BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――静かではあるが

 

 

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 なんとも静かなピットであった。慌ただしい前検日と初日からは一気に様変わりしてしまっていて、装着場にも選手の姿は少ない。整備室を覗き込んだら、鈴木茂正がギアケース調整をしている姿があるのみで、2日目からここまで閑散とするのは珍しいような気がする。プロペラ調整室にも、山川美由紀ら数人の姿が見られただけで、では係留所にずらりとそろっているのかといえばそういうわけでもなく、選手たちは2日目の朝をわりとゆったり過ごしているようである。

 

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 これが1R発売中のことで、1Rが終われば控室からエンジン吊りにやって来る選手で大盛況となる。昨日は関忠志が真っ先にリフトにあらわれたという話を書いたが、今日は山室展弘がかなり早いタイミングでリフトに到着している。小畑実成のエンジン吊りだ。山室はピットではレース時展示時以外はほぼマスクを着用しているので、表情はなかなかわかりにくい。しかし、背筋をぴんと伸ばして歩く姿はなかなか凛々しいものがある。またSGでこの人を見たいよなあ、と改めて思ったりするわけである。

 

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 その1Rエンジン吊り時に、リフト回りで突如、爆笑が巻き起こった。児島のボートリフトは、3艇しか揚降できないので、レース後は1~3着が先にピットに戻り、4~6着の選手は係留所で艇番や艇旗を外したりしながら待機し、その後にピットに戻るというのがルーティンになっている。笑いが起きたのは、第1陣のいちばん右側。近畿地区の選手が集まっていたので、たぶんそうだろうなあ、と思っていたら、やっぱり1着の古場輝義が上がってきたのであった。古場さん、なんかしでかしたんでしょうか?

 何が起きたかは謎であったが、その後、装着場で次のレースへの準備をしている古場のもとに高橋淳美が大笑いしながら歩み寄っている。二人の談笑は続き、なにせピットが静かなものだから、二人の笑い声が響くわ響くわ。いったい何があったのか、ますます気になるわけだが、機会が見つけられたら、今節中に話を聞いてみよう。なにしろ匠たちの動きはシャキシャキしているので、そうした雑談系を話しかけるタイミングが難しいんですけどね。

 

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 というわけで、2R発売中もまあまあ静かなピットだったが、このあたりから少しずつ選手の動きが活発に見られるようになっている。整備室には本体整備をする池田雷太の姿も見かけられて、これには少し驚いた。今の今まで、装着場でエンジン吊りしてませんでした? そう、池田は1R2着。今日は1回乗りだから、たっぷりある時間を使って、本体整備をしようという腹だろう。でも、たっぷり時間があるからこそ、もっとゆっくりと整備を始めてもいいわけで、その素早さに驚かされたという次第だ。さっそく本体を外して整備を始めていたが、もしかしたらわりと早めの時間帯にふたたび水面に飛び出す池田の姿があるかもしれない。

 その池田以外にも、2Rの出走時刻が近づくにつれてギアケース調整やらを始める選手が徐々に増えていき、整備室も賑やかになっていった。係留所を覗けば、試運転を待ち構える選手も増えていた。やっぱり匠たちの執念は凄い! そう思わされる2日目の朝なのであった。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)