BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――準優進出戦の表情

9R

 

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長岡茂一――表情変わらず

 鮮やかなまくり差しであった。にもかかわらず、ピットに戻ってきても笑顔を見せるわけでもなく、上気した様子を見せるでもなく、ただ淡々としているのみ、なのであった。会心のレースであっても、平常心を損なわない。この人の強さは、そこだろうか。

 

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熊谷直樹――苦笑い

 もはや苦笑いしかない、という感じのレース後であった。インからコンマ03のトップスタートで逃げ切れないのだから、当然だ。まくり差された長岡は、盟友というべき存在。二人でレースを振り返り合うときには、淡々としている長岡とは好対照なのであった。笑いという部分だけとったら、どっちが勝者かわからないくらい。明日、明後日には会心の笑顔を!

 

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山田豊――大きな大きな苦笑い

 ピットに上がった直後は表情を硬くしていた山田だが、同期の池本輝明が通りかかると「ダメだった~~」と苦笑い。こんな言い方があるのかどうかわからんが、力いっぱい苦笑い、という感じなのであった。レース前に同期同士の会話が何かしらあったのだろう。3人が出走していた準優進出戦、その先陣を飾れなかったよ~、というような意味もあったのかもしれない。

 

10R

 

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西島義則――雄々しく

 見事な逆転劇だった。3周2マーク、空いたターンマーク際に思い切って飛び込んだ。これで5番手から3番手へ。5着だったら準優進出はほぼアウトだっただけに、この逆転は大きい。ヘルメットを脱いだ西島の表情は、実に雄々しく見えた。

 それでも、接触があっただけに、相手の大場敏に即座に駆け寄って頭を下げている。もちろんノーサイド。大場は目を細めて、「いえいえ」と返している。

 

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大場敏――悔しさを押し隠し

 とはいえ、大場としては悔しい敗退だ。3番手を矢後剛と競り、この二人の態勢だけを言えば、大場に有利だった。4着以下は得点率順となるだけに、5号艇の大場は不利。なんとしても3着には入っておきたかったところだ。

 ターンマークを大きく空けていた自覚はあっただろう。それだけ矢後を牽制していたのだ。レース後はその矢後と、まさにその場面を振り返り合っていた。「先に回ってしまえば……」という声が聞こえたので、反省の弁だったかもしれない。表情にはまったくあらわれていなかったが、無念の思いが声の大きさにあらわれていた……といったら考え過ぎか。

 

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江口晃生――悲しそう?

 江口の笑顔には癒しの効果がある。ピットで笑いかけられると、心がなんか楽になるのだ。ただ、笑顔には2種類あって、とびきりの笑顔と、悲しそうにも見える笑顔である。後者はふつうは苦笑いと表現するところだが、江口の場合はどういうわけか、悲しみ笑い、みたいな感じになるのだ。

 このレース後がそうであった。つまり、レースぶりや足色に納得していないのである。失敗したときや、まったく機力が上向かないときによく見られるものなので、2着という結果は決して満足できるものではなかったのだろう。準優後には、どんな笑顔になっているだろうか。

 

11R

 

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倉谷和信――ギャップ!

 レース直前、待機室に入っていく倉谷をたまたま見かけた。怖い。やっぱりこの人の真剣な表情は、コワモテだ。いつだったか、SG優勝戦の朝、話を聞こうと声をかけかけて、足が止まったなあ。

 レース後は、頬を緩めて、ぐーっと目が細くなる。相好を崩すとはまさにこのことで、一気に人のよさそうな、心安い表情になるのだから、そのギャップが素敵だ。そのくにゃーっとした笑顔を明日も見たい!

 

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山室展弘――納得いかず?

 2着である。しかも、混戦の2マークで、不利な体勢から島川光男を封じ、古場輝義の頭を叩いて2番手争いに持ち込み、2周1マークはまくり差し、2周2マークは最内を差して、と八面六臂の捌き技で2番手を獲り切ったのである。さすが山室、というべきレースだったと思った。

 ところが、山室は何度も何度も首を傾げていた。納得の2着ではなかったようなのだ。観戦者としては接戦に興奮するが、走っている側はすんなり決めることが理想ということか。難しいところだ。

 

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古場輝義――笑顔!

 古場が、というより、周囲が大笑いしていたのだ。古場をマスターズで見るようになってずいぶん経つが、古場の周りってこんなにも笑顔に満ちているんですね。今節、初めて気づいた。不明の極みです。

 2番手3番手は充分にあったところを、捌かれて4着。何やってるんですか、古場さ~ん、って感じ? 高橋淳美も笑ってたし、富山弘幸も笑ってた。愛されてるんだと思います、古場輝義。

 

12R

 

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今村豊――淡々

 無傷の6連勝! そのわりには、やけに淡々としていたミスターであった。まあ、こんなもんか、とも思う。カポック脱ぎ場でも、別にはしゃぐ様子はなく、平石和男や新良一規と穏やかに会話を交わしていた。ミスターがおどけてギャグを飛ばしながらレースを振り返ってるのって、そういえば負けたときばかりなような。やはり勝ったときには、敗者へのいたわりというものがあるのだと思う。

 

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今村暢孝――頬ぷっくり

 スリット写真を覗き込みながら、ノブさんの頬が膨らんでいった。そして、ゆっくりと首をひねる。おっかしいな~、という感じ。コンマ12のスタートは、決して悪くはないのだが、ダッシュに対しては半艇身ほどのぞかれており、そのことと、それを含むレース内容に不満が残ったか。4着でも準優には残ったが、だから納得できるというものではない。

 

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小畑実成――硬直

 ピットに戻ってきたときには、表情が実に硬かった。ピット離れで新良一規に4コースを獲られているが、新良に「ごめんなさい」と言われて「いえいえ」と返しながらも、表情は硬いままだった。後輩に「ごめんなさい」と頭を下げる新良のお人柄も素敵だったが。もちろん新良は何も悪くない。

 ふと思ったのは、小畑は状況をどこまで理解していただろう、ということだ。僕は、小畑がピットに帰ってくるまでに必死に計算して、わかっていた。いや、正確に言うと、わかってはいたけど、自信はなかった。ほんとにこのルールでいいんだよな、と半信半疑なところがちょっとだけあったのだ。

 小畑は18番目で準優に乗るのである。準進戦5着でも、他の4着以下の選手たちの今日までの得点率を計算すると、そうなるのである。おそらく選手はそこまで計算してないよなあ、と思う。得点率計算表みたいなものを持ってる僕らでも、「ややこしいよね」と言い合っていたのだから。

 JLCの準優インタビューに導かれる小畑を観察したら、特に驚いた表情は見せていなかったので、その時点ではもう準優行きを聞いていたのだろう。地元マスターズ、優勝の目は残った! 準優6号艇、失うものはない。激しきイーグル魂を見せてほしい。そしてレース後には柔らかな表情を見せてほしいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上 TEXT/黒須田)