BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡オールスターTOPICS 3日目

♪セーナセーナセーナ

 

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 地元の女戦士・小野生奈が大仕事をやらかした! まず1Rはきっちりイン逃げ。スリット同体から2コース赤岩善生のツケマイをほぼ全速でブロック。バックでは差した山口剛の猛追をギリギリ交わし、2マークで一気に突き放した。慌てず騒がず、なかなかに強い逃げっぷりだった。

 圧巻は後半10Rだ。生奈以外はすべてSGウイナーという厳しい番組の4号艇。その4コースからやや立ち遅れたスリットとあって「こりゃダメか」と思いきや、1マーク旋回の鮮やかだったこと。外からの守田俊介のツケマイなど委細構わず、舳先をターンマークに向けて真っすぐに突き進んだ。で、ターンの出口では濱野谷、今垣に次ぐ3番手だったのだが、出口からの伸びがまた素晴らしい。憲吾との7kgの体重差も背中を押して、1艇身~舳先突っ込み~半艇身とグイグイ差を縮め、2マーク手前でついに舳先を並べた。昨日の8Rとよく似たバックの攻防ではあったな。

 そして2マーク、同体から憲吾が放った強ツケマイを完璧なターンでブロックし、単独の先頭に躍り出た。1Rでも感じたが、やはりなぜだか生奈の1周2マークのターンは美しく見える。あとは憲吾&光太郎のあの手この手の追撃をしっかり完封し、5人のSGウイナーを従えてゴールに飛び込んだ。なんとなんとなんと、昨日の8Rから3連勝のゴールイン!!! 節間成績も54111で、3日目にして準優の切符をほぼほぼ手中にしてしまった。昨日の当欄で「尻上がりの成績を期待する」ようなことを書いたが、尻上がりどころか破竹の快進撃だ。

 

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 さてさて、これで明日の生奈が実に楽しみになったぞ。オールスターの4日目といえば、女子レーサーにとって鬼門中の鬼門。「ほぼ当確」と思えた女子たちが何度脱落したことか……かつて、生奈自身も低いハードルを跳びきれずに涙を呑んだことがあった。が、明日の立場はまるで違う。6号艇からリラックスした心持ちでピットを飛び出せば、準優への好枠につながる走りを見せてくれるはず。守りに入らず、この3連勝と同じく強い気持ちで予選の最終レースを走り終えてもらいたい。その流れの良し悪しが、あさって以降の生奈にも多大な影響を与えるはずだから。あ、万が一にもアウト一撃4連勝なんて離れ業をやらかしたら、予選トップになっちゃったりして??

 

泣くな平本!

 

 平本真之の足がひどい。ひどすぎる。初日から6666……前検のワースト時計そのままに、ターンマークを回るごとにズルズルずり下がり、4戦ともに5着から10艇身以上も千切れてふらふらとゴールを通過している。新型モーターになってからSGで這い回る選手が急増したが、これほど重症な劣悪パワーは見たことがない。

 

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 もちろん、前年度覇者の平本はまったく諦めてはいない。部品交換を見れば、前向きな姿勢がはっきり見て取れる。初日はキャリアボデー、2日目はクランクシャフト、今日はついにピストン2個&リング2本まで換えてレースに臨んだ。それでもまったく“正解”に辿り着いていないが、明日もまた何がしかのパワーアップを求めて整備に時間を費やすことだろう。「本体がひどすぎたら、何をやってもダメ」が新型モーターの定説になりつつある。最終日まで平本の苦労は報われないかも知れないが、昨日あたりから私は「何かの弾みで、せめてレースに参加できるくらいの足になれば……」と密かに思っている。まあ、それは平本への応援というより、大穴舟券ゲットのチャンスだから、なのだが(笑)。平本の苦労が報われ、私の財布がパンパンに膨らむことを夢見て、明日からもコレナインジャーの動向に目を光らせるつもりだ。

 

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 もうひとり、頻繁に部品を交換しているのが今垣光太郎だ。初日にキャリアボデー、2日目に再びキャリアボデー(戻したか?)、今日はまたまたキャリアボデーを換えつつピストン2個&リング4本という大手術に踏み切った。まあ、光ちゃんの場合はよくあることだし、平本ほど最悪の状況でもないのだが、10Rの足色を見る限りはややパワーアップしたと思う。昨日までの足なら、憲吾との2着争いで競り負けていた可能性は高い。中堅下位から中堅に毛が生えた程度だと思うのだが、赤岩善生とともに「整備の鬼」とも呼ぶべき男だけに明日以降も足色の変化には特別な注意を払っておきたい。

 

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 あ、さらにもうひとり、初日から這い続けていた渡辺浩司が昨日のレース後にクランクシャフトを交換した。「期待してください」というコメントも耳にしたが、今日の結果は5着……ただ、今日の敗因を「パワー負け」と決めつけるのは早計だと思うぞ。アウト6コースから展開がなかったし、競り勝った相手は石野28号機だったし、ターンマークごとの足色も昨日より良化しているように見えた。「這っている選手の気配が変わったら大チャンス」は穴党の鉄則。明日の渡辺も人気薄なようなら、こっそり大穴のバラ券を買うとしよう。

 

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 そうそう、「6コースのコージ」と言えば、8Rの池田浩二が大技を決めた。5コース松村敏の締めまくりを徹底マークし、スピードを緩めることなく1マークの艇団を切り裂いた。初動から早い・速い・巧いの3拍子ターン。そろそろ誰かが6コース勝ちを決めるのでは?と思っていたらば、ピカイチの切れ味を誇るこの男であった。足は中堅ど真ん中レベルだと思うのだが、トップ級のテクニックがパワー不足の分を完璧に補てんした。そんな技ありの6コースまくり差しだった。

 

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 今日の〆は、やはりあの男か。茅原悠紀29号機。12Rは内から瓜生・太田・茅原の黄金メットトリオが並んだが、パワー上位の茅原がふたりのど真ん中に舳先をぶっ差した。これで昨日の猛烈時計イン逃げから2連勝。やはり、来たか。それが素直な感想だ。この男をして29号機の底力を引き出せば、来ないわけがないのだ。怒涛のまくり差し一閃で、予選ランクも3位まで浮上。明日はボーダー勝負駆け(④⑤着条件)というより、予選トップを狙う戦いになるだろう。5・4号艇というなんでもできそうな艇番で、茅原29号機がどんな異次元のパフォーマンスを繰り出すのか。スリットから1マークまで、瞬きすら厳禁とお伝えしておく。