2日間の奇跡
12R優勝戦
①平本真之(愛知)06
②片岡雅裕(香川)08
③馬場貴也(滋賀)09
④石野貴之(大阪)09
⑤池田浩二(愛知)13
⑥桐生順平(埼玉)21
馬場が勝った。去年の福岡大会に続いて、メモリアル2連覇の偉業とともに。
「1%の可能性もないと思いますけど」
予選16位=準優6号艇が決まった直後、囲みの記者から連覇について聞かれた馬場は、真顔でこう答えている。枠の遠さだけでなく、機力的にも優勝は遠いと認識していた。ただ、その後に継いだコメントはこうだ。
「でも、(連覇に)チャレンジできるのは僕だけですから、最善を尽くします」
元よりいつでも最善を尽くす男なのだが、今節の最善は1%以下の奇跡を生み出した。6号艇6コースの準優は、近年まれに見るすったもんだの大乱戦からあれよあれよと先頭に躍り出た。
「ラッキーでした。足は本当に中堅、あって中の上まで」
確かに、さまざまなアクシデントをかいくぐるような勝利ではあった。が、ツキでもなんでも、3号艇という枠を呼び込んでしまえば、この男は恐るべきリーサルウェポンを保持している。何度も何度も何度も見てきた、電光石火の3コースまくり差し。それを、我々は今日も目撃した。
私・畠山の視点から簡潔にレースを振り返っておこう。このレースの鍵は「石野が4カドから伸びるかどうか」だと思っていたが、特訓もスタート展示も一発大駆けを匂わせるムードはあった。ただ、オーシャンカップの4カド茅原に比べると迫力に乏しく、スタートでのプラスαが必要だと感じていた。そして……
4カドを得た石野は、しっかり踏み込んだ。コンマ09。それで突出すれば勝機もあっただろうが、現実のスリットラインは甘くはなかった。スロー3艇もしっかりゼロ台の横一線。ダッシュの利で石野がスッと覗き、一瞬だけ絞め込もうかという素振りを見せたが、馬場の伸び返しを見て強攻を諦めた。正しい選択だったと思う。
ただ、こうなると勝者は内寄りに絞られる。平本の逃げか、片岡の一番差しか、馬場のまくり差しか。1マークの手前ではどれが決まってもおかしくない見え方だったが、最後は馬場の切れ味がモノを言った。2日前まで1%にも満たなかった可能性を、運とスピードと地力で100%まで持ち上げての偉業。つまりはスピードスター馬場貴也の、文句なしの実力勝ちだった。
1着③馬場 3連単③①⑥
嗚呼、昨夜から④石野=⑤池田ラインのワンツー決着を夢想し、さらには②④⑤BOXなどという真裏予想を喧伝した私に、これ以上なにを語る資格がありましょうか。パワー劣勢として軽視した馬場さん、ごめんなさい。私の予想に1円でも乗っかった読者さま、お許しください! 昨日の深夜、うっかり私の無理筋予想を「自信あり」などと押しつけてしまったタクシーの運転手さま、本当の本当にすみませんでしたーー!!(photos/シギ―中尾、text/畠山)