今朝も準優組がいないよー。
ピットに入ったのは1Rの後(2R発売中)なのだが、
ざっと眺めまわすと選手の姿が少ない。
目に入るのはテレビの中継スタッフだったりカメラマンだったり
(チャーリー、太ったね、君)記者さんだったり。
この人たちがいなくなったとすれば、
かなり閑散としたピットになっていたはずである。
しかも、視界に入ってくる選手はほとんどが一般戦組。
準優は10R以降だから、早いレースに出走する選手がこの時間には多いのは当然だが、それにしても、である。
尼のピットはペラ調整所が3カ所あって、
1カ所は整備室の中(入口から覗き込むだけでは
死角になっていて、ちょっと中にお邪魔しなければ見えない)、
もう1カ所は装着場のいちばん奥(基本的に我々は立ち入り禁止区域)と、様子をうかがいにくいところにあるのもその理由だろうか
(実際、井口佳典や中島孝平らはエンジン吊りにペラ室のほうから
あらわれている)。整備室を覗くと誰も整備をしておらず、
目にすることができる場所に準優組を見つけることが
ほとんどできない。一瞬、昨日の後半ピット記事をコピーし、
冒頭の一文を添えてアップしちゃおうかとも考えてしまった。
その頃、水面には試運転の音が響いていた。
これも一般戦組かな、と思ったら、おっと準優組がそこにいましたか。服部幸男と烏野賢太である。すでにベテランの域に
足を踏み入れている二人が、この強い日差しのなかで、
汗だくになって走っていたのだ。
それにしても、烏野賢太はすごいね。
いちばん最後まで試運転していた、という記事を
今節すでに書いているが、今日はいちばん早く試運転なのである。
今節もっとも水面に出ていたのは、おそらくこの人だ。
そうした積み重ねで、準優にも駒を進めたのだ。
そして、さらに上の舞台を目指して今日も朝から走る。
これで優出を決めたとしたら、まったくもって痛快な出来事である。
感心しつつ、ピットの端に目をやると、
今村豊が地上波放送のキャスターの荻原さんと話し込んでいた。
ミスターのレクチャーは、荻原さんにとっても
このうえなく濃いものとなるのだろう。さすがに今村も、
いつものジョーク飛ばして大笑い、ということはなく、
真剣な表情で話している。よく考えれば、涼しい室内で話していても
いいのに、二人はこの猛暑の中で熱心に話す。
ちなみに今朝のピットは、気温は昨日までより1、2℃低いけれども、向かい風があまり吹き込んでこないため、
節イチの暑さと感じるものだった。
2Rが終わって、太田和美がボートに歩み寄っていった。
おっと、太田も始動か。「お願いしまーす」と艇運係の方に声をかけ、
ボートを着水。服部のふたつ隣の係留所につけると、
モーターを動かして回転の調整をしていた。
予選だろうと準優だろうと優勝戦だろうと冷静な表情は変わらず、
モーター音に耳を澄ましながら目つきは鋭くなっている。
いい雰囲気だ。
それにしても、準優組で動いているのは
アラフォーかさらに上ばっかりじゃないか。
若者よ、何をしてるんだ!? と思ったら、次に着水したのは、
もっとも若い平本真之なのであった。
ま、年齢は本来関係ないんですけどね。
同世代としては、声援を送りたくなる、というだけで。
平本が次にあらわれたのにも何の意味もないわけであるが、
しかしそのギャップに何かを見出したくなってしまうのであった。
それはともかく、平本にとってはもはやSGの準優は
特別なものではない。レース直前になればともかく、
朝の段階では自然体であり、重圧を感じている様子もなかった。
表情も力強く、足取りも確か。
ふと初めて会った09年新鋭王座を思い出し、
ずいぶんとたくましくなったなあとしみじみしてしまった。
腰の低さはまったく変わってないですけどね。
で、このあとは続々と準優組も動き始めるはずだが、
僕がピットを後にするまでに、唯一ボートにモーターが
乗っていなかったのが、森高一真。
朝特訓の間にピットに行っていた中尾カメラマンが
「森高だけが何もしてなかった」と証言していたが、
モーターも乗せていなかったのか。
もちろん整備もしている様子がなく、ゆったりと過ごしている模様。
だらけてる? いやいや、準優ともなれば、
この余裕はむしろ脅威だと思うが、どうか。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)
重野哲之がモーター装着する姿は
ちらりと見かけています。