BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝っても不安あらば

 9R発売中に整備室を覗いたら、驚いてしまったのである。常住蓮と砂長知輝が本体整備をしているのである。あなたたち、今日、勝ちましたよね?
 常住は7Rを逃げ切り。しかし、感触に不満が残ったということだろう。何しろ、本体をバラバラにして、さらにキャリアボデーも交換していた模様。時間が相当にかかっていて、話を聞くだけの隙間はまったく見当たらなかった。整備士さんと話をしているときの表情は決して暗くなく、むしろにこやかではあったのだが、あれだけの大整備なのだから、パワーアップ必須と考えているのは間違いない。

 砂長のほうは、整備を終えたあとに話が聞けた。今日は4カドから伸びてまくって、その足は悪くないのだが、先頭を走っても違和感ばかりだったそうだ。今日は勝てたが、このままでは明日からの戦いに不安が残る。そこで、セット交換をしたそうである。砂長は4月に桐生に参戦しており、そのときにこの41号機には同支部の中田友也が乗っていた。そのとき、いいエンジンだったと感じていたそうだ。しかし、2節前にセット交換がされていて、ならば良かったはずの元のセットに換えようと考えた。先輩がいい動きを見せていた状態に戻して勝負しようということだ。これが当たるかどうかは、明日の調整次第ということになるだろうが、少なくとも気持ち的には上向きになっている。

 整備をしているところは見ていないが、澤田尚也は最後の最後まで試運転を行なっている。なんと12R発売中にも1~2周、走っているのだ。澤田はここまでオール3連対。決して悪くない成績である。しかし、やはり違和感は拭えないということだろう。懸命なペラ調整と試運転をとことん繰り返したというわけだ。好成績をとったからそれでヨシ、とならないのは、やはり意識が高い証しであろう。こうした積み重ねがトップレーサーへの山道を一歩一歩のぼらせるものになるのだと思う。

 成績が一息の選手たちも、なんとか立て直そうと必死である。初日にゴンロク、今日は3着でやや巻き返したものの、濱野斗馬はやはり遅くまで試運転をしていた一人。今日は3件の水神祭が行なわれ、見物している選手も数多くいたわけだが、濱野はペラ室にこもっていた。その間は試運転ができないことになっていたので、その分もペラ調整に没頭しようということだっただろう。

 2日目を終えて、成績的には光明が見えない溝口海義也も同様。前節の優出モーターなのに、その片鱗も感じられないのはたしかで、表情もいくぶんカタいように見える。しかし、まだまだ諦めるわけにはいかない。その思いで、懸命にパワーアップをはかっている。

 そうすると、9R発売中に出発する帰宿1便組は、ある程度は機力に手応えを得ているということになるか。今日は4着だったが、動きは悪くないように見えた西岡成美も1便で帰宿。あ、ちなみに宿舎へは徒歩移動で、ピットのなかをずんずん歩いていくと辿り着きます。今節は大会史上最少となる女子4人。そのなかで最も早く帰途についたのは、最も登番が若い西岡なのだった。居残ってまで調整する必要はないと考えていいだろう。

 8Rを走った小池修平もその一人で、レース後はあっという間に片づけを終え、着替えも終えて、集合場所で待機していたのだった。たしかに、小池の足は良さそうですよね。F2だがスタートも悪くないタイミングを決めている。無理はできないとはいえ、今の足色ならやはり優勝候補の一角だし、F2をあまり気にしなくていいように思える。むしろ肩の力が抜けているのだとすれば、逆におおいに怖い存在だと思うのだがどうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)