●11Ｒ ルーキーズ準優
濱野斗馬に、ずっと山崎祥が寄り添っていた。肩をポンポンと叩いたり、腰を抱くように声をかけたり、そんな仕草も加えながら、整備場にも一緒に入っていき、待機室まで付き合ってもいた。
濱野、緊張していたのだ！ 表情からはそうとは読み取れなかったのだが、準パーフェクトペースでの準優１号艇にプレッシャーを感じていたのだろう。それを察知した山崎が、濱野をほぐそうとそばにいた、という次第。ルーキーにとって、やはりこの状況というのはまだまだ慣れていない。硬くなっても致し方ないところだ。
実際、濱野は１マークでターンマークを大きく漏らしている。あわや為本智也に差しを許すところだった。緊張はほぐし切れなかったということだろう。というわけで、逃げ切ったものの苦笑いも出ていた濱野。山崎も「おいっ！」と突っ込んでいた（笑）。
為本としては、あと一歩で差し切れていたところだから、優出はできたとはいえ悔しさもあった。仲間に声をかけられると、ちょっとだけ顔を歪めてみせたりもしている。
もっと悔しかったのは転覆してしまった島川海輝。３番手を小林孝彰と競り合って、１周２マーク、差しを狙った瞬間にキャビってしまった。身体のほうは無事で、ずぶ濡れになってピットに戻ってくると、バツが悪そうに苦笑いを見せつつ、肩を落とした。選手たちは「大丈夫？」と口々に声をかけ、それに丁寧に応えてはいたものの、カポック脱ぎ場へとたどり着くころにはふっと俯いたりもしている。そうそう、小林は前半レースで転覆してしまっており、足落ちなども心配されたが、なんとか優出。かなりホッとしたことだろう。
それにしても、垂水悠は残念！ チルト３度に跳ねて一撃を狙ったものの、５コースの島川にスリット後から抵抗されて、勝ち筋を作れず。警戒を乗り越えるまでの伸びはなかった、ということだ。しかし、６コースから展開を探るのではなく、自力で突破しようという意気込みはアッパレ。この経験は必ず、この先にも活きてくるはずだ。
●12Ｒ レディース準優
スロー勢が好スタートを決めて、優勢に進めるという展開。レース後、海野ゆかりは「スタート頑張った！」と言って、アハハと笑った。３着には終わったものの、それが実っての優出だ。ファイナル行きへの意欲が高かったということだろう。
勝ったのは逃げた岩崎芳美だ。まさに気合の鋭発、そして先マイ。地元の団長として、今節は当初より意気込みが違った。昨日は事故レースになってやや意気消沈気味ともなっていたものの、切り替えた今日はまさに気持ちのこもった戦いを見せて、見事に優出だ。ちなみに優勝戦２号艇は20年の当地レディースオールスターと同じ枠番だぞ！
レース後も、岩崎は気を緩めた様子はなく、真摯な表情で戻ってきている。戦った仲間と挨拶を交わすときにも、頬が緩むことはなかった。明日もきっと、工務店社長ではなく、レーサーとしての岩崎芳美の顔を見せてくれることだろう。
５号艇５コースから２着で優出を決めた細川裕子は、充実した表情でピットに戻ってきている。今節は大きな着もあったことから準優はなんとか勝負駆けを決めての進出、しかも外枠。それでも最後はきっちり優出を決めたあたりがさすがの実力者だ。
対照的だったのは西橋奈未。１マークで後手を踏み、それでも３番手の海野に肉薄したものの、３周１マークで引き波に乗って失速。今日は事故も多発してしまった一日だったのだが、それだけにヒヤリとした瞬間を作ったこともまた反省しきりのようだった。後続の喜多須杏奈、西岡成美が事故を回避したのはナイスだったが、西橋としては迷惑をかけてしまったという感覚だったことだろう。明日は特別選抜Ａ戦の１号艇に入る。団体戦では点増しとなる大事な一戦で１号艇。今日の借りはそこで返すしかない。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 ＴＥＸＴ／黒須田）
