BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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トライアル第3戦ダイジェスト

勝者にアメ、敗者にムチ。

 

11R

①滝川真由子 34

②日高逸子 12

③三浦永理 14

④大瀧明日香 18

⑤松本晶恵 17

⑥遠藤エミ 15

 

 

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 嗚呼……艇界のまゆゆが、やってはいけない超のつくドカ遅れ! 私は満を持して◎を打ったのだが、これでは話にならない。百戦の女傑・日高が軽々とまくり、初代・賞金女王ウイナーの三浦がマーク差しを突き刺し、滝川は1マークでボコボコにいたぶられた。昨日は6着で、今日も惨敗パターン。この1マークを見て「まゆゆ、2戦目で脱落だな」と確信したものだ。

 

 

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 が、その後の滝川の粘りには見るべきものがあった。バック5番手あたりから握って差して、実にしぶとく食い下がる。出色は2周2マーク。3番手の遠藤エミが握ったところをブイ際の小回りターンで応戦し、見事に舳先を捩じ込んだ。あの丸亀レディチャンの大逆転V差しを彷彿させるターンだ。この3着でトータル11点まで持ち上げたのだから、まさに起死回生の差しでもあった。明日は5号艇でまだまだ試練が続くまゆゆだが、複数の引き波を超えて突き抜けるパワーはありそうだ。要注意。

 

 

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 1着は三浦。展開を機敏に突いたマーク差しといい、日高の追撃を封じる先マイといい、さすがのテクニカルエリーだ。この一撃でシリーズの流れまで引き寄せたか、レース後の抽選でも白玉をゲットした。ここは福岡だけに、イコール確勝とは言い切れない1号艇だが、2度目のティアラ戴冠へグッと近づく1日ではあった。

 

 

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 一方、2日連続でほとんど見せ場もないまま、V戦線から置き去りにされたレーサーもいた。松本晶恵。5着6着で9ポイントは、ほぼ脱落と言っていいだろう。さらに、明日は6号艇という死者にムチ打つような過酷な仕打ち……モチベーションが心配だが、こんな不毛な状況で奮闘してこそ、精神的にひと回り強くなるとしたものだ。おそらく舟券的にも徹底的にシカトされる中、「ひと泡吹かせるぞっ!」ってな気合でレースに臨んでもらいたい。来年のために。

 

40号機の躍動

 

12R

①寺田千恵  09

②鎌倉 涼 06

③山川美由紀 06

④小野生奈 21

⑤平高奈菜 19

⑥川野芽唯 22

 

 

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 こちらは、パワー主体でレースを振り返りたい。鎌倉の足色が凄い。まずは行き足。「行き足は山川65号機がトップ」が定説だが、今日はスリットからまったく同じくらいの迫力で出て行った。少なくとも、インの寺田を圧倒していた(テラッチが放った可能性も高いが)。で、次は回り足だ。鎌倉はジカまくりもありえる隊形から、山川をブロックしての差しハンドルを選択した。

 そりゃ、むしろ危険な選択だろ。

 私は思ったね。テラッチよりも伸びた分だけ、待って待っての差しになる。その間に、シビレを切らした山川がぶん回し、その引き波がモロに直撃する。そうなるだろうと思って見ていたら、実際にそんな展開になった。これって、2コース選手が引き波にハマッてズルッと下がる典型的なパターンなのだ。

 だがしかし、鎌倉40号機は山川の引き波をモノともせず、待って差したロスもモノともせず、スパーーンと突き抜けた。もちろん、スリットで煽られたテラッチが「まくりだけはダメ!」と握ってくれた分のアドバンテージはあっただろう。その分を計算に入れても、やはり素晴らしい回り足~出口の加速だったと思う。山川65号機が迷走とも呼ぶべき窮地に立たされている中、40号機の仕上がりはそれをはるかに凌駕している。そう確信させる1マークだった。

 ただ、65号機にも軽視できない一面はあった。バック直線で平高に舳先を突っ込まれたとき、スッとそれを振りほどいたのだ。展示時計では平高のそれが抜けていただけに、この光景は「おっ!」と思わせた。65号機の底力は絶対に侮ってはならない、と言い聞かせた。明日は3戦連続の3号艇。「もう底が知れた、昔の65号機じゃない」などと決めつけていると、痛い目に遭う可能性もあると思う。

 

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 道中で奮闘したのは平高だ。同県の大先輩・山川を相手に2度も鋭い切り返しを繰り出し、2度目のそれ=最終ターンマークでギリギリ3着を獲りきった。11Rのまゆゆに続き、見事な逆転ターンで最低ノルマの11ポイントをもぎ取った。レース後の公開抽選で泣きじゃくっていたのが気にならなくもないが、明日は胸を張って1着勝負のレースに徹してもらいたい。今日の3着は、非の打ち所のない天晴れな“勝負駆け(第一段階)”だったぞ、奈菜ちゃん!

 

 

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 そして……もちろん、いちばん気になるのは暫定トップのテラッチだ。初戦の1号艇が「抜き」で1着、2戦目の1号艇は差されて2着、3戦目の枠番は6号艇……誰もが気づいているが、グランプリの智也の足跡とまったく同じ。明日「2着以内ならトップ確定」も一緒だし、パワー的に中堅に毛が生えたレベル(独断)という点まで酷似している。ただ、大きく異なるのは暫定2位の選手の枠番だ。グランプリでは篠崎元志の3戦目は5号艇だった。一方、今回の2位・三浦は1号艇。たとえばテラッチが智也と同じ5着に敗れたとして、ファイナル1号艇を守り切れるか……ちょっと苦しい気がするな。

 まあ、そんなオカルトなんぞにお構いなく、明日のテラッチは「2着を獲ればいいんでしょ」ってな意気込みで臨むことだろう。うん、それでしっかりファイナル1号艇をゲットできれば、チャレカから連綿と吹き続ける「テラッチ風」はまた風速を一段と増す。そうでなければ、パワー的に見ても向かい風になりそうな気がするのだが、どうか。(photos/シギー中尾、text/畠山)