BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル2ndダイジェスト 3日目

デ・ジャヴ

11R
①馬場貴也(滋賀) 09
②茅原悠紀(岡山) 10
③池田浩二(愛知) 15
④中島孝平(福井) 07
⑤平本真之(愛知) 19
⑥今垣光太郎(福井)31

 嗚呼、今年もまた書きたくない、書くのがつらい事故が発生してしまった。それでも、できる限りのことは書こう。
 伏線は待機行動だったか。スタート展示(12356/4)で前付けに動いた今垣が、本番でも怪しいムードを醸しながらじりじり進軍。内5艇はその動きを横目で警戒しながらやんわり枠なりで艇を流したのだが、最初に反応したインの馬場だけが深めの隊形を強いられた。

 今垣はその後もゆったりと艇を流したため、見た目には枠なりオールスローが確定に思えた。が、スローの6コース近辺まで辿り着いた瞬間、今垣がやおら舳先を反転させる。ほぼ同時にそれを察知していたかのように中島、平本も艇を引き上げた。
 結果的に最終隊形は枠なり3対3。だが、内3艇は今垣に厳しく圧迫された分だけ深くなる。特に馬場は100m近辺からの発進。多くのファンが想定したよりも、波乱の匂いが漂う枠なり3対3になった。

 そして、その匂いを熟成するように、4カドから中島が勢いよく突っ込んだ。コンマ07、ほぼほぼ全速! たちまちカド受け池田を飛び越え、まくらんかなの勢いで内2艇に襲い掛かる。イン馬場もゼロ台まで踏み込んでいたが、助走の差で行き足がつかない。勝手な憶測で言えば、この段階で馬場に相応の焦りが生じたことだろう。

 現実の1マークは、この中島の猛攻を2コースの茅原が受け止めた。天晴れな伸び返しで、「まくりに来たら張り飛ばしますよ」的な隊形まで持ち込んだ。そして、その凄まじい伸び返しのまま、馬場を叩き潰しに行った。馬場の視野からすれば、一の矢が中島で二の矢が茅原。1マークの手前で絞めつけられ、窮屈なマイシロの中ギリギリの小回りで耐え忍ぼうとした瞬間、ターンマークに激突した。

 あっ!?
 その光景は、あの2年前の忌まわしい事故と恐ろしく似ていた。大人気のイン選手がもんどりうって転び、後続の中島も乗り上げて横転する。今垣が回避しようとしてエンジンが止まりかける。2年前との大きな違いは、茅原、平本、池田、今垣(エンストしかけたが)が完走して3連単が成立したことか。レースの途中で、馬場の妨害失格と中島の転覆失格がアナウンスされた。

 3連単は当然のことながら400倍を超える大波乱となった。レースとしては、これ以上に書くことがあまりない。パワー評価としては、まずは勝った茅原の伸び返しがゴキゲンだったこと。それから、4カドからの中島の伸び足がソコソコ強力だったこと。くらいだが、派手に転覆した中島17号機にどんな悪影響があったか、現時点では知るよしもない。

出足の差

12R
①峰 竜太(佐賀) 12
②石野貴之(大阪) 12
③磯部 誠(愛知) 11
④桐生順平(埼玉) 12
⑤濱野谷憲吾(東京)10
⑥片岡雅裕(香川) 12

 大波乱の後は本命決着。こちらは穏やかな枠なり3対3から、↑スタートタイミングを見ていただきたい。過不足のない好タイミングで、芸術的なまでの横一線! 何年か前に「6艇すべてが同じタイミング」という奇跡的なニュースが話題になったが、ほぼほぼそれに近いスリットラインだ。

 選手の力量的にも機力の下馬評的にも、この時点で内寄り決着が濃厚になる。波乱があるとすれば6秒66というオーメンの如き空恐ろしい展示タイムを叩き出した石野の存在だったが、出足~行き足は峰とまったく一緒。峰が悠然と1マークを先取りし、回った瞬間に差した石野を2艇身ほど突き放した。

「出足は節イチ級」
 今節の峰は一貫してそう言い放っているが、今日もどこまでが機力でどこまでがターンスピードか、よく分からない(笑)。一方、同体から差した石野88号機は出口からもっさり重い見え方で、今日のところは出足で峰79号機に負けている、と確信した。「伸びはトップだけど2コース向きじゃない」という石野自身のパワー評価が、まんま1マークに反映されていた。

 そして、その不安は道中でもつきまとう。桐生に追われて追われて追われて、「先に行かせて差す」というパターンを繰り返すうちに、かなりの水をもらったはずだ。最終ターンマークでの差しには切れ味が消え失せ、ついに逆転を許してしまった。3周目は伸び足まで桐生のほうが優勢に見えた。

 これをもって「石野88号機に不安あり」と言うつもりはさらさらないが、明日は1号艇仕様でどれだけ出足系統を強化できるか。逆に2号艇になった峰79号機がどれだけ石野を苦しめるか。今日と明日のパワー比較は、きっとファイナルの舟券作戦の少なからぬ参考になることだろう。(photos/シギ―中尾、text/畠山)