BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ペラ!

 ミスターピット離れこと石川真二。今日は気配こそあったもののそこまで飛ばず、2号艇で枠なり2コースであった。昨日、石川がかなり激しくペラを叩いている場面を目撃。当然ペラの形状は石川流の独特なものだから、前検から激しい調整になるのは必然である。どれだけ叩いたとて、石川が望むバナレになるかどうかはモーター次第。だから、前検で叩いたから即、バナレが飛ぶとは限らず、時間がかかる場合も往々にしてあるわけである。今日の午後の時間帯、石川のペラ調整はかなり微細なものになっていた。ハンマーをほとんど振り上げず、コンコンと小さくおとなしく何度も叩くという作業に変わっていたわけである。微調整の段階に入ったということか? 明日は外枠なので、ピットアウトから注目しないわけにはいかない。

 対照的に激しく叩いていたのは辻栄蔵。今日は3着4着と中間着の2走、まだまだ仕上げ途上というところだろうか。今日は回転が上がりにくいという声をあちこちで聞いたが、それもあるのか、かなり強い打撃をプロペラに加えていたのだった。この調整で気配がどう変わるかにも注目するしかないだろう。

 ところで、オープニングセレモニーで三嶌誠司が「オフの日は右手に携帯、左手に老眼鏡……」と話していたので書いてしまうが、そりゃあマスターズ世代ともなれば老眼鏡が必須アイテムになるわけである。はい、三嶌と同い年の私もこの稿を書くのに老眼鏡が手放せません。ましてペラ調整は微細なところまで目を届かせる必要があるから、実はペラ調整所の選手たちの多くはシニアグラスをかけている。ところが、田頭実はかけていないのである。田頭は三嶌や僕より年上。スローから若々しくS決めてまくっていく田頭だけに目の筋肉も若いのか! こういうのってやっぱり個人差なんですかね。中尾カメラマンは三嶌、僕と同い年なのに、やっぱり使ってないし。ちなみにワタシはもう老眼鏡10年選手です。

 そういえば、銀河系軍団の面々もまだ使っていませんな。マスターズでは年少の部類なので、まだ必要になっていないということなのか。9R発売中、整備士さんと真剣な表情でディスカッションをしていた森高一真は、本体整備に取り掛かっている。といっても本体をバラバラにするというのではなく、電気一式と呼ばれるあたりの部分の細かなボルトあたりをいじっていた。そこもずいぶん細かい箇所だと思うのだが、森高は裸眼のまま。さすが新兵といったところ……なのかな? 今日は2着3着とまずまずの発進だったが、しかし細部に関してまだ気になるところがあるということだろう。森高に限らず選手たちのこうした細かい部分へのこだわりには、ベテランだろうが若手だろうが、いつも感服する次第であります。

 銀河系といえば、地元の田村隆信が初戦快勝。黒崎竜也が2コースからジカまくりを放った展開を見事に突いての抜け出し1着だ。レース後の田村はやはりゴキゲン! 整備室では同支部の岩崎芳美と談笑している姿があり、岩崎の明るさに引っ張られたわけでもないだろうが、かなり表情が明るかった。すれ違ったときに祝福を投げかけると、田村はニッコリ。そして「まだまだ!」と叫びながらリフトだか控室だかに向かったのであった。やっぱり晴れやかな田村隆信は最高!

 まったく対照的だったのは原田幸哉。9R、江口晃生の前付けを入れての3コース戦で、絶好のまくり差し展開も舳先が入るまでもいかず、2番手追走しつつも2マークで揉まれて一気に後方まで下がってしまった。これは悔しい一番だろう。ピットにあがった原田は、遠目からもわかるほど肩を落とし、うつむき、足取り弱々しく控室へと戻っていった。ちょっと痛々しいほどの姿だ。その後モーター格納作業に向かったが、その作業中も精彩のない表情。初戦4着も含めて、意気上がらない初日になってしまったようだ。明日は1号艇、巻き返しに向けて落とせないイン戦になりそうだぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)