BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生ヤンダビTOPICS 初日

ゲリラ雷雨

 5Rの待機行動中に、いきなりそれは起こった。上空にピカリ閃光が走ったと思いきや、それまでの強めのホーム向かい風が一瞬にして猛烈な追い風に変わり、同時に滝のような雨が降り注いだ。誇張でもなんでもない、わずか30秒間での天候激変!

 このゲリラ雷雨でもっとも煽りを食ったのは、もちろんインコースの中村日向だろう。これだけ極端に風が変わればアジャストは至難の業だし、豪雨で大時計も見にくくなる。そんな中で日向はコンマ11という絶妙な踏み込みを見せたが、おそらくはレバーモミモミだったか。スリット同体だった②安河内健に一気に叩き潰され、美味しいはずの1号艇を5着で棒に振ってしまった。
 

 で、レースが終わってすぐに風だけはぴったり止んだから、今日の日向は世界でいちばんアンラッキーな男と言っても過言ではないだろう。裏を返せば、そんな1マークの混乱を横目に4カドからシュッと差しきった井本昌也は世界一のラッキーガイだったか(笑)。

 桐生名物の雷と豪雨は30分近くも続き、6Rのスタート展示はまんま30分ほど遅延した。その間、東京ではついぞ目撃したことのない同時多発の稲光があっちこちに降り注ぎ、対岸の大型モニタービジョンが断末魔の妙な光を発したきりぷつんと消滅した(最終レースまで)。
 なるほど。
 桐生の周年記念を「赤城雷神杯」と呼ぶ理由が、はっきり実感としてわかる30分だった。今節は4日目~最終日あたりの天候が崩れるとか。その時期に桐生旅打ちを目論んでいる方々は、お身体&舟券作戦ともども雨風雷に留意していただきたい。

F2レーサーにご用心

「ヤンダビの醍醐味」などと言ったら不謹慎かも知れないが、少なからぬF2レーサーが参戦するのがこの大会の通例だ。2019年の三国大会では吉田裕平がF2なんのそのでゼロ台スタート連発(予選の6戦中4回!)、オール3連対でシリーズリーダーに輝いたこともあった。

 で、今節も7人の向こう見ずすぎるF2レーサーが桐生に集結した。ただ並べて紹介するだけでは芸がないので、明日のレースごとにまとめておきたい。
★1R②板橋侑我、③前原大道、⑤為本智也(①大澤風葵)
★2R⑥小池修平
★3R①仲道大輔、②竹間隆晟(③関浩哉)
★5R②鈴谷一平
★8R①前原大道、③小池修平!
★11R⑤鈴谷一平
 なぜこんな分類にしたかというと、1R・3R・8Rに複数のF2持ちが相乗り、しかもその多くが好枠に配置されたからだ。口開けの1Rに至っては「②③⑤枠がF2&①④⑥枠がF1」でトータルF9のハミ出し番組が誕生(笑)。

 番組サイドとしては「足枷のある選手をまとめて消化しつつ、ついでに地元選手をバックアップしよう」っぽい意図があるかもだが、F2持ちの3人にとってはF0がいない分だけチャンスアップという見方もできる。そして、舟券を買う人にとっては、誰がどう凹むかあれこれ想像するだけで好配当の夢が膨らむのではなかろうか。
 3Rと8Rは絶好枠にやんちゃなF2が設置された。まず、3Rの1号艇は
「えーっと、今節、ちょっとだけ足枷あるんですけど」
 と開会式でファンを笑わせた仲道大輔。この若者にとってF2が本当に「ちょっとだけ」なのか、明日のスリットラインで判明するだろう。続いて8Rの1号艇は

「仲道くんに負けないよう、楽しんで帰りま~す。見ててください♪」
 これまた開会式で観衆を沸かせた前原大道。F2同士の丁々発止は実に微笑ましいが、本当に仲道クンに負けないだけの踏み込みができるのか。目の穴をかっぽじって見つめるとしよう(笑)。さてさて、あなたは上記の3個レースをどんな舟券で勝負する?

 最後に、初日の足色で私の目を惹いた選手をざっくり列挙すると、井上忠政(前半より後半がはっきり良かった)、野中一平、田頭虎親、吉田裕平、西岡成美あたりか。で、舟券的に魅力たっぷりに見えたのが唯一のB1レーサー藤田俊祐だ。2Rのターン回りの鋭さ、サイドの掛かりはゴキゲンだったし、その回り足を100%生かしきるだけの底知れぬターンスピードまで感じてしまった。

 対岸の横断幕に「ダイヤの原石」と刻まれた東都の若武者が、同じく伏兵モーター55号機とともにどんだけ暴れ回るか。明日の8R6号艇(①と③がF2持ち)が楽しみでならない。(photos/中尾、text/畠山)