最近、体重が減って90kg目前の私です。
しょっちゅう顔を突き合わせているH記者は何も気づいたりしませんが、久々に会う人は「痩せたね」と言ってくれる。やはり、顔を合わせる間隔が長ければ、変化に気づきやすいということだろう。
新鋭王座の楽しみのひとつは、まさにそれである。
ピットで会うのが1年ぶり、という選手がたくさんいる。
しかも、若者たちの成長や変化は、我々オッサンのそれとは段違い。
去年会った彼とは違う彼が垣間見えたりすると、
禿げ頭のオヤジからすれば、それは実に
感慨深いものだったりするのである。
たとえば、青木玄太。昨年の宮島で初めて会ったときには、
少年っぽさが目立つ小柄で童顔の若者だった。
取材班の間では、女の子みたいな顔つきだね、
なんてこともささやき合われていた。あれから1年。
童顔なのは変わらないが、ぐっと男っぽい顔つきになっているのに驚く。A1級になっているのだから、実力もついたということで、
それが自信にもなっているのか。
ともあれ、青木が大人っぽくなったのは事実。
まあ、声をかけた際ににっこりと返してきた笑顔は、
やっぱり童顔ではあったけれども。
昨日もちらりと書いたが、丹下将の存在感がやっぱり増している。
長身で凛々しい風貌、本来ならおおいに目立っていてもおかしくないのに、昨年王座での印象はと問われると、
すぐには思いつかなかったりする。
去年が初めての遭遇だったので、
せいぜい「顔を覚えた」というくらいか。
それが、昨日今日と、やけに姿が目につくような気がするのだから、
発散している空気感が変わった証拠だろう。
そうか、丹下もA1級になっているんだ。
しかも、昨年のGWには池田浩二を破って優勝したりしている。
つまり、彼もまた自信をつけたということなのか。
こうした変化は、やはり若者ならではだと言うべきだろう。
池永太はもともと穏やかな笑顔とひょうきんさを併せ持つ好青年。
ニッシーニャのように周囲を巻き込んでいくわけではないけれども、
彼の周りでは笑顔があふれていることが多い。
今朝、ブルブルふるえながらピットをさまよっていると、
ペラを装着していた池永がさわやかに挨拶を投げかけてきた。
その笑顔が、去年に比べれば非常に深かった。
若者の瑞々しい笑顔というよりは、
経験を目元のシワに刻み込んだかのような、味のある笑顔だったのだ。
1年以上も間隔が開いてのお久しぶりは、桑原悠である。
桑原は水神祭を若松であげていて、
これがたまたまBOATBoyカップの最終日で、
僕はイベントと表彰式で若松を訪れており、
その瞬間を目撃することができていたのだ。
デビューからかなり時間がかかっての初1着。
レース後、桑原は感涙を流していた。
帰りには折尾駅でバッタリ再会したのだが、その顔つきはまさしく少年。直前にレース場で会っていなければ、
彼がボートの選手と言われても信じられなかったかもしれない。
しかし、A1級にも昇級し、日の出の勢いで新鋭王座にやってきた
桑原は、完全にボートレーサーの装いをまとっているのであった。
顔つきもやはり大人っぽく、男っぽくなっており、
その成長ぶりは目覚ましいと言うしかない。
実は、チャレンジカップの前検手伝いに来ていた彼と
とっくに再会はすませているのだが、そのときは一瞬、
桑原悠だということがわからなかったほど。
改めてGⅠのピットで顔を合わせて、
彼の大いなる変化に改めてうなった次第であった。
で、もっともお久しぶりは奈須啓太でしょうな。
奈須を初めて見たのは、08年の新鋭王座。
あれはまだナイター設備もなかった丸亀であった。
それから、奈須は一度も新鋭王座には出ておらず、
今回が実に4年ぶりの出場なのだ。
4年前は新兵の一人だったと記憶しているが、今回は選手班長。
しかも、今年で新鋭卒業なのである。
そりゃ私もオッサンになるわけだ……としみじみしつつ
奈須を眺めると、顔つきが鋭くなっているような気がするぞ。
丸亀では、タイプとしては青木玄太っぽい、
小柄な童顔というイメージだったが、
今回はその印象をほとんど受けない。
よく見りゃやっぱり童顔なのだが、
逞しさを4年間で身につけたということなのだろう。
てな具合に新鋭王座は、若者の歩みに年に1回だけ寄り添い、
彼らの歴史の1ページを覗き見ているかのような楽しみもある。
ま、発想が本当にオッサンぽいわけであるが、
いつかSGのピットで会う日が来た時に、
今日の日のことをまた思い出すことだろう。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)