BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――憂鬱な午後

 

f:id:boatrace-g-report:20171228183819j:plain

 途中帰郷の姿を目の当たりにするのは、なかなかつらいものだ。終盤の時間帯、コンマ07のフライングで即日帰京となってしまった今垣光太郎が荷造りをしていた。このタイミングでただ一人、帰郷の準備をしている光景はやはり寂しい。負傷による帰郷はどちらかというと容態への心配が勝ったりもするが、体は元気なのにレース場を後にしなければならないという事態は、SGではほとんど見かけないだけに、こちらもテンションが上がらない。

 昨日のドリーム戦、3コースが後手を踏んだ隊形だったのに、なぜまくらなかったのか。昨夜は眠れないほど、そのことを悔やんだという。だから今日は悔いを残さず戦いたい。その思いが先走りすぎて、スリットラインを大幅にはみ出てしまった。今夜はその先走りに対して、眠れぬ夜を過ごすことになるのか。しかし、ただ落胆してばかりでもない。切り替えてオールスターで雪辱を果たす。その思いももちろんすでに浮かんできている。別れ際の「またよろしくお願いします!」の声は力強かった。5月博多ではきっと、元気いっぱいの光ちゃんに会うことができるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20171228183902j:plain

 それにしても今日は事故が立て続けに起きてしまった。10Rでは村越篤が転覆。昨日は水神祭を行ない、気分的には上々だったはずだが、そこでこのつまずきは痛い。幸いにも体は無事で、レスキューでピットに戻るや、エンジン吊り中の選手たちに頭を下げて回っている。その後の転覆整備中の表情は決して暗くはなかったが、やはり切り替えて明日からの巻き返しを期してほしい。

f:id:boatrace-g-report:20171228183950j:plain

 11Rでは伊藤将吉が転覆。スリットから出ていって内を締め、しかしインまでは届かずに張られて、バランスを崩しての転覆だった。村越は選手責任だが、こちらは責任外。伊藤もまたケガはなく、一安心だ。伊藤もまた、ここからの盛り返しを期待したい。

f:id:boatrace-g-report:20171228184005j:plain

 その転覆の原因を作ったとして、茅原悠紀は不良航法をとられてしまった。展開的には致し方ないような気がするが、そう判定されてしまったものは仕方がない。そして、茅原もそれを覚悟していたか、あるいは競った相手の転覆に心痛めていたか、レース後の表情は険しかった。1マークでは桐生順平に差され、2マークで差し返しての1着。2マークは会心のターンのように思えたが、そういう思いは茅原には少しもないようだった。控室に入る直前には、顔を歪めてさえいて、明らかに悔いの残るレース後という感じである。茅原にも明日はこの減点を埋めるような走りを期待したいし、次は爽快なレース後の表情を見たいものである。

f:id:boatrace-g-report:20171228184021j:plain

 さてさて、開会式で「やっと江夏と一緒にこの舞台に立てた」とコメントした平田忠則。プロフィールを調べたら、同じ大宰府出身で、高校の先輩後輩でもあるんですね。というわけで、二人の絡みは今節、何度も見かけるわけである。11Rのレース後も、エンジン吊りを終えると二人はレースを振り返り合っていた。平田は時に顔をしかめ、親しい江夏に愚痴を聞いてもらっている感じ? 江夏も神妙な顔で言葉を返したりしていた。事故レースということもあり不完全燃焼だったであろう一戦。そうしたときに、親しい間柄の仲間がそばにいれば、メンタル的にもプラスは大きいだろう。SG初出場の江夏は明日、8R1号艇。逃げ切れば、満面の笑みの平田が出迎えてくれるはずだ。明日の朝、二人の笑顔が見られるか!?(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)