新ペラ時代の信長、降誕。
12R優勝戦
①井口佳典(三重)12
②石野貴之(大阪)11
③森高一真(香川)09
④服部幸男(静岡)08
⑤今村 豊(山口)08
⑥魚谷智之(兵庫)11
ビッグマウス・井口の時代が到来した。
それはまだ早い、と言われても、
すでに本人が宣言したのだから否定しても意味がない。
シリーズ中、鎌田義がピットを訪れて
「ずいぶん調子いいやんけ♪」と井口を持て囃したら、
井口は飄々とした風情で「はい、僕の時代が来ました」
(シギー中尾目撃談)。実にさらりと言ってのけたものだから、
さすがの鎌ギーも返す言葉に窮したという。
そして今日、己の宣言にひとつの揺るぎない確証を与えた。
文句のつけようのない、磐石の逃げだった。
もしも昨日の12Rで重成が逃げきり、井口が2号艇だったら?
なんて疑問は、箸にも棒にもかからぬ愚問である。
ただ強いだけでなく、ほぼすべての流れが
ひとりの制圧者に向いてこその「時代」。
レースについては、それくらいしか書くべきことがない。
勝者はひたすら強く、敗者は勝者の影すら踏めなかった。
今日の尼崎水面は、井口時代の到来を見せつけるために存在した。
井口の野望は続く。
今日、井口はゴールの瞬間にガッツポーズをしなかった。
あえて、自粛した。このSG5つめの栄冠は、
通過点でしかないから。ゴールを通過したとき、
井口の目はすでに暮れの住之江を見つめていた。
本気で独裁の時代を築こうとしているのだ。
面白い、やってみなさい。去年の瓜池時代の予兆は、
新ペラ制度によって一旦リセットされた。
そして、新しい時代の寵児がすぐに現れた。
「ファンの皆さん、やりすぎちゃって本当にごめんなさい……でも、まだまだやりますっ!賞金王を獲ります!!」
優勝インタビューで、井口はそのビッグマウスぶりを
遺憾なく発揮した。が、公に天下統一を宣言したとなれば、
他の武将たちが黙っているはずもない。
井口は有限実行タイプだけに、彼の自信満々な言動に対する
反発(もちろん、水面で)も大きくなる。そ
れは、低迷しはじめたボート界へのカンフル剤にもなるだろう。
微力ながら、私も「常に人気になる井口の頭舟券を買わずに、
帯封をゲットする」という狼煙を上げて、
この新たな戦国絵巻に参戦させていただくとしよう
(今日の結果の①が②だったら、130万くらいだったなw)。
“新ペラ戦国時代の織田信長”よ、覚悟せよ!!
(photos/シギー中尾、text/H)