BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ようこそ森くん

 

 

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 前半で辻栄蔵がギリギリまで調整していた話を欠いたが、後半は毒島誠である。

 12R1号艇での出走だった毒島、11R発売中にふと展示ピットを覗き込んでみると、1号艇の係留所が空だった。試運転用の係留所を見ると、そこに毒島のボートはある。毒島のそのときの所在はもちろん、ペラ室だった。

 峰竜太と向かい合い、会話を交わしながらペラ調整を続けている毒島。峰にアドバイスでももらっていたのだろうか、毒島が真剣な目を峰に向ける場面もあったりした。辻のときのように毒島を呼ぶアナウンスは結局流れていないが、時間帯的には「そろそろボートを移動しないと……」というタイミングまで、毒島はペラを叩いている。本来であれば、余裕のたたずまいの選手のほうがエンジンが出ていたり成績が良かったりするものだが、それでもこうした飽くなき調整を続ける選手もどうしたって目を惹くものである。

 これが報われたか、毒島は1着。今年に入っての好調ぶりの秘密は、こんな姿勢にもあるのだろうか。

 

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 そうした姿勢は、師匠の江口晃生に植え付けられたのだろうか。江口はかなり苦戦中。すでに準優進出は絶望的になっている。それでも、江口はペラ調整に没頭している。それも、かなり大がかりにペラを叩いているのだ。

 その江口の師匠である青山登さんと話していたら、江口が通りすがりざまに「ペラ叩きすぎて、壊れそう」と笑った。青山さんが軽口で返すと、「もう~、ストレス解消にペラ叩いているみたいに、ガンガンやってますよ」とさらに笑った。その言葉にこちらも大笑いしていると、江口は「よ~し、明日はペラ粉々にしてやる!」と言って控室へと去って行った。ダハハハハ。そこまで叩いたら、ほんとにストレス解消っす、江口さん。

 つまりは、江口もまだまだ勝負を投げていないのだ。足はなかなか上向いてくれない。だから、ペラをがんがんと叩き変える。正解を懸命に探しているのだ。明日からの江口の気配には注意が必要だ。その大叩きの過程で正解が見つかったら、気配一変があるからだ。ここまでの着順を見て、簡単に軽視しないほうがいいかもしれないぞ。

 

 さて、今日のピットには、これまでにないくらい浮き足立つ時間があった。選手も関係者も高揚感丸出しではしゃぎ、どこか華やいだ空気がピットに漂ったのだ。

 場内イベントに登場した、オートレーサーの森且行選手がピットを表敬訪問した。その瞬間、みんなのミーハー魂が爆発したというわけである。森選手といえば、元SMAPの森くん。オートレーサー転向時にはおおいに話題になったものだが、SMAP時代の活躍をよく覚えている人も多いだろう、ある程度の年齢より上ならば。そういう人たちはもちろん、色めき立つのである。

 

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 選手では、峰竜太が真っ先に反応した。たまたま森くんが女子オートレーサーの佐藤摩弥選手と連れ立ってあらわれたとき、最初に対面したのが峰だったのだ。明らかにテンションが上がった峰は、森選手が一通りピット見学を終えて、最後に整備室に入っていくのを見るや、猛ダッシュ。篠崎仁志をも巻き込んで、森選手と佐藤選手に記念写真をせがんだのだった。快諾されると、SGを勝ったかのような笑顔。いや、SG勝ったらたぶん泣くか。だったら、初日に6コースから勝ったとき以上の笑顔、ということにしておこうか。

 それにしても峰くん、森選手はGⅠ2Vなのだから、あなたのほうがレーサーとしての実績は上でしょうが。おい、森、写真撮ってくれ、みたいな感じでいいんじゃないの? そう言ったら、「無理っすよ~、だいたい僕にそんなん似合わんでしょ~」とまたまた嬉しそうに笑顔。もう、完全にミーハーである。

 

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 その頃、峰が作った展開にしっかりと乗っかった男がいた。平石和男である。峰が嬉しそうに握手してその場を去ると、電撃まくり差しのようなスピードで、平石が森選手の隣に取りついた。佐藤選手の隣には齊藤仁。へーちゃんも仁ちゃんも、やっぱり嬉しそうに笑っていた。すると、へーちゃんが「クロちゃーーーんっ!」と僕を呼ぶ。えっ、僕も写真に入るの? そんなわけがなく、へーちゃんは僕に撮影をねだったわけである。全員に「応援ヨロシク!」のポーズを強要(?)し、さらにへーちゃんは嬉しそう。というわけで、その写真はBOATBoy8月号に掲載されるので、ぜひご覧くださいませ。あと、佐藤選手はBOATBoyを毎月読んでくださってるそうです。ありがとうございます!

 

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 最後に、森選手のもとに訪れたのは、松井繁。おおぉっ、王者も! ただし、決してミーハー心からやって来たのではなく、一昨年の尼崎オーシャンカップ時にイベントで共演しており、その縁で挨拶にやって来たのだった。森選手も直立不動で、そのときのお礼を述べていたぞ。ハッキリ言って、森選手はめちゃくちゃカッコ良かった。王者がカッコいいのは言うまでもない。というわけで、この絡みは競技の枠を超えた超カッコいいツーショットなのであった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)