BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

順当!? それとも……の準優ピットから

●11R ルーキーズ準優勝戦

 A1級が3人出走し、その3人が1~3着を独占した。という結果を見れば、これは至極順当にケリがついた、ということになるだろう。
 ただし、安堵の思いが伝わってきたのは、やはり安河内健だ。予選最終走は他艇が接触失速したことで進路をなくしての6着大敗。これで予選落ちの危機まであっての、準優6号艇である。A1級といえども、24人中6人、4分の1という狭き門を潜り抜けて準優出した面々は足的にも腕的にも勢い的にも楽な相手ではない。そうしたなかで6コースからしっかり捌き切っての3着は、不利を乗り越えての優出という意味でも、テンションを上げるものだろう。実際、同期でともに優出を決めた中亮太とはグータッチ!

 そう、1号艇の中亮太はしっかりと逃げ切って、優出を決めた。準優1号艇というのは当然、プレッシャーがかかる場面であり、だから乗り切っての快勝後は実にいい笑顔を見せている。ちなみに、準優1号艇は過去5回あって、なんと2勝3敗の負け越し。これで五分になったわけだが、それもトップルーキーに選出されるまでになった成長の証しであろう。勝利者インタビューに向かう際、こちらと目が合った中は、実に力強い目力で2度3度うなずいてみせた。その様子からは、これが会心の勝利であったことが存分に伝わってきたのだった。

 2着は末永和也。昨日も1号艇・中、3号艇・末永というレースで、中1着、末永2着。同じような結果となったわけだが、それでも優出を決めたことで、明るい表情を見せていた。機力的には決して上位級とは見えなかっただけに、ひとまず優勝戦に辿り着いたことで、彼もまた安堵の思いを抱いていただろう。

 その末永に言葉をかけていたのは、石原翼だ。差して届かずの展開で、さらに末永に外を交わされていっての優出圏脱落だったから、その場面について末永と振り返り合ったのだろう。石原はヘルメットをかぶったままだったが、ちらり垣間見えた目つきはかなり悔しそうに細まっていて、地元のこの一戦で、しかも白組団長として優出を逃したことへの痛恨がうかがえたのだった。この結果はたしかに残念。しかし、団長にとっては明日の団体戦もまた重要になってくる! 特別選抜A戦での8ポイント奪取にしっかり貢献したいところだ。

●12R レディース準優勝戦

 A1級5人、B1級1人という準優で、B1級の平川香織が見事に優出! 1マークはまくり差して2番手に出てきて、2マークでは中村桃佳を制して先マイ、突っ込み逆転を狙う平高奈菜をも交わし去って2着となっている。この2人を相手に立ち回って2番手確保は、もちろん20号機のパワーによるところも大きいとはいえ、立派の一言! レース直後は真摯な顔つきでエンジン吊り、ボート洗浄とこなしていたが、控室へと戻る途上で中村と言葉を交わしたときに、目元がふっとほころんだ。レースぶりもそうだし、結果もそうだし、そりゃあ嬉しいよね! ほんの1カ月前にデビュー初優出を果たし、これが2度目の優出だ。明日もA1級5人、B1級1人という組み合わせになるが、怯まずぶつかってほしい。

 中村は、同期の倉持莉々のもとに歩み寄って、しばし言葉を交わした。倉持は握った中村の引き波をなぞるようなかたちになっており、さらに逃げた鎌倉の引き波に乗って後退。そのあたりの展開について、語り合っていたか。最後、中村が軽く頭を下げており、倉持の無念も引き受けたのかもしれない。中村も平川同様、神妙な表情でいる時間が長かったが、鎌倉と健闘を称え合ったときに、微笑みを浮かべている。

 それにしても、超抜パワーと見られた倉持は無念極まりないことだろう。エンジン吊り、ボート洗浄、さらには控室に戻るまで、ついにヘルメットを脱ぐことなく、シールドも下りたまま。最後の最後にちらりシールドを上げただけだったので表情はしっかりと見ることはできなかったが、逆にそれこそが悔恨を表現しているように思えた。

 勝ったのは鎌倉涼。これで芦屋大会に続いての、優勝戦1号艇を手にすることとなった。その芦屋では2着に敗れているだけに、雪辱の思いは強い。また、これはYouTube「週刊BOATBoy」のインタビューで言っていたことだが、芦屋で団体優勝を逃したのは自分のせいだという思いもあるようだ。勝っていればレディースが勝っていたのは事実で、しかし実際はルーキーズがしっかりと着を獲っていたことがルーキーズ勝利の要因だったのだが、それでも「もし逃げていれば」の思いがあるのであれば、明日はかなり気合が乗ることになるだろう。もし逃げれば、52号機は深谷知博→鎌倉涼の夫婦リレー連続V! そんな快挙が明日、見られるだろうか。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)