BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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今日はやっぱり勝負駆け!の4日目後半ピットから

 若林樹蘭の整備は実らなかった。差してアタマには届かず、なんとか粘り込みをはかったし、3番手争いとなった平田さやかを全速戦で何度も脅かしたが、捌かれての4着。準優進出は12Rの結果次第(中山翔太5着以下、岩下巧斗4着以下)とかなり厳しい立場となった(結果、無念……)。猛暑のなか、汗だくで戻ってきた若林はやはり疲労困憊。地元からドリーム登場となった今節は準優進出はノルマだったはずだが、機力不足はいかんともしがたかった。残念だが、あとは団体戦への貢献を果たすしかない。なお、若林はピストンリング4本交換だったわけだが、江戸川では前のモーターの部品をセットで残してはいないようだ(スポーツ紙記者さんに教わりました)。セット交換がないのもまあ当然ではある。

 若林の猛追を浴び、なんとかしのいだ平田さやかも、かなり疲れるレースだったと思うのだが、レース後は涼しい顔をしていたのがさすがというか何というか。まあ、表情や仕草には出さなかっただけなのかもしれないが、その淡々とした様子にむしろ凄みを感じたりもしたのだった。前検日にはかなり機力に泣いていたのに、1着はないもののオール3連対なのだから素晴らしい。準優組では登番が最上位となりそうだが、まさに貫禄の戦いぶりだ。

 初優勝に向けて準優好枠が欲しかった津田陸翔は、前半の1号艇で2着、そして9Rも2着。得点を伸ばし切れなかった。2着2本は好成績の部類でも、1号艇を含む内枠2走、しかも連勝を目論んでいただけに、9R後はさすがに悔しそうな様子も見せていた。それでも、準優は3枠。悪い枠ではないだけに、単なる優出ではなく、勝っての優出を目指したいところだ。

 8Rでは深川麻奈美が2日続けての3コースまくり差し。なんとも鮮やか! これで予選突破は確定、6着スタートだった今節から一気に駆け抜けたのはたいしたものだ。前半、小池礼乃らに笑顔を向けた深川について記しているが、今度は自分の勝利の笑顔! 小池には祝福を返されているのであった。えっ、準優も3号艇? 3日連続の3コースまくり差しか!?

 11R、勝てばレディース予選トップ通過だった清水沙樹が3着。1~3号艇のルーキーズは全員が127期。この分厚い壁を破らんと、4カドから攻めていったが及ばず。2マークでも逆転を狙ったが、届かなかった。江戸川は私の庭とばかりにプライドを表明していた清水。それはもちろん、優勝は誰にも譲らないという意思表示でもあった。そのためにはまず得点率トップが欲しいところだったが、残念ながら2位通過である。というわけで、やや不機嫌そうにも見えたレース後。平田さやかが労いの言葉をかけるも、表情が明るくなることはなかった。この借りは準優で返すしかない!

 清水を上回ったのは、6Rでその清水の1号艇に先着した清埜翔子。江戸川では活躍しているイメージだよなあ。と本人にも伝えたのだが、乗りやすさを求めての調整が奏功しているのではないか、と。難水面の江戸川では重要な部分ではある。だが、仕上げがうまくいくのは清埜の手柄だし、それを活かすのも清埜の力量。ようするに、その謙遜は自然体ということでもあり、女子トップ通過とはいえ、浮足立たずに準優に臨めるだろう。

 11Rでは、登玉隼百が2着。津田陸翔は得点率同率も、上位着順の差で登玉が2位通過となっている。登玉は勝ってもトップの鰐部太空海には届かなかっただけに、2位キープの重要な2着だったということになる。先述したように、ルーキーズは全員が同期生。なんとか1号艇の坂本雄紀とのワンツーフィニッシュは、まあ悪くない結果だったか。

 12Rは、宇野弥生が逃げ切り。富樫麗加が大敗していれば逆転の目があったが、富樫は宇野にしっかり続いて2着。勝負駆けは果たせなかった。ただ、このワンツーはレディースが団体ポイントを獲得するもので、ひとまずはそちらに頭を切り替えたようである。宇野にできることといえば、ただ逃げるのみだったわけだから、そこは割り切れたはずだ。

 ルーキーズのほうも勝負駆け。アッパレは岩下巧斗! 5コースから豪快に握って前進し、2マークで捌かれて3着となったものの、中山翔太の大敗により、6位に滑り込むこととなった。ただ、ピットに戻ってきた岩下は、首をひねりっ放し。悔しそうに顔を歪めながら、納得のいかない風情だったのである。たしかに、バックに出たときには1着もあるかという展開。それが3着まで“落ちた”のだから、これは不本意な結果だっただろう。
 ただ、記者さんに6位に入ったことを耳打ちされると、ぱーっと笑顔が浮かんだ。デビュー初準優! 上位6人という狭き門を潜り抜けたのだから、本当に大健闘である。準優は先輩たちの胸を借りる立場であり、枠番。思い切ったレースを見せてくれ!

 対照的に、中山翔太はひたすら悔しいのである。レース前は得点率5位だったものが、一気に8位まで転落してしまった。ただただ無念。記者さんの取材を受けている間も、表情は硬いままであった。こうした失敗がいつか大きな成功につながると信じて、残り2日間も全力疾走を!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)