12Rドリーム戦の道中で、競技棟のほうからルーキーズの叫び声が聞こえてきた。
「よーしっ!」
先行する清水愛海。そこに舳先を掛ける常住蓮。よしっ、これで2番手に上がれる! 沸き立つルーキーズ!
ところが、次の2周2マークで清水が果敢なツケマイ。常住は明らかに後手を踏んでいる。これは1周2マークも同様で、清水の旋回力、あるいは地元の利が際立ったシーンだ。ルーキーズの声が聞こえなくなる……。
ところが次の瞬間、ふたたびルーキーズが歓声! 常住は沈められたが清水も流れ、その後方で虎視眈々と狙っていた藤田俊祐が2番手に浮上したのである。
「よーしっ!」
いやあ、アツい! これぞ団体戦。今までの大会では、序盤から中盤ではこうした声援はあまり聞こえては来ず、勝負が決する最終日などになってようやく見られたような印象がある。控室ではワイワイやっていて、それが届いてはこなかった可能性はあるだろう。それが今日はたまたま、競技棟の出入口付近であがっていた声が聞こえてきた、という。いずれにしても、団体戦らしい応援合戦が見られるのがレディースvsルーキーズ! そんな雰囲気を初日から感じて嬉しくなった。
でもね、常住が清水を逆転していたとしても、藤田が2番手に浮上してみせても、団体ポイントはレディースのものです(笑)。なぜなら守屋美穂が逃げ切っていたから。守屋の1着、清水の舟券絡みでレディースにポイントが与えられるのは確定的。ルーキーズがポイントを獲るには、たとえば常住が清水を捌いて、さらに藤田も清水を抜いて、でなければいけなかった(島川海輝が5番手を走っていたので、それで16点ゲット=ポイント獲得)。守屋の逃げもさすが。常住がのぞいていたけれども冷静に先マイ。鋭い掛かりで常住のまくり差しを封じている。SG、GⅠの戦歴では、今節では守屋はダントツである。ルーキーのスピードにも動じない逞しさがあるのは言うまでもない。
11Rでは佐藤航が5コースまくりで快勝! 佐藤は「展開だけ、ですね」と謙遜するが、内がしっかり落として回るのを見据えての全速外マイ選択は、展開利で片付けられない価値ある自力勝ちだ。佐藤といえば、奇数コースのまくり差しが武器。だから、まくり勝ちはなかなかレアではある。「新概念データでいえば、0/5/0ですね」とレース後の佐藤。ん!? いま戻ってきて調べたら、0/4/0だからほぼ正解。これが明日には1/4/0となるわけだ。そして「2年前くらいだったら0/10/0」。そう、それくらい前に5コースまくり差し1着が2ケタに乗っている時代があったのだ。コウくん、BOATBoyよく見てるってばー! むむむ、今節のレポート記事は佐藤航が必ず読んでると胸に刻んで書かなければ(笑)。
9Rは高憧四季が逃げ切り、野田彩加が差し追走でレディースワンツー。高憧が124期、野田が126期だから、ともに世代的にはルーキー。同世代の男子をきっちりと封じ切って、レディースにポイントをもたらした格好だ。レース後は肩を並べて、笑みを浮かべながら話し込みつつ、控室へ。うーん、実に初々しくも見えるふたりである。高憧は勝ちはしたものの、まだ足的には課題もあるようで、全く気を緩めてはいない様子だ。野田は地元で、初戦2着は好発進。明日はオープニング1号艇!
ちなみに、高憧はこの大会4度目の出場だが、まだ団体優勝を味わっていない。本人もそれをわかっていて、指摘すると苦笑いを浮かべていた。4度目の正直を目指す今大会、自身がポイントを集めまくることで初の10万円ゲットを!
さてさて、終盤の時間帯、最長身レーサー藤井公人と長谷川晴哉、鈴木唯央が記者さんたちの輪に入って、前夜版を覗き込んでいた。いや~、本当にボートレーサーズですかね、あなたたち3人は。長谷川も鈴木も公式プロフィールでは173cm。藤井がやや高いものの、全員長身! 記者さんの輪に入っていると、若手記者という雰囲気にも見えたのだった。ボートレーサーといえば昔は小柄がスタンダードだったが、現代では170cmを超えている選手は珍しくなくなっている(養成所の身長上限も引き上げられている)。映えるモンキーターンで水面を賑わす存在になってくださいね!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)