが伸びず、それでもまくりを警戒したか、ふところを開けたイン中田夕貴をズバリと鎌倉が差し切った格好だ。会心の勝利ではあったわけだが、レース後はかなり淡々としていて、ちょっと意外。優勝戦は１号艇だが、そういう高揚感も見えなかった。初日ドリーム１号艇が優勝戦も１号艇。今節の主役を完全に握った格好だ。これまで９回行なわれたこの大会、レディースの個人優勝は平高奈菜のみ。同期につづく優勝なるか。
中田が２着に粘って、ちょっと悔しい優出。出迎えた佐藤＆砂長と話ながらも笑顔を見せていて、エンジン吊りの間はずっと笑みを絶やさなかった。そのことが心中のもやもやを隠そうとするものに見えて、かえって悔しさの表現のように思えたのだった。実際、エンジン吊りの輪から離れて一人になると、すーっと笑みが消えて険しい表情になっている。１号艇で敗れる準優、たとえ優出を決めたとしても心底喜べるものではないのは当然だ。
３着は西橋奈未で、ルーキーズ同様、昨日勝負駆けを決めた６号艇が優出切符をもぎ取っている。１号艇３着からスタートした今節、展開に恵まれないところもあって、決して突っ走ったシリーズとは言えなかったが、最後にきっちりファイナリストに名を連ねたのは立派だし、さすがである。すでに書いたが、昨年の尼崎大会で優出し、３カドに引いたものの、６着大敗。ルーキーズの団体優勝を決することにもなってしまった。そのリベンジを果たす機会が訪れた。レース後の西橋はまったく笑みも見せずに淡々としていたけれども、心中に燃えるものがあるのは確実だ。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
