BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――静かな雨の日

f:id:boatrace-g-report:20171128163606j:plain

 いやはや、静かである。朝も静かだったが、午後もそれに輪をかけて落ち着いた空気が漂っているピット。レースの合間に音がとどろくのは、遅くまで試運転をしていた湯川浩司と松尾昂明が水面に飛び出していったときくらいで、それ以外はなんとも音の少ない3日目午後なのであった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163616j:plain

 それにしても、松尾の懸命な動きには声援を送りたくなるというもの。新兵である松尾はもちろん、もろもろの雑用もこなしているわけで、その合間に飽くことなく試運転をしているのだから、誰よりも忙しく動いている選手であることは間違いない。そのかたわらに報道陣などに声をかけられたりすると、大きな声でハキハキと答えを返しており、実に健気なのだ。というわけで、なんとしても彼の水神祭を応援するという次第。あと3日、初めてのSGにいい思い出を残してほしいものだ。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163627j:plain

 その松尾の師匠である中辻崇人は、岩崎正哉と行動をともにしているのをよく見かける。そう、この二人は同県同期なのだ。本栖からの付き合いだけに、信頼し合っている二人。SGの舞台で顔を合わせるのは、これが初めてということになる。ともに最高の舞台で戦えることに、感慨もあることだろう。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163639j:plain

 昨日は並んでリードバルブ調整&ペラ磨き用のテーブルにいるところを見かけている。岩崎はペラを磨いていて、中辻は特に何もせずに椅子にすわっていた。テーブルに置かれたプロペラを指さしながら話し込んでおり、おそらくはペラ理論についての意見交換であろう。今日は、やはり二人並んで機歴簿を繰っていた。整備室の奥のほうなので、もちろんどちらのモーターの機歴を調べていたのかはわからない。ただ、かなり念入りにチェックしており、お互いにアドバイスを送り合うつもりなのは間違いないだろう。

中辻も岩崎も明日は負けられない勝負駆け。ともに笑えるか、それとも……。

 

それにしても……本当に流行りのマフラー洗浄。午後もさまざまな選手がチャレンジしていた。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163650j:plain

 山川美由紀も手を真っ黒にしていたぞ。山川は整備室で姿を多く見かける一人。担当Gによると、山川のパワーは間違いなくアップしているという。懸命の整備が実を結びつつあるのだ。そのうえでさらにマフラー洗浄。その徹底した追求心には感心するばかりだ。以前、横西奏恵が山川は尊敬する選手の一人と話していたことがあって、同じ四国の女流先輩であることが理由なのであろうと想像していたが、おそらくはこうした姿勢を目の当たりにしたことが何度もあったのだろう。勝負駆けの状況を言うなら、山川は予選突破が絶望的。明日1着でも、ボーダーにはとうてい届きそうにない。それでも山川は整備をやめない。横西でなくたって、尊敬するに決まってる。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163702j:plain

 マフラー洗浄はほかに白井英治、芝田浩治、吉田拡郎なども始めていて……えっ、カクロー!? そう、超抜カクローもやっていたのである。ちょっと驚いたし、あのパワーが落ちてしまうリスクはないのかしらん、と他人事ながら心配になってしまった。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163717j:plain

 といっても、カクローは他の選手たちと違って、ブラシでゴシゴシとこすっているようなことはなかった(と思う)。手ぬぐいをマフラーに突っ込んですりすりと拭いている雰囲気で、懐中電灯で中を照らしている様子も目撃していない。昨日は洗浄中の松井繁の周りにさまざまな選手がやって来て、興味深そうに眺めていたものだが、誰もが認める節イチパワーのカクローがこれをやっているとあって、松井と同様に多くの選手の注目を集めていた。勝野竜司とは何か大笑いし合っていたな。

 というわけで、明日のカクローにはさらに注目! もっともっととんでもないアシになっていたりして。

 

f:id:boatrace-g-report:20171128163732j:plain

 マフラー洗浄をしたのかどうかは確認できていないが、池田浩二も整備室にいて、本体調整をしているところを見かけている。初日の午前中、ドリーム2~6号艇の5人が整備室にこもっていたのに対して、池田だけがペラ室にいた。これが池田の調整パターン。そんな池田が整備室にいたわけだから、珍しいことだし、それが何を示しているかは言わずもがなだろう。ただ、決して表情が暗いわけではなかった。今年最初のSGで昨年MVPが予選落ちするわけにはいかないという気持ちはきっと強いはずだが、そうした責任感が悲壮感に変わるようなところは今日のところはない様子である。ひとまず、明日の池田の気配を担当Gによ~くチェックしてもらうとしよう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)