BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――いざ、今年最後の勝負駆け

●投げない

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 午後イチのピットに入ると、篠崎仁志のボートにモーターが乗っていないのがまず目についた。整備室を覗くと、本体整備の真っ最中。篠崎は2走9点で優勝戦に進める可能性は極めて薄くなっている。何もなければ、今日勝ってもボーダーに届かない公算が大きい。それでも、篠崎は投げない。最終戦で一矢報いるべく、パワーアップを模索するのである。

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 本体整備はもうひとり、平本真之。今日は1号艇での勝負駆け、万全を期しての整備だろう。機力的には決して満足し切っているわけではないだけに、憂いを少しでも消そうと必死なのだ。

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 実は、濱野谷憲吾のボートにもモーターは乗っていなかった。しかし整備室に濱野谷の姿はなし。ひとまずゆっくりと動き出す模様。昨日のレース後には出足系統に不満があると述べているだけに、まずはそのあたりの手当から始めると思われる。

●神は細部に宿る

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 峰竜太が控室からゆっくりとあらわれて、すたすたと自艇のもとに向かった。そしてモーターのあたりを一通り点検すると、整備士さんを呼び寄せ、何ごとか相談を始めた。アドバイスを得て峰は、キャブレターあたりを工具を使って調整する。いったい何をしているのかはよくわからないのだが、とにかくかなり細かい部分に気を遣っての調整のようだった。やがてキャブレターを外してボルトを締め直していたから、装着系を丁寧に煮詰めたのだろうか。とにかく、細かい部分にまで目配りし、こだわって調整する姿に感服させられたのであった。

●盛況

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 プロペラ調整室は、シリーズ組も含めて、今日も賑わっている。トライアル組では、原田幸哉が入念に調整しているのが目につき、レースがゴールしてもギリギリまで叩いているため、エンジン吊りには猛ダッシュで向かうことになっている。ピン勝負の最終戦、調整にも気合がうかがえる。

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 白井英治も今日は動きが早い。すでに乗艇着に着替えているし、午後イチからペラ室に姿があった。盟友・寺田祥と言葉を交わしながら、ハンマーを振るっていた。
 シリーズ準優組では、西山貴浩、馬場貴也、岡崎恭裕、深谷知博、茅原悠紀らが熱心な調整をしていて、盛況の調整室は選手たちの思いと気合がほとばしっているように見える。

●愛知連勝

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 1Rは岩瀬裕亮が大穴を叩き出した。今節はイン逃げでの勝利はあるものの、それ以外が不本意な内容。待機行動違反もとられている。それだけに、この勝利で頬は緩む。出迎えた東海勢に笑顔で頭を下げていた。

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 2Rは磯部誠がこれまたマンシュウとなる勝利。愛知勢が2戦連続で穴をあけた! しかもこのレースは赤岩善生とのワンツーだ。というわけで、この両者を出迎えた平本真之もニッコニコで、いい後押しを受けたということになるかもしれない。磯部はクールに振舞ってはいたが、師匠にいい流れを作ったのはたしかだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)