2R、田路朋史がモーター不調により欠場。
再展示もしたのだが、「キャブレターメインジェットに異物混入」
とのことで、無念のリタイアとなってしまったのだった。
落胆する当時の表情は、なんとも痛々しいもの。
戦わずして勝利の権利を手放すことは、
レーサーにとってはこれ以上ない屈辱であろう。
ボートリフトで陸に上がる際、隣のリフトでは
1Rを制した尾嶋一広の水神祭が敢行されていた。
同じ兵庫支部で、なんという明暗。
田路はこのあと6Rに出走予定なので、
鬱憤を晴らす走りを見せてほしい。
その2Rは、宮地元輝と黄金井力良が大激戦を演じている。
勝ったほうが水神祭というこのマッチレースは、
とにかく熱いものとなり、宮地が先行すれば九州勢が
歓声をあげ、黄金井が前に出れば埼玉勢が声を飛ばすという
大盛り上がり。ピットも実に熱くなっていたのだ。
結果、黄金井が1着で埼玉勢は大拍手。
佐藤翼とハイタッチする黄金井は、ようやく結果が出たことに
ホッとした様子だった。
一方、宮地は実に悔しそうな顔。
仲間が肩をぽんと叩くたびに、何度も何度も首をひねっていた。スタートを決め、1マークはまくり切ったにもかかわらず、
差されたのだから、その悔しさは尋常ではなかろう。
そのピュアな勝利への渇望を見たら、
宮地を応援せずにはいられない! なんとしても明日、
ずぶ濡れの姿を見せてほしいぞ。
ところで、服部剛が髪型を変えていた。
写真のとおり、モヒカンになっていたのだ。
「準優にも行けなかったし、最後の新鋭王座だし、
もうやっちゃえ!って(笑)。坂元さんに電気シェーバーで
やってもらいました。めっちゃ時間かかりましたよ(笑)」
4Rは惜しくも2着で水神祭ならず。でも、あと少し!
イメチェンが実るといいっすね!
さて、準優組についても、ざっと触れていこう。
18名の中に、緊張にやられている選手は見当たらなかった。
新鋭王座初出場で準優1号艇を手にした佐藤翼の精神状態が
特に気になったわけだが、声をかけてみると
リラックスした笑顔が返ってきている。
やはり準優登場の磯部誠と並んで歩く姿にも、
余裕がうかがえた。もちろん磯部も。
中尾カメラマンがエンジン吊りを待つ兵庫勢に
カメラを向けていたら、乱入しておどけていたりもしたから、
まったくいつも通りだ。
本体整備をしていたのは黒井達矢と船岡洋一郎。
黒井はキャブレター調整をしていた秋元哲と同じテーブルで
本体を割っており、それを小山勉が見守っていた。
埼玉3人、いずれも準優組。笑顔も見えていたから、
仲間とともに過ごすことが緊張感を和らげている部分が
大きいだろう。船岡は、ひとり黙々と整備をしており、
3R発売中にはモーターを装着して、着水していた。
その船岡よりもモーター装着が遅かったのは、前田将太。
ペラを叩いている姿が目に入っているが、
どうやらレース場到着からペラ調整を続けていて、
朝の特訓には参加しなかったようだ。
通常、装着が遅い選手は機力に余裕のある選手。
前田もペラの微調整のみで戦える状態にあるようだ。
予選トップの坂元浩仁、下馬評で大本命の茅原悠紀も、
プロペラ調整。ともに昨日までと変わった様子はなく、
ペラに鋭い視線を向けていた。
プレッシャーがないわけがないとは思うが、
しかしそれに負けている気配はまったくない。
昨日の12Rで気迫の勝負駆けを成功させた川下晃司は、
今日も実に鋭い顔つき。昨日については、
とにかく気合が入っていたようで(今節ずっと、とも言っていた)、
特に前半で6着を獲っていたために、
開き直ることができたこともかえっていいほうに転んだようだ。
「優出しなければ、結果を残したことにはなりませんからね。
準優進出じゃダメなんです」と力強い言葉。
もちろん、同じく6号艇の今日も、
優出のために前付けに行くつもりのようだ。
今日もまた、川下の男っぷりが見られそうだぞ。
(PHOTO/中尾茂幸=黄金井、宮地、服部、前田、坂元、川下 池上一摩 TEXT/黒須田)