BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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蒲郡グラチャンTOPICS 2日目

シリーズ企画・鳴門行き最終便②

極端すぎる明暗

 

★市橋卓士/2R1号艇=1着

 

 

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 残った残った♪ 2コースの赤岩善生を壁にして、なんとか逃げきった。今日もコンマ19と慎重だったため、スリット隊形はややピンチ。行き足強力な赤岩に1/3艇身ほど覗かれて「ジカまくりを喰うか??」と冷や冷やしたが、赤岩がアジャストしていたのだろう。さほど伸びては来ず、逆に(おそらく)全速だった市橋がじんわり伸び返して1マークを先取りした。昨日は4号艇で4着、今日は1号艇で1着。艇番通りの着順でしかないが、とりあえずは7・00。明日以降に弾みが付くだろう。

 パワー面でも、やや光明が見えた気がする。1マークを旋回してからわずかに押して行く気配があったし、ターンの航跡もスムースだった。とりあえず、回り足は及第点か。それでやっと中堅に毛が生えた程度にも思えるが、まだまだ整備の時間は残されている。明日の2走までに、悔いのない仕上げを目指してもらいたい。

 

★田村隆信/4R3号艇=6着、8R2号艇=6着。

 

 

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 明日への夢が膨らんだ市橋とは裏腹に、鳴門のエース田村隆信は……やらかしてしまった。あってはならない6着、6着。どちらも、最大の敗因は「ストレートの弱さ」だったか。その弱点がもろに反映する展開になってしまった。

 まずは4R、3コース田村はスリット同体の5コース池田浩二に叩き潰された。あっという間に1艇身やられて、呑み込まれた。半端に舳先が引っかかったのも災いして、回りきれずにズルッと最後方。懸命に追い上げたが、5着は遠かった。完全に伸び負けである。

 

 

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 後半の8Rは、さらに悔しい惨敗となった。いきなり勝負がかった田村は、スタートで気を吐いた。2コースからコンマ08のトップS。インの辻栄蔵がコンマ15だから、ぴったり半艇身飛び出した。勢い的にも、ジカまくりが決まりそうなムードだった。が、そこから伸びない。まったく伸びていかない。逆にじりじりと辻が伸び返し、田村がまくりハンドルを入れたときには、すでに舳先が並んでいた。完全な無理攻め、ぶっとび。その手前で「まくるか差すか」わずかに逡巡したようにも見えたが、伸び足さえあれば迷わず踏み込んでいただろう。

 昨日の6号艇2着を「1着に等しい2着」と評した田村。その“貯金”を吐き出したどころか、2日目にして絶体絶命の崖っぷちに立ってしまった。残り2走をピンピン連勝でやっと6・00……苦しい。ほぼ絶望的な状況だが、まだ可能性はゼロではない。明日の1号艇をキッチリものにして、針の穴を通すようなミラクル予選突破を果たしてほしいぞ。いざ準優に乗ってしまえば、18位=6号艇でも様々な奇襲を操れるトリックスターなのだから。

 

明日の鳴門コンビ

★市橋卓士=1R3号艇、10R6号艇

★田村隆信=9R1号艇

 

またまた、下條!?

 

 

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「インコース11勝……今日は特筆すべきTOPICSがほとんどない」

 12Rがはじまる前にこんな予定稿をつらつら書いていたら、その最終レースでとんでもない波乱が起こった。盤石のイン戦と思われた王者・松井繁が、よもやの不覚! F持ちの足かせが響いたか、スリット手前でかなりアジャストして凹んだところを2コースの魚谷智之に叩かれた。その間隙を縫って、5コースから鋭角な差しハンドルを入れたのが下條雄太郎だ。SGのたびにぐんぐんスキルを上げている長崎の新エースは、2マークで力強く抜け出し1着&予選暫定トップの座をゲットした。

「下條って、去年の蒲郡メモリアルでも2日目にトップに立ったんですよね」

 記憶力がやたらといい黒須田が、にんまり笑う。

「うそ、マジッ??」

 記憶力がやたらと悪い私は驚き、さっそく調べてみた。なるほど、その通り。ただし、去年は内枠2走で2・1着というちょいと心もとない暫定トップ。今年は3走1・2・1着なのだから、その価値は高い。スキルアップの証と考えてもいいだろう。私が勝手に抱いている下條像は、「道中で決して諦めず、あの手この手でしつこくしぶとく追い上げるファイター」だ。時には突進に近い切り返しも見せるし、そうと見せかけての全速ツケマイもある。勝手に付けたニックネームは『艇界のあばれる君PART2』(ちなみにPART1は岡崎恭裕です)。つまりは、私の好物レーサーのひとりだ。

 

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 去年は3日目から3・2・4着で予選5位~準優2着~SG初優出4着だった下條。不完全燃焼とも言える成績ではあるが、この優出が決め手となって今節グラチャンの下條が存在する。そして、去年よりも濃密な2日目の予選トップ。パワー的にも行き足を中心に、上位~抜群レベル。リベンジの材料が整った、と言うより、「精神面でもスキル面でも、その機は熟した」と見るべきだろう。まだ3・4・6号艇という重い枠を残している下條だが、去年より格段に充実した心技体で大いに暴れまくってもらいたい。

 ってな感じで今日は〆ようと思いつつ、去年のメモリアル2日目の当欄をチラ見したらば、下條をこう評していた。

『精神面がかなり充実しているのだろうし、スキル的にも少し前より格段に進化しているように見えた』

 ギャハハ、進化してないライターが、まったく同じような文面を書いている。でもって、この一文を書いたことなど、1ミリたりとも覚えていないのである。まあ、覚えてないから新鮮な気持ちで書けるわけで、記憶力がないのが、いいんだか悪いんだか……(笑)

(photos/シギー中尾、text/畠山)