BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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優勝戦 私的回顧

二代目襲名??

12R優勝戦
①濱野斗馬(香川) 01
②岩崎芳美(徳島)    12
③為本智也(福井)    15
④細川裕子(愛知)    14
⑤海野ゆかり(広島)14
⑥小林孝彰(福井)    18

 初日から11112111①着。スタートは初戦のコンマ13以外はすべてゼロ台、最後の今日はコンマ01のタッチS! ルーキーズで唯一のA1レーサー濱野斗馬(香川・126期・24歳)が、圧倒的な強さで待望の水神祭を成し遂げた。おめでとう!

 この大会のちょいと不思議なあるあるで、特定のルーキーが呆れるほど強い勝ち方でシリーズを独走することがままある。今節は斗馬がその役を担った。同県の中村日向が参戦していれば一味違う流れだったかも知れないが、とにかく独壇場としか呼べない一節になった。もちろん、斗馬自身にとっても生涯忘れえぬ6日間になることだろう。

 レースについては、あまりに圧勝すぎて書くべきことが少ない。他の5人が1艇身横並びのなか、ただひとりキワまで突っ込んだところで勝負あった。「機力は万全、最後は己の戦い」と見ていたが、ファイナル1号艇&デビュー初優勝のプレッシャーを「攻め」に特化したのは実に天晴れだった。

 ファイナル1号艇は去年7月の宮島以来2度目。インからコンマ15と無難なスタートを切ったところ、6コースからコンマゼロ台で突き抜けた中村日向(!)の強烈なまくり差しを食らった。この悔しすぎる準Vが、今日の攻めたい背中を押したことだろう。なおのこと、日向との同県リベンジマッチが見たかったが、焦らずとも間もなく記念戦線で何回も何十回も見ることができるだろう。

 しかし、それにしてもの国士無双な強さだった。かくなる上は、斗馬クンには『初代・ミスター団体戦』と謳われた吉川貴仁様(2019年びわこ大会でデビュー初V~21年の宮島大会で2度目のVなど八面六臂の大活躍。別名『紅白戦の申し子』)の正統なる後継者として『二代目・ミスター団体戦』の称号を授けたいのだが、甘受してくれるだろうか(笑)。

 うん、ってな流れで団体戦についても書こう。あっという間に個人優勝が決まった鳴門水面で、団体戦は今年も最後の最後までもつれた。まず、毎日のように書いてきた「紅白の勝敗の簡単な見分け方」をおさらいしておこう。

A=1・2着または1・3着を占拠すれば文句なしの勝利。
B=それ以外は6着を取らなかったチームが勝利。
(スタート事故や失格、反則等のアクシデントを除く)

 で、この優勝戦は2周目で【斗馬・細川・海野】の隊列が固まり、Bパターンが確定的になった。つまり、「6着を取った方が負け」だ。で、その2周目の4番手は岩崎団長で、2・3・4番手を占める紅組が圧倒的優位だった。

 が、2周2マーク~3周1マークとターンごとに後続との差が縮まり、追い抜かれ、ついに最終ターンマークで取ってはならない6番手までずり下がった。嗚呼、おそらくこのあたりの残酷な“大逆転劇”はピット班の黒須田も言及することだろう。

 レース班として、とても印象的だった光景がある。3着でゴールを通過した海野さんが、やおら上体を起こして後ろを振り返ったのだ。まったく私の憶測でしかないのだが、その視線は「6着は誰??」あるいは「岩崎さんはどこ??」だった気がしてならなかった。
 だとするなら、団体戦、かなーり浸透してきたのかも。
 レアな振り返りシーンを見ながら、私はそんなことを考えた。

  ★合計ポイント★
 紅組3237白組

 白組の個人・団体W優勝、おめでとさん! で、今節に関してちょっと興味深いデータも紹介しておこう。1日8レースの団体戦とその他のレースのインコース勝利数だ。

★団体戦=イン34勝14敗(イン1着率71%)
★その他=イン11勝13敗(イン1着率46%)
※鳴門の直近1年のイン1着率47%

 そう、団体戦の方が圧倒的にインコースが強かった。3日目は8戦全勝だったし、今日はやや変則ではあったが7勝1敗などなど、インが勝ちまくった。実際のレースを観ていても、3コースがダッシュ勢のブロックに気を吐いたり、まくれそうな隊形でもまくり差しを選んだり、そんなこんなでイン選手がすたこら逃げるシーンが相次いだ(特にルーキーズが目立った気が……)。

 やっぱ団体戦、かなーり浸透したのかも。
 そう痛感した6日間でもあった。この数字が単なる偶然でないとするなら、あるいは今後の大会でも似たような現象が起こるのではなかろうか。うん、そのときのために、私はここに重要な言葉を刻んでおくことに決めた。
――おい、次のレディースvsルーキーズバトルの前検の記者席にいるであろう畠山よ。この大会の団体戦の内枠シード組は結束して外枠をブロックするから、やたらとインコースが勝ちやすい大会だぞ。鳴門でも1着率71%なんだから、他のレース場ではどうなることやら。それを肝に銘じて意地になったりムキになったりしないで、6日間を冷静に戦い抜きなさい!(photos/チャーリー池上、text/畠山)