BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門グラチャンTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い

信用金庫、揺るぎなしっ!?

 

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 石野貴之vs赤岩善生の一騎打ちとして前夜から期待したトップ争いだったが……まずは6R、好成績で石野にプレッシャーをかけたかった赤岩は、5コースから握って攻めるも他艇にドン突きで失速。そのまま追い上げが利かずに6着に敗れた。この瞬間、12Rの直接対決で赤岩が逆転トップを奪う必要十分条件は「赤岩①着で石野が⑤着以下」という非常に険しいものとなった。インの石野が5着以下になる確率って……??

 

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 その12R、石野は何事もなかったかのようにあっさり逃げきって予選トップを決めた。比較的緩いトップ条件の中で、スタートはコンマ07。気力も機力も充実している証だろう。そして、その予選勝率は9・33!! 2位の篠崎仁志が7・33だから、まさにブッチギリの大差だ。今日の12Rのオッズも凄まじいことになっていた。〆切の何分か前に見たところ、オッズボードは万舟の嵐! 確か3連単の22番人気から100倍を超えており、ボード全体を見渡すと目がチカチカするほど数字で埋め尽くされていた。こんなオッズ、SGでは住之江でも見たことがないかも。まさに、「石野信用金庫」に大金が預託され、その信用に石野がしっかり応えたわけだ。

 

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 福岡オールスターから鳴門グラチャンへ。SG連覇の期待感とともに、石野への信用は2節を通じてぐんぐん増幅している。明日の準優12Rでも、今日と似たような①一辺倒のオッズが見られることだろう。だがしかし、今のところ私は「今節も鉄人・石野28号で鉄板」とは思っていない。今日の12Rはまくり差した下條雄太郎にやや詰め寄られ、バック中間から突き抜けるほどの迫力を感じさせなかった。「鳴門の28号機は上位レベルだけど、福岡の28号機ほどのパンチ力はない」という戦前からの持論は変わっていない。予選の9・33という勝率のうちの7点くらいは石野の精神力と度胸とテクニックに拠るものだと思っている。残り2戦、その3大要素+現状の28号機のパワーでも逃げきれる可能性は十二分にあるが、鳴門水面+他の面々のパワー相場と照らし合わせればまだまだ大本命とは言い切れない。それが予選4日間48レースを見てきた私の感想だ。

 

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 では、強い強い石野28号を打ち負かせるレーサーは誰か? 今日の時点では、ふたりのレーサーが目に浮かぶ。まずは、篠崎仁志。予選の前半は、エース37号機の気配は私にとってかなり物足りないものがあった。最大の長所と言うべき行き足~伸びがほとんど目立たず、ごまかしごまかし着を拾っている印象だった。が、仁志の整備とともに徐々にその長所が蘇り、今日は展示タイム(6秒68)も含めて8割ほどまで本来のパワーに近づいてきたと思う。残り2日、仁志がさらにストライクゾーンに近づければ、石野28号を凌ぐパワーになるはずだ。明日の準優2着以内は必須として、あさっての直接対決が楽しみでならない。

 

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 もうひとりは峰竜太。これまた2日目までは「本人はトップ級と言い続けてるけど、この足ではちょっと足りないのでは?」と疑っていたのだが、昨日の6コース差しのパワーは出色だった(昨日書いたとおり)し、今日も昨日ほどではないにしろ相当な迫力を感じさせた。明日の11Rは仁志が1号艇で、峰が2号艇。1=2でふたりが優出したら、優勝戦での石野への脅威は相当なものになるし、どちらかひとりだけでも石野を脅かす存在になるだろう。

 

THE勝負駆け②予選ボーダー争い

ひどく、穏やかな……

 

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 うーーーん、こちらは特筆すべき劇的な勝負駆けドラマが、ほとんどまったくなかった気がする。なんせ、イン11勝。昨日までのイン受難&万舟ラッシュが嘘だったかのように、今日の鳴門水面はイン選手に優しかった。裏を返せば2~6コースのメイチ勝負駆けの選手には厳しい水面だった。で、このイン11勝のうち、逃げきって圏外から予選ボーダーを突破した選手はふたり。湯川浩司と谷村一哉で、このふたりにはとりわけ大きな意義のあるイン逃げだったことだろう。シリーズ屈指の伸び足を誇る湯川の明日は、石野が立ちはだかる12R。4カド近辺からスリット全速で、どこまで同県の後輩・石野に迫れるか。「大阪ライン」でまくり差しに構えての同県ワンツーも予想の候補に入れておきたい。

 

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 11Rの5号艇をゲットした谷村も、もちろん要注意。準優に入るとパワー的には平凡だが、この選手はとにかく諦めることなく健気に誠実に前の選手を追い続けるという素晴らしい特性がある。6号艇の田中信一郎が動いて6コースになったとしても、「穴男」として舟券に絡めるつもりだ。

 

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 それから……昨日になって失速した原田幸哉も、今日は4・2着という成績でギリギリ踏みとどまった。18位での滑り込み、セーフ。与えられた準優は12R。6号艇だけにアウトから湯川の攻めに乗って全速差しという正攻法もあるし、ピットアウトから内の5艇を攪乱する可能性もある。後者を選んだ場合は、準優で石野が不覚を喫する可能性がわずかながらアップする、と私は勝手に考えている。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)