BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――春雨

 

 

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 雨! 4日目になって天候が一変。気温こそそれほど下がっていないが、湿度が昨日の30%台から90%台に上昇。気圧も1020hpa前後から1006に下降している。雨が降ると気配が変わる、みたいな言説は最近よく耳にする(僕も書く)が、湿度↑気圧↓で大雑把に言うと回転が上がらなくなると考えていいだろう。そこで、選手たちは調整に奔走するわけだ。

 また、新型モーターになってからは特に、モーター差がよりはっきりする傾向もあるようだ。上位機はそれほど影響がないが、下位機はさらにパワーダウン、格差が広がりやすいというわけだ。笠原亮は予選7位の好位置につけているが、モーターは2連対率26・7%。素性は決してよろしくはない。だからだろうか、今朝の表情はいまひとつ冴えない。朝の特訓などで異変を感じ取っているのかもしれない。もちろん、ペラ調整に懸命だ。

 

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 では、節イチ級の坪井康晴は、というと、こちらもペラ調整の手を緩めていない。モーターに異変? いや、これが笠原とは対照的な表情で、明らかに余裕が顔色に浮かんでいる。おそらくは微調整というやつだろう。

 

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 整備室を覗くと、新田雄史が本体を割っていた。新田の気配は悪いとは思えないし、今日はボーダー6・00なら5着条件。それほど厳しいノルマではない。ただ、気配は悪くないと言えども、モーターは2連対率33%台と好素性機ではなく、雨が気配を狂わせたか。上積みをはかっての調整の可能性もあるが、空気がじっとりするなかで新田を眺めれば、この気候が関係しているようにしか思えなくなってくる。

 

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 そのすぐ近くのテーブルでは、平本真之がゲージ擦りをやっていた。同じく33%台のモーターだが、ペラ叩きも本体整備も外回り調整もする必要がないということか。昨日の追い上げを見れば、とても33%台のモーターとは思えないのも確かなことだが。

 その追い上げについて話を振ると、平本は少し誇らしげに笑った。手応えのあるレースぶりだったのだろう。「足は悪くない」とはっきり語ってもいる。今日は1マークで決めよう、と振ったら苦笑いしていたが(6号艇ですからね)、いやいや、可能性は充分にあるでしょう。

 

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 さて、序盤戦、地元勢が頑張っているぞ。たったいま、目の前で濱野谷憲吾が3着。準優は絶望的だが、地元水面で投げるわけにはいかない。そんな気合も感じられる3番手争いだった。

 2Rでは山田哲也が1着。彼らしいトップスタートからのイン速攻劇だった。山田はこの1着でも、得点率4・60。やはり準優は絶望的だ。それでも、平和島で闘志を萎えさせていいはずがない。会心の逃げに、出迎えた東京支部勢に向けて笑顔を見せている。

 

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 一方、1R2着の中野次郎は予選突破に向けて一歩前進。隣で一緒に観戦した機力評価の達人・山口雅司さんが「おぉっ、これはいい感じだ」とパワーに太鼓判を押している。ところが、ピットに戻った次郎は浮かない顔だった。濱野谷に声をかけられて、首をひねる場面もあった。2着という結果に、もしくは足の感触に、納得していないのである。その思いがあれば、後半レースはきっと結果を出せる。そう思える次郎の様子なのであった。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)