BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――応援しちゃうぞ!

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 えこひいきしてんのか、と言われても江崎一雄のことを書いてしまう。やはりこの男、大物だからだ。

 陸の上から気合満点であるのはもちろん、そのビッグマウスがなんとも心奪われる。開会式の「先輩ぶっ倒す」宣言もそうだし、昨日の「動きたいっす」発言もそう。結局、10Rは動くこともなく、6コース発進だったけれども、たとえ不発に終わったとしても、大きなことを口にできるのは若さの特権だろう。それでいい、と僕は思う。

 ペラ調整で、足は上向いたという。ゾーンにかなり近づいたそうだ。そして明日の勝負駆けは、4着条件で1号艇。しかし、江崎が狙っているのはもちろん、逃げ切りだ。

「100%逃げます!」

 おぉっ!

「いや、1000%!」

 おぉぉぉぉっ! たとえ失敗に終わったとしても、それでいい。無難な発言でおしまいにするより、そこまで言ってしまう江崎がどれだけ魅力的か。どれだけ若者らしいか。そしてまた、プロとはそうあるべきだとも思う。

 さあ、明日の6R、有言実行なるか。オッサンは応援してるぞ!

 

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 応援したくなるといえば、加藤政彦だ。十六夜の月があざやかな11R発売中。加藤政彦は水面に飛び出して、コースを何周も何周もした。他に走っている者はない。だから加藤は、2マークでスローダウンせずにそのまま旋回。レースや展示のように、コースをひたすらにグルグルと走りまくっていたのだ。この時間帯まで試運転をしている選手を、今節はじめて見た。

 今日はレース前にキャリーボディーを交換し、しかしそれがいまひとつ馴染んでいないのではないか、という感触を得たという。だから、試運転を続けた。

「デビューから3年経って、そこまでガンガン回ることは最近はなかったんですが、せっかく一人の水面でしたからね」

 ということは、練習の意味合いもあっただろう。もちろん感触を得て明日につなげようという思いもあっただろう。明日は1回乗り、1着で2点足らずという状況で、予選突破はなかなか厳しい状況だ。しかし、1着を獲れば、水神祭が待っている!

「はい、今もそのことを考えて乗ってました(笑)」

 引き波のない水面を一人走ったのは、まさに先頭を走る予行演習だ! 加藤はヤングダービー出場権のない年長選手だが、話してみれば実に若々しい。オッサンはやっぱり応援しちゃうぞ。

 

 水神祭の項でも書いたのだが、実力者が順調に勝利を得ている今節、20人のGⅠ未勝利選手のうち、初勝利を達成したのはわずか4分の1である。加藤もその一人なわけだが、残り3日でどこまでこの人数が伸びるのか。もちろんコンプリートが理想なのだが……。

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 開会式で「人生最初で最後のGⅠ」とか言っちゃってた南佑典、だったらGⅠ1着のチャンスは残り3日しかないぞ! もちろん今後もGⅠを走る機会はきっとあるはずだが、ただし今日はなかなか惜しかった。10R、1着はカド攻めの前田将太で確定的となり、水神祭のチャンスはお預けとなったが、前田と連動した江崎と2番手で接戦となったのだ。一時は優勢な局面もあり、初の2連対は目前だった。結局、宮地元輝も追い上げて3艇で接戦となり、南は結果4着に後退しているのだが、その粘り強い走りは目を惹くものだった。

 しかし、南としては、悔しいわな。レース後、カポック脱ぎ場にいちばん最後にやって来た南は、苦笑いとともに戦友たちにノーサイドの言葉をかけている。吹き出しがあれば、「くそー」とか「やっちまった」とかの言葉がふさわしい表情だったのだ。うむ、ならば明日は笑おう。もちろん1着を獲って。5R2号艇、オッサンはユーテンも応援してるぞ。

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 あと、荒井翔伍も応援! 3Rで痛恨のF。中尾カメラマンによれば、その後全選手が招集されて、競技本部からお叱りの通達があったという。もちろん、荒井も昨日の松崎祐太郎も反省はすべきだし、他の全選手も注意はするべきだが、気持ちが先走ることがあるのも若さというもの。たっぷりお詫びを述べたあとは、またハツラツと勝利を目指して走ってほしいのだ。しかも、荒井もまたGⅠ未勝利の一人。フライング後は遠慮しなくちゃいけないなんて規則はない。賞典除外で準優進出が消滅したからって、水神祭を諦めなきゃいけないわけではないのだ。

 終盤の時間帯、すでに帰宿バスの1便が出発したあとも、ピットに残ってペラを叩く荒井の姿があった。別に帰ったっていいのに(11、12Rに東京支部の出走はないし)、居残ってペラ調整に励んだのだ。そんな姿を見たら、オッサンは水神祭を応援しちゃう! 明日からはすべて外枠になるわけだが、怯まず攻めて、大穴を叩き出し、桐生の水面に思い出を刻め!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩=南、荒井 黒須田=バス TEXT/黒須田)

 

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1便バスに乗り込む選手たち。喫煙所でタバコ吸ってたら、偶然遭遇しました。