BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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がんばれ若者たち!の3日目前半のピットから

「完全に割り込んでる……」
 ルーキーズの面々が呟く。5R、2号艇の飯塚響が、3号艇の真子奈津美が舳先を向けてからかなり遅れて2コースに進入。真子はすでにターンマークを通過していたから、まさに割り込みがとられそうなコース獲りだった。なにしろ、団体戦では待機行動違反がとられれば相手チームにポイントが与えられるから、ルーキーズとしては見逃せない進入なのである。真子がピット離れで遅れ、回り込んで枠番通りの3コースを獲ろうとする動きを見せていて、インの鎌倉涼と真子の間隔はまあまあ広かったから微妙なところではあるのだが、それにしても飯塚のコース獲りはゆっくりしすぎていたのはたしかだ。

 もっとも、鎌倉が山口広樹のカドまくりを張りながら逃げたものの、中野仁照と中野希一がその展開を突いて差し込んでおり、山口も4番手に残していたから、着順点的にもここはルーキーズのポイント。「どっちにしてもポイント獲ったか」という呟きも漏れており、とにもかくにもここはルーキーズに1ポイント!

 結局、飯塚は案の定、待機行動違反をとられてしまった。飯塚はこれが初のスロー発進。昨日3号艇があったが、ピット離れで遅れて4カドになっていたから、正真正銘、デビューしてから初めてスローに入ったのだった。それが少々イレギュラーな流れになったのは気の毒ではあったが、こうしてルールを身体になじませていくのだろう。

 その飯塚にレース後、寺島美里が長いこと言葉をかけていた。待機行動のことだったかもしれないが、寺島は右手をボートに見立てて何度も弧を描くように動かしており、旋回について話していたようにも見受けられた。そう、初のスロー発進だから、旋回もまたこれまでにはない初動の位置であり、ハンドルのタイミングであり。山口に叩かれる展開だったから思い通りのターンができなかったのは当然で、それについて寺島がアドバイスを送っていたようにも思えた。こうして経験を重ね、先輩の指導も受けながら、若手は進化していくわけである。今節かどうかはわからないが、やがて1号艇も回ってきて、インコースのレースも経験することになるだろう。頑張れ! そして一日も早い水神祭を!

 6R、中亮太が見事な3カドまくりで快勝。這い気味だった流れをようやく脱却する、気持ちのいい勝利だった。と思いきや、レース後の中は極めて神妙な様子。すぐに対戦相手に頭を下げて回り、頬を引き締めたまま控室へと戻っていくのだった。レースに対しては真面目なんだよなあ。彼をかわいがっている西山貴浩も同様だが、普段コミカルに振舞っていても、水面では真剣勝負! もちろん陸でもきっちり仕事をこなす。そのうえでのふざけた(?)振る舞いだから、得難いキャラになれるわけである。この勝利を機に巻き返せ!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)