ドリーム戦士の明暗
どんなSG大会でもV戦線に多大な影響を与えるドリーム6戦士が、2日目にしてひどく極端な明と暗に分裂した。
まず、残念ながら暗転したのは池田浩二と山口剛。池田は3Rの1周2マークで差しハンドルの初動を入れた瞬間にド派手なキャビテーション。反時計回りに180度近く振り込んだところ、後続の高倉和土が避けきれずに接触して2艇ともに先団から大きく取り残された。引鉄となった池田は6着入線後に不良航法でマイナス10点。昨日のドリーム6点を加算しても借金3点を背負わされ、今節の予選突破がかなり厳しい状況となった(後半10Rも3着止まりで事実上の終戦に)。
もうひとり、今日の山口剛は晴れのち土砂降りの残酷な暗転。2Rを2コースから頭脳的な差し回りで快勝し、昨日のドリーム6着の遅れを取り戻したかに見えたが、後半7Rに落とし穴が待っていた。5コースまくり差しが入らず道中4番手から、2周1マークで切り返しにチャレンジ。ターンマークを舐めるように旋回した直後、開いて差した田口節子の舳先がスポンと山口の艇尾に追突→2艇揃って失速の事故となった。山口はその原因を引き起こしたとみなされ、不良航法マイナス10点。ただ、こちらは明日から3連勝でギリギリ6.00のチャンスを残している。現状の賞金ランク16位でチャレンジカップはF休みという崖っぷちの身の上、明日からの真剣勝負がさらにヒートアップするに違いない。ちなみに、明日の山口は【6R6号艇・12R4号艇】の過酷な正念場だ。
一方、“明転”グループの中で、特に目立ったのが毒島誠42号機。前節、地元の中野希一が伸び型で優勝したペラはかなりの変態フォルムで、「いつもの自分の形とあまりに違い過ぎて、叩いても戻しきれないかも」と嘆いていたが、昨日のドリーム4着をもって叩き換えを決意。今日の5Rは発展途上だったはずだが、5コースから目の覚めるようなまく差しでバック突き抜けた。
「(引き波で)出て行きましたねぇ、しっかり引き波を超えたし、そこから先の足がもっと良かった」とレース後に自画自賛した毒島は「これからもっと良くなります」とニヤリ。その言葉を証明するように、後半12Rはコンマ05の鋭いスタートから影をも踏ませぬインモンキーで豪快に逃げきった。
戸田のSG連覇を目指す男が、破竹の2連勝。3月クラシックに続いててっぺんまで昇り詰める可能性が高まったが、微かな不安要素を挙げれば上りタイムか。2勝ともに独走だったのに、ちょいと平凡な数字だったのが気にはなるところ。明日の【8R6号艇】で3連勝を目指すブス君がどんな猛攻を見せるか、じっくり観戦するとしよう。
それから、昨日はドリーム3着ながら「まだまだしっくりこない、気に入らない」と泣きが入っていた白井英治も、かなりの底上げに成功したはず。前半6Rはスロー4コースからの2番差しが、力強く3本の引き波を超えてあっという間に2番手⇒2着GET。後半11Rはインコースから、馬場貴也、濱野谷憲吾らの強豪をまったく寄せつけずに逃げきった。力量から当然の2、1着ではあるが、機力的にもじんわりアップしている見え方だった。
「(ドリーム戦の前に交換した)キャリアボデーを戻して正解でしたね。回転の上りがかなり良くなった。もう部品交換はまったく考えず、ペラを煮詰めるだけでいきます」
レース後の表情にも、はっきりと手応えらしきものを感じさせる白井だった。
ドリーム戦士の残りふたり、峰竜太と茅原悠紀もしっかりとポイントを加算する明るい2日目だった。とりわけ、1Rの茅原は今日もピット離れがかっ飛びモード。4号艇からスタ展ではイン奪取~いざ本番では2コースまで潜り込み、1マークの乱戦を尻目にそそくさと差して2着を獲りきった。後半は同じ2コースから3着止まりだったが、F2の身の上で初日から223着は見事なスタートと言えるだろう。ちなみに、私の茅原7号機の見立ては「バランスの取れた中堅上位」ではある。
ドリームを勝った峰竜太もガッチリとオール3連対をキープ。今日は3号艇で2着~6号艇で3着と枠番より上の成績を取りきったのだが、常に1着を目指すアロハ男には、やや不満の残る2、3着だったかも? で、今日の追撃足を見た限り、私の峰47号機の評価は【出B・直B+】まででトータル中堅上位に至っていないのがどうだろう。明日の峰は【4R2号艇・9R5号艇】でオール3連対を継続できるか。ちょいと舟券で軽視しながら見守るとしましょ(笑)。
最後に、2日目を終えてパワー評価がB+(中堅上位)より上と見積もっている選手をアップしておこう。
↑毒島 誠=A【出A・直A】
馬場貴也=A【出B+・直A+】
佐藤 翼=A【出A・直A】
前田将太=A【出A・直A】
菊地孝平=A【出A・直A】
定松勇樹=B+【出B+・直B+】
藤原啓史朗=B+【出C+・直A+】合えば伸び強力
羽野直也=B+【出A・直B】
山口 剛=B+【出B・行A】
井上忠政=B+【出C+・直A+】伸び足アップ中
上條暢嵩=B+【出B+・直B+】
茅原悠紀=B+【出B+・直B+】ピット離れSランク
桐生順平=B+【出B+・直B+】
坪井康晴=B+【出B・直A】
田口節子=B+【出A・直B】
↑白井英治=B+【出B+・直B+】じわじわ上昇中
関 浩哉=B+【出A・直B】
↑大峯 豊=B+【出B+・直B+】課題のストレート上昇か
現状、SはおろかA+まで授けられる人機が存在しないパワー戦国ムード。こうなると、ドリーム組の実力や加点がまんまV戦線に影響すると思うのは、私だけだろうか。でもって、舟券的になんとも不気味なのは、スリットからバカ伸びする可能性のある井上忠政と藤原啓史朗。このふたりは予選を突破しようがしまいが、常にセンターアウト筋からの一撃まくりを警戒しておきたい。(photos/シギ―中尾、text/畠山)