BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――好機ゲット!

 ピットで久しぶりに笠原亮と会話を交わした。グッと来た。19年メモリアル以来のSG。ただSGから遠ざかったわけではない。20年8月に大けがを負い、それから1年以上、戦列を離れた。感動的な復帰して即優勝はあったが、B2級からSGに戻ってくるには当然、時間がかかる。その間の苦労は筆舌に尽くしがたいものもあったはずで、欠場中は復帰できるかどうかも危ぶまれていたのだから、ここに辿り着くには並大抵ではない努力を積んできたはずだ。
 いざ話してみれば、以前の笠原と何も変わったところはない。「僕、やれますかね?」とちょっとネガティブなことを口にするあたりも(笑)。それがまた、なんとも感慨深かったりして。今節はまずは、SGに戻ってきたのだということを実感しつつ、猛反撃の足がかりをつくる節にしてほしい。モーターは三島10基に入っている好モーターだ!

 西山貴浩が、SGでは珍しく好モーターを引き当てた。児島では上位6基にはオレンジ色の機番プレートを付けているのだが、西山の51号機はまさにそれ。声を掛けたら、突如キリリとした顔つきになって、グッドポーズ。「SGでは初めていいの引いた」と呟いた。うん、たしかに俺も初めて見たぞ。そう返したら、ニヤリと笑って去っていった。なにしろSGでは劣勢パワーに苦しんで整備をしている姿ばかりを見てきたから、今節は一味違う西山貴浩が見られるかも。実際に乗ってみたところ、合わせた前田将太のほうが分が良かったということだが、西山自身も好感触。「今節はやりまっせ~」と言いつつ、特に作業をすることなく帰宿準備に向かったのだった。西山ファンの皆様、おおいに声援を送ってやってください!

 グラチャンでSGウィナーになったばかりの磯部誠も好機=40号機をゲット。途中帰郷となってしまったボートレース甲子園では凡機にかなり手を焼いてもいたから、その悪い流れは早くも断ち切ったと言えそうだ。水面に出る前に話したときには、1カ月前の一般戦に参戦した際に40号機を見たときにはそこまで良く見えなかったと、不安めいたことも口にしていたのだが、乗ってみたらやはり力強さを感じたようで、表情まで力強さをたたえていたのだった。ドリーム戦の記者会見でも言葉に力が込められており、SG覇者となったことで風格が漂い始めたようにも見えたものだ。SG2節連続Vに向けて、ナイスな相棒を手にしたのは間違いなさそうだ。

 地元の茅原悠紀も評判機である20号機を引いたぞ。走り慣れた水面で好機を味方にするわけだから、まさに鬼に金棒。会見ではポジティブな言葉も並んでいた。なんでも、プロペラの内容が想像以上に素晴らしかったんだとか。このままレースに行けそうとも言っていて、地元の調整を知り尽くした茅原がどんな判断をするのかにも注目したい。で、茅原自身は平常心を強調していたけれども、僕には少々ピリついたものが見えたような気がしたのだがどうか。もちろんそうなるのが当然の地元SG、好機を手にしたことでさらに闘志が高まるのは必然とも言える。まずは6号艇でどんな走りを見せるのか、ドリーム戦に刮目したい。

 地元でSG初出場を果たす藤原啓史朗は、動きを見た感じ、平常心で臨めているようだった。初めての大舞台がホームというのは、やっぱりデカい。登番は下から5番目なので、新兵仕事もこなしており、まさに慣れ親しんだピットでイキイキと動いているのだった。本日、YouTube「展望BOATBoy」にも登場してもらったので、ぜひご覧ください。初対面だと思っていたら、実は19年ヤングダービーで会っているのだが(着用していたベイスターズのユニフォーム=荒波翔のもので思い出した)、話をしたのは初めて。こんなにも腰の低い好青年だったとは! 引いたモーターは実績一息だが、記念すべき初陣、応援しちゃうぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)