今日のイン成績
②①①③①②①③②①①①
1着率58% 2連率83% 3連率100%!!
予想はしていたが、ドリーム戦の瓜生正義はじめ、今日のイン選手は抜群の安定味を見せた。
配給ペラ+初戦でS勘がまだ定まらない選手たちは、
ほとんどがアジャストしながらそれなりに早いスタートを目指す。
それなりにスリット隊形が揃って、外から豪快に仕掛ける選手もなく、インが逃げ切るという構図だ。何人かのイン選手は
外からの攻撃を食らったが、ほとんどがまくり差しなので
2、3着には残せる。そんな1日だった。
この傾向は、以下のデータにも当てはまる。
新ペラ制度導入後、記念の1号艇勝利数
初日~6日目までの勝ち星
桐生 7-2-7-3-5-6
福岡 7-4-2-4-7-7
笹川 4-9-4-6-8-3
三国 6-6-6-6-8-7
児島 8-5-5-5-6-9
若松 5-5-5-5-4-4
total 37-31-29-29-38-36
記念初日の1号艇(ほぼイン戦)は、
どこの水面でも5~7勝に収まると考えていい。
で、2日目→4日目と予選が進むにつれ、
徐々に勝ち星が減るという傾向を常に念頭に置いてほしい。
原因は様々だろうが、「S勘を掴んだ選手が全速で握るようになり、
スリット後の隊形に凹凸が生まれやすくなる」というのが
大きい気がする。プロペラの性能が以前より拮抗している分、
選手の気持ち(S勘、度胸、勝負駆けなど)が
レース展開に反映されやすくなったという印象もある。
今日でいうなら、艇界随一のスタート勘を100%生かしきった
菊地孝平が、唯一のまくりを決めた。
明日は、誰がガツンと全速握りっぱなしで攻めるか?
この推理が、舟券勝利の近道だと私は思うぞ。
もちろん、井口佳典や山口剛、石野貴之など
スリット同体からガンガン伸びる選手は、ハナから要注意!
今日の独断MVP……平本真之
いやぁ、強くなった! 今日の平本は1着3着。
成績も上々だが、それ以上に心技体の成長ぶりを
如実に感じさせるレースっぷりだった。
まず、オープニングの1Rは5コースからの全速まくり差し。
3コース市川哲也が握って攻めたところ、
平本は迷うことなく4カドの馬袋義則を叩いて、
割り差しの花道を切り拓いた。
その判断の速さ、キップの良さ、ハンドルの的確さ……
どれをとってもトップレーサーと呼ぶに相応しい1マークだった。
ただ、こうした鮮烈なまくり差しは、
いわゆる「やまと名物スピード差し」として
他にも実現できる若武者は多々存在する。
驚かされたのは、後半の10Rだ。
このレース、1マークで後手を踏んだ平本は、
揉まれに揉まれて道中5番手に甘んじた。
2艇身ほど前にいるのは、峰竜太と佐々木康幸。
何度か全速で外をぶん回したが、その差は縮まらない。 ならば!
3周1マークの手前で、平本は外から内に切り込み
2艇よりも先にターンマークを旋回した。当然、流れる。
ズブズブと差されて再び2艇身差の5番手。万事休したか、
と思った最終バック、大外へと流れた平本は再び艇を内に突っ込む。私が驚いたのは、その決断と行動の早さだった。
普通、あの態勢ならとりあえずは外を直進しつつ、
敵の動きを見てから不意を突くのがセオリーだろう。
平本のそれは、ターンマークを回ってすぐ、
ゴールの延長上よりはるかに手前で、進路を内へと切り替えた。
大ベテランでも迷いそうなところ、平本には1ミリの躊躇もなかった。
そして最終ターンマーク、身体ごと峰リューにぐいぐいおっつけるような
老獪な小回りターンで、一気に2艇を追い抜いてしまった。
おそらく、平本は大逆転が可能な最善の戦術と最良のターンで、
貴重な6点をもぎ取った。
道中、ひたすらぶん回して先行艇に迫る若手レーサーは少なくない。逆に迷いに迷って消極的な差しハンドルを入れる若手も、
山ほど存在する。今日の平本の逆転劇は、そのどちらでもなかった。大胆にして繊細、迅速にして老獪。
平本がSGの中のSGと呼ばれるこのグラチャンにいるのは、必然。
そう実感させる、出色の3周バックだった。
独断のパワー診断
まずは、前検で指名した7人衆の成績から。
★山口剛②…4カドからブイ差し先頭に肉薄
★太田和美DR③…6コースからぶん回して追い上げ
★石野貴之①…2コース差しバック伸びる伸びる
★池田浩二DR失格…1マークでエンジン不調も気配自体が↓
★馬袋義則③…バック最後方から追い上げ
★藤丸光一④…S遅れてまくられバック最後方から追い上げ
★白井英治①②…好枠を生かしきってしっかりポイント加算。
まずまずの見立てだったと自負している。
中間着だった馬袋&藤丸にしても、
バック最後方で大差の惨敗もありえるようなポジションから、
逆に2、3艇を抜き去ったのだから、評価を下げる道理はない。
ただ、SS指名の山口剛、ドリーム組の池田浩二、太田和美は
ちょっと買いかぶりすぎたかも。
山口はスリット付近の行き足は惚れ惚れするものだったが、
その先、1マークに向かうまでの伸びが売り切れた。
現状、スロー向きなのかも?
池田はほとんどレースをしないまま、エンジン不調に泣かされた。
が、スタート展示も展示時計も、2コースからの差しハンドル
(明らかに不発)も昨日とは違って見えた。
太田は6コースでの3着を十分としてもいいのだが、
道中の揉みあいで期待したほどの迫力が見られなかった。
代わってSS指名しなければならないのが、SG連覇を狙う井口佳典だ。今日は2走とも自力で攻めて飛ばされ、
⑥⑥着でもおかしくないような1マークだった。
それが、あれよあれよの③②着。
行き足、伸び、そして回り足もなければありえない芸当で、
笹川賞に匹敵するパワーと断言していい。
バレバレだし常に人気で妙味は薄いが、
この欄で取り上げないわけにはいかない超絶パワーだった。
(photos/シギー中尾、text/H)