BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――徐々に徐々に動き出す

 1R発売中に仮設整備棟に入ると、ボートがちょうど18艇。すべて準優組のボートなのであった。係留所の数やピット工事中による動線の都合などにより、その時点では準優組は着水待機ということになっていた模様。同時に一般戦組のボートはすべて水面にあったということにもなるわけで(通路のボート置き場には1艇もなし)、混乱が起きないようにという措置なのであろう。整備室内を覗けば、準優組の姿はなし。古結宏がぽつりとひとり、ペラを叩いていた。どうやらその時間、準優組は控室で過ごしていたようだ。

 1Rが終了し、徐々に準優組が動き出す。菊地孝平がボートをリフトのほうへと運び始めた。着水一番乗りは予選トップ! 菊地は試運転を何周かこなしたようで、2Rの締切5分前頃にボートをあげて、装着場に戻ってきている。

 菊地に続いて着水したのは魚谷智之。早々にボートを下ろしたのは準優1号艇なのであった。魚谷はそのままボートを係留所につないだようで、2Rまでに装着場には戻っていない。その後も乗り込みを続ける腹積もりのようであった。

 これに続いたのは上平真二。今日もマスクをつけて真剣な表情をしており、素敵なヒゲも笑顔も見られなかった。上平は2Rの締切が近づいた頃に水面に向かっており、魚谷と同様にボートを係留所につけた様子。

 この頃には徐々に調整を始めた選手も出始めている。ペラ調整所の隅のほうでひとりペラと向き合ったのは齊藤仁。ハンマーを手にしてはいなかったが、ゲージを翼面に当てながら入念にチェックを行なっていた。おそらく水面に出て感触を確認し、そのうえでハンマーを使った調整も始めていくことだろう。

 金田諭と中澤和志の埼玉勢は、並んで会話を交わしながらのペラ調整。情報交換だったり、アドバイスなども含まれる会話だったと思われる。中澤の隣には、横澤剛治の姿も。82期の同期生だ。この間でも、あるいは金田も含めて、やはり情報交換があったものと推測される。

 序盤の時間帯に動きが見られたのはおおむねこんなところだ。準優組ももちろんエンジン吊りには出て行っているが、その後は控室へと戻ってくる選手がほとんどだった。2Rでようやく今節初勝利を手にした白井英治のエンジン吊りにはもちろん寺田祥と谷村一哉が参加しているが、肩を並べて控室に帰還。

 そうそう、今朝は今村豊さんがテレビ中継のお仕事でピットに姿をあらわしていたが、同支部の後輩である谷村とすれ違いざまに「ケガするなよ!」と声をかけていた。やっぱりまずは身体のことを心配するんですね、レーサー同士は。

 瓜生正義のエンジン吊りに参加した原田幸哉は、その瓜生と談笑しながら控室へ。勝負駆けで明暗分けた同期生、しかしやっぱりいちばん心を許し合える存在なのである。昨日も書いた通り、原田は瓜生の思いも背負って戦うことになるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)