まくり怪獣の帰還
11Rレディース優勝戦
①遠藤エミ(滋賀・1位)09
②平高奈菜(香川・3位)13
③西橋奈未(福井・9位)20
④守屋美穂(岡山・2位)13
⑤平山智加(香川・11位)20
⑥細川裕子(愛知・14位)22

モリモリ、モリヤーーーーー!!
強いミポリンが帰ってきた。いや、今年は女子賞金ランク2位だからしてとっくに帰ってきてはいるのだが、大一番での4カド一撃まくり。こんな豪快なレースっぷりこそが、守屋美穂の真骨頂だ。

スリット隊形は↑上記のように、トップスタートではなかった。だがしかし、カド受け西橋の凹みを見逃す女ではない。昨日「今節はスタートがちぐはぐなので、最後は集中して質の良いスタートを行きたい」と吐露したとおり、おそらく全速で西橋を一撃粉砕。

さらに伸び返して抵抗する平高を握り倒し、さらにさらにはトップスタートだった常勝・遠藤まで迷わず攻め潰した。
覗いたら握る、握ったら迷わずインまでまくる。

私は守屋を「オンナ今垣光太郎」と勝手に呼んでいるのだが、今日は文句なしのまくり怪獣だったな。で、まくり怪獣フェチの私はといえば、福岡はダッシュ走路が短い、今節の守屋は伸び足がちと足りない、という理由で思いっきり軽視してしまったけれど(涙)。改めて、この女傑の勝負強さというか、勝負懸かったときの半端ない胆力を痛感した次第だ。

今日の豪快まくりで、GⅡは通算5V目。36歳にしてGIタイトルがないのは「ボートレース界の七不思議」になりつつあるが、今年こそ賞金ランク2位=トライアル初日1号艇の利ザヤを生かして大輪を咲かせてもらいたい。

女子の賞金ランクに目を向けると、今節はトップ12が牙城が堅く、下剋上を成し遂げたレーサーはひとりもいなかった。それだけ、今年の大村QCは「揺るぎなく強い女傑たちによるティアラ争奪戦」とお伝えしていいだろう。
女子賞金ランキング
1 遠藤エミ
2 守屋美穂
3 平高奈菜
4 渡邉優美
5 鎌倉 涼
6 川野芽唯
7 西橋奈未
8 浜田亜理沙
9 高憧四季
10 平山智加
11 小野生奈
12 實森美祐
43歳の下剋上
12Rチャレンジカップ優勝戦
①池田浩二(愛知・3位)04
②山口 剛(広島・26位)09
③関 浩哉(群馬・16位)12
④馬場貴也(滋賀・7位)19
⑤佐藤 翼(埼玉・13位)22
⑥茅原悠紀(岡山・1位)23

なんとなんとなんと、15年ぶりのSGの美酒!!
山口ツヨポンが2コースから天才・池田をブッ差した。勝手な勝因はそれなりに挙げられる。10R頃からホーム追い風が強くなり、2コース差しに有利に働いた。池田のインモンキーが、わずかながらターンマークを外した。うねりの影響かもしれないし、関の3コースまくりを警戒しすぎたかもしれない。

が、そんな些末的なファクターはどうでもいいな。とにかく鮮やかなブッ差しだったし、2マークの旋回がさらに凄かった。その手前、池田が外に開いて早くて速い逆転差しをねじ込んだ。私の目には刺さって不思議じゃないように見えたのだが、山口の先マイの辛かったこと! 握りすぎず落としすぎず、ターンマークをぺろりん舐めるような鋭角旋回で池田の差し場を極端に狭くした。

そして、準優2マークで馬場を封じた出口の押し足が、池田に対しても同じように発動した。1マークの差しよりも、この2マークの好旋回と昨日から仕上げきった出足系統が最大級の勝因だと思っている。

嗚呼、それにしてもの15年。2010年のクラシックを制覇してから、14度のSG優勝戦で涙を呑み続けた。やっとこさのSG2V。
「あまりにも長すぎて、実感がわかないっす」
表彰式で苦笑したが、次なるSGへと話題が移るとキラリ瞳が輝いた。今節は賞金ランク26位から、19人ゴボー抜きの7位でグランプリ進出。
「去年のチャレカはF休みで逆に下剋上を喰らいましたから(17位から最終日に陥落!)、家で見てて、もう悔しくて悔しくて……」

1年後の今日、見事にリベンジを果たしたわけだ。惜しくも6位には届かなかったが、トライアル1st初戦の1号艇から走れるアドバンテージはでかいと思うぞ。
『天下統一 山口剛』
今も私の眼前で、ド派手な横断幕がはためいている。15年8カ月に及ぶ臥薪嘗胆、去年の今日の屈辱、住之江での数々の悔しい思い出を胸に秘め、来月は6日間ぶっ通しで真剣勝負に明け暮れてもらいたい。43歳での天下統一を目指して。ファイナル予想で無印にした私が言うのもなんだが、とにかくとにかくとにかくおめでとう、ツヨポン!

賞金ランキング
1 茅原悠紀
2 池田浩二(約36万円差!)
3 佐藤隆太郎
4 桐生順平
5 末永和也
6 馬場貴也
7 山口 剛
8 峰 竜太
9 西山貴浩
10 上條暢嵩
11 新田雄史
12 白井英治
13 佐藤 翼
14 宮地元輝
15 関 浩哉
16 中島孝平
17 原田幸哉
18 磯部 誠

(photos/シギ―中尾、text/畠山)