BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

優勝戦 私的回顧

韋駄天クイーン、誕生。

12R優勝戦
①渡邉優美(福岡) 07
②宇野弥生(愛知) 09
③三浦永理(静岡) 11
④遠藤エミ(滋賀) 13
⑤海野ゆかり(広島)15
⑥守屋美穂(岡山) 19

 自称・穴党の私は最後の予想までナンクセをつけたが、一番人気の『YUMI』が鮮やかに逃げきった。3日目から怒涛の5連勝での記念シリーズ初V、心の底から祝福したい。おめでとう!

 さほどのプレッシャーも感じさせない、見事なイン逃げだった。スタートは記念ファイナルの1号艇としてパーフェクトと呼んでいいコンマ07・トップS。1マークは3コースの三浦が渾身のまくり差しを繰り出したが、優美の引き波でバウンドして万事休す。コースの利と出足の差がハッキリ明暗を分けた1マークだった。

 1周バック中間で独走態勢に入った優美は、それでも旋回のスピードを緩めない。優美といえば「女・馬場」と呼ばれるほどのスピード狂(笑)。今節も黒須田の突撃インタビューに「(来年新設スピードクイーンメモリアルのびわこ選考トップタイムを)もちろん狙ってます。狙って走ります!」と高らかに宣言したものだが、今日も最後まで全力疾走の姿勢を貫いていた。ちなみに走破タイムは1分47秒1。暫定トップの1分46秒4=香川素子を超えることはできなかったが、雨天にして波風がひどく不安定な今日のびわこ水面でダントツの上りタイムでもあった。コッチの方は、お疲れさまでした!

 さて、今節を振り返ると、初日ドリーム4着~2日目2R6着のあたりで、せっかちな私は「今節の優美はナシだな」などと決めつけていた。成績が成績だし、優美とごくごく近しいふたりの選手がピッカピカに輝いていたからだ。
 福岡支部103期・小野生奈=1・2・1着
 福岡支部104期・竹井奈美=1・1・1着
 福岡支部105期・渡邉優美=4・6・2着
 これはもう、同県の強い強い先輩に目移りしても仕方がないだろう。このブログでも匂わせたが、私は地元の絶対エース遠藤か、満を持して記念戦線に帰ってきたこの福岡コンビの誰かしらが優勝するのではないか、と勝手に想像していた。

 だがしかし、3日目から唐突に優美の逆襲がはじまった。4カドまくり、イン逃げ・3コースまくり差し。びわこ水面を縦横無尽に駆け抜けて、得点でも先輩ふたりを抜き去っていた。
「生奈さんと奈美さんが長く休んでいる間に、これだけ強くなりました」
 レースのたびに、こう報告しているような快進撃だった。事実、2022年の前後に生奈・奈美が休んでいる間、優美はふたりの穴を埋めるように勝率を荒稼ぎしてダービーに駒を進めている。それまでの知名度は圧倒的にふたりが上回っていたから、言葉は悪いが「鬼の居ぬ間に実力と知名度をアップさせた」という見え方でもあった(笑)。

 そして今日、先頭に駆け抜けた優美には、もうひとつの大きなご褒美が授けられた。7月のオーシャンカップの当確ランプ。
「それがいちばん嬉しい。もっともっと上の舞台で走りたい」
 やまと学校時代、同期の女子で断然の首席だった優美は、記念初Vの直後にこう言いきった(リーグ成績6.11、ちなみに生奈は3点台、竹井は4点台w)。これまでSGには2度参戦して16戦ゼロ勝。大きな壁にぶち当たり、跳ね返された16戦だった。

 今後のSG予定は、まずは多摩川オールスター(中間投票で26位・女子で6番目。当確とは言いきれないが)、そして大村オーシャンカップへ矢継ぎ早に参戦する可能性が高い。ならば今回のタイトルと自信を手土産に、待望のSG水神祭はもちろんのこと、男どもに負けないスピードで大活躍&1000倍級の大穴を連発してもらいたい。「女・馬場」と呼ばれるほどの韋駄天スピードクイーンなのだから。(photos/チャーリー池上、text/畠山)