明日へのリハーサル
11Rシリーズ優勝戦
①平山智加(香川) 05
②樋口由加里(岡山)11
③宇野弥生(愛知) 09
④岸 恵子(徳島) 10
⑤細川裕子(愛知) 18
⑥岩崎芳美(徳島) 21
なんという強さ。モノが違ったし格が違ったし、舞台すら違った。ここにいるべきレーサーではなかった。私らしい弥生のまくりをガッチリ受け止めて、癒し系の岸の根っこ差しを置き去りにして、心を込めながらぐんぐんと前へと突き進んで行った。まるで、365日後のティアラが、眼前に見えているかのように。
前検からパワーも含めて平山に注目していた私は、今日の優勝戦にかすかな不安を感じていた。「モチベーション」という言葉でお茶を濁していたが、実のところ「男どもをバッサバサとなぎ倒した去年の強い強い智加に比べると、まだまだ本調子ではない」という思いがあった。今節も5日目までは無難に堅実に着をまとめてきたが、最後の一番で誰かに足元をすくわれるかも?? 根拠なき老婆心が、何とはなしに浮沈していたのである。
今日の智加は、そんな老婆心、いや無粋なジジ心を五郎丸級のプレースキックで吹き飛ばした。笑いながら。スタートもターンも1マークの攻防も、文句を付けるべき点がひとつたりともなかった。明日=来年の再飛躍を確定させるレースだった。予言や確約でなく、確定である。平山自身、横目でTOP12の動向やレースを“客観的に”眺め続けた日々は、屈辱も含めて大いにカンフル剤になったことだろう。
終わってみれば、智加の智加による智加のためのシリーズ&優勝戦。これ以上、書くべき言葉はない。なぜならそれは、智加にとって仮の姿だから。今日の智加は、来年のさまざまなレースシーンに向けて、完璧な予行演習を成功させたに過ぎない。ブッチギリでゴールする姿を見て、そう確信した。(photos/シギー中尾、text/畠山)