BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――ガツン、ガツン

 

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 ふーーーっ。ただ大きく息をついただけかもしれないが、それが溜息に聞こえてきてしまう。平本真之、オール6着。昨年は予選トップ通過ででっかいタイトルを手にしたディフェンディングチャンプが、今年は一転、一緒に走った全員の後塵を拝している。昨日のレース後には整備をした。プロペラ調整にも懸命だ。しかし、何をしても機力は上向かない。この状況が平本から笑顔を奪い取っている。

 それでも今日も1便では帰らずにプロペラ調整を続けている。ガツンガツンとかなり大きな音を響かせて、どん底から這い上がるきっかけを探している。ひとまず明日は、6着街道脱出を目指したい。もちろん数字が小さくなればなるほど、いいのだが。

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 今日の午後の時間帯、かなり強くプロペラを叩いていたのは平本だけではなかった。とりわけ大きな音を出していたのは新田雄史。7Rで5着に敗れたあと、ペラを徹底的に叩き始めた。それまでの成績はなかなか好調だった。得点率にすれば8点あったのだから、順調な足取りであった。しかし、完全にはしっくり来ていなかったのか、大敗のあとに強烈にペラを叩いた。好成績であるうちは思い切った手を施しにくいという選手心理だろうか。明日は12R1回乗り。たっぷり時間があるなかで、新田がさらにどんな手を打つのか、注目してみたい。

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 念願の初1着をもぎ取った峰竜太も、叩き替えているというほどではなかったが、わりと強めにペラを叩いていた。まあ、それも微調整の範囲なのかもしれないが、勝ってもまだ、調整の手を緩めないあたりはペラ巧者の峰らしい。表情自体は、憑き物が落ちたように明るくなっていた。今朝顔を合わせたときには、目をほとんど合わせない「余裕がないモード」の峰だったが、午後はすれ違いざまにじゃれついてきて、安堵と歓喜の意を示している。この1着は、間違いなく気持ちを上向かせる、あるいは安定させる特効薬となっただろう。6号艇で迎える勝負駆けも、いつも通りに戦えるはずだ。ならば、峰は6コース得意なだけに、6番は不利枠にはならない。

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 なお、ペラといえばギリペラ=とにかく時間の許す限り、ギリギリまでペラ調整をする辻栄蔵だが、今日の11R出走時も本当にギリギリまでペラを叩いていました。具体的にいえば、展示待機しなければならない10R締切数分前まで、だ。辻は整備室奥のペラ調整所で作業をしているのだが、係留所と調整所を駆け足で往復するところを何度か見かけている。何度も書いているが、この姿勢が辻の活躍を支えているのである。

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 さてさて、小野生奈が快進撃を繰り広げている! 今日は連勝を決めて、都合3連勝。今までSG予選3連勝をマークした女子選手はいたのか? あの横西奏恵ですら2連勝までで、これはなかなかの快挙である。これで準優は無事故完走当確(ボーダー6・00として)。3人目の女子優出も期待されるわけである。

 他の選手も、小野にはエールを送っている。濱野谷憲吾との捌き合いになった1周2マークでは、モニターで見ていた選手たちが歓声をあげている。レース後は峰竜太が嬉しそうに拍手を送っていた。小野が精一杯、努力をしているところを誰もが視界の片隅に入れたことがあるわけで、レースとなればライバルになる相手だとしても、その快走は皆のテンションを上げるわけだ。

 明日は6号艇。ここをどう乗り切るかが、次なる快挙への距離を決める。11Rは必見だ!(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)

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 今垣光太郎のレース後のルーティンは、相棒のボートを磨き上げること。1号艇で敗れた悔しいレースの後でも、必ずボートに寄り添う。悔しさを噛み締める時間帯でもあるかもしれない。