オープニングセレモニーはとてつもない熱気&歓声。コロナ禍には行なわれなかったこともあるものの、近年では有数の盛り上がりではなかったか! なかなか感動的でした。それはもちろんレースにも引き継がれ、ピットにいてもお客さんの歓声がビンビンと届いてくる。
「智加ちゃ~ん、多摩川では智加ちゃんが最強!」
そんな声が響いていた1R。平山智加はその声には応えきれずに3着。それでもまあ、上々の初戦ではあろう。
このオール女子レースを勝ったのは守屋美穂。レディースオールスターからの節またぎ連勝! まあどちらも女子戦ではあるものの、SGの予選であることはたしかで、幸先いいスタートに守屋の顔もほころぶ。とはいえ、その後が実に慌ただしい。6Rを控えているので、即座に次の準備を始め、ウィナーインタビューもあるため小走りで移動! 1R出場組は全員が2回乗りなので、守屋以外のメンバーもなかなか忙しそうなのであった。
2Rは篠崎元志が3コース差しで勝利。2コースの田口節子がジカまくりを放ち、それにイン末永和也が抵抗して開いた差し場。そこを的確に突いた勝利であった。で、ピットに戻った元志はといえば、「ラッキー!?」とでも言いたげなお道化た顔つき。そこに西山貴浩が野次を飛ばしていた。まあ、展開が向いたのは確かだが、内の動きをしっかり察知できたから勝ちを掴んだというのも確かなこと。というふうに見ているほうは思ったりもするのだが、元志自身はツキがあったという感覚なのかもしれないですね。
末永はなんとか2着には残した。ピットに上がると、速攻で田口のもとにダッシュ! 頭を下げているのだった。まくりが飛んで来れば張る、というのはボートレースのセオリー。だからもちろん田口も手をあげて応えるのみ。それでも先輩と競り合った若手としては礼を尽くさないわけにはいかないわけだ。その末永には師匠の上野真之介が寄り添う。今節は層が分厚い佐賀支部、心強い先輩が多いこと、また盟友と言うべき定松勇樹もいることがプラスに働く可能性は高い。
さてさて、3Rでは菅章哉がチルト3度! 1号艇ですよ! オープニングセレモニーの記事をご覧いただければ、これがファンの声を反映したものということがおわかりいただけるだろう。まさにオールスターならでは! セレモニー後はペラ室にこもった菅、2R発売中には調整を終え水面に向かっている。そのとき、こちらの姿に気づいた菅は精悍な表情で指を3本立てて、颯爽とリフトに乗り込んだ。うーん、カッコいいぞ、がーすー! 残念ながら結果にはつながらなかった3Rだが、このチャレンジにはやはり拍手を送りたい。後半の3号艇もおそらく3度。さらに調整の時間があるだけに、伸びが鋭さを増す可能性もあるぞ。
調整といえば、ドリーム組は毒島誠を除く5名が本体を割っているのだった。初日にはよく見る光景ではあり、必ずしも大きな整備をしているとは限らない。ドリーム組は12R1回乗りで時間があるので、まずは本体整備に取り組むというケースは珍しいことではないのだ。峰竜太は昨日の会見でも、初日は徹底的にできる部分の整備をすると宣言しており、前検日に調整して作った“建て前”の足をより“本質”に近づけるべく、早くも表情を引き締めている。
オープニングセレモニーで風船太郎になった西山貴浩も、早くも勝負師モードに切り替えて本体整備。覗き込んだこちらに気づくと会釈をしてきた西山、表情は真剣そのものなのだった。ファンの前ではなかなか見せない顔だが、このギャップが西山貴浩の本質でもある。
唯一、本体を割っていなかった毒島は、やはり水面に姿があった。12R1回乗りだろうと、朝から乗り込んで、それをもとに調整を尽くすのが毒島スタイル。2R発売中にはいったんボートを上げ、モーターの外回りの調整をすると、ふたたび水面へ。そしてまたもやボートを上げて、本格的に調整を始めるのだった。毒島のこの姿勢は舞台がどうであれ、また予選だろうがドリームだろうが優勝戦だろうが変わることはない。毒島が貫き通しているものなのだ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)